187.妹
日本に帰ってきた。
試練の刀は、鍛え直すのに3日掛かるということだったので、預けてきてある。
来週行った時、どんなふうに鍛えられているかが楽しみだ。
そして俺は、皆をリビングに集合させた。
「兄ちゃん、これから何するの?」
「これから【呪い治癒薬】を作ります」
「ん? その為だけに、みんなを集めたの?」
「ああ。いいから見ておけ」
「うん、まあいいけど……」
俺は、みんなが見守る中、【呪い治癒薬】を作り始めた。
しばらくして、特に問題もなく、3本の【呪い治癒薬+2】が完成した。
┌─<鑑定>────
│【呪い治癒薬+2】
│呪われた物にふりかけると
│呪いを解除することが出来る
│レア度:★★★★
└─────────
「普通に完成したけど、これをどうするの?」
「先ずは、ヒルダに使う」
「わ、私ですか??」
俺は、テーブルの上にバスタオルを敷き、その上にヒルダを寝かせた。
「兄ちゃん、ヒルダちゃんに変なことするつもりじゃないよね?」
「変なことってなんだよ!」
そして、俺はおもむろに―
ヒルダの首に巻かれている【奴隷の首輪】に、【呪い治癒薬+2】を少し垂らした。
「はう!」
ヒルダが変な声を上げる。
「大丈夫か?」
「は、はい…… だ、大丈夫です」
俺は、慎重に呪い治癒薬を垂らしていく。
「ひゃうぅ!」
ヒルダは頬を真っ赤に染め、息を荒くして、体をモジモジとくねらせている。
なんだか凄くイケナイ事をしている気分になるな……
そして、最後の一滴をたらし終わると……
「ああああぁぁーーー!」
ヒルダは、体をエビ反らせてビクンビクンと震えている。
「に、兄ちゃん!」
「お、俺は呪い治癒薬をかけただけだろ」
その時!
パキ!
何かが割れるような音がして……
奴隷の首輪が、ヒルダの首からするりと落ちた!
ヒルダは、ハアハアと息を荒げながらぐったりしている。
「ヒルダ、大丈夫か?」
「は、はぃ……」
【奴隷の首輪】を【鑑定】してみると―
┌─<鑑定>────
│【革の首輪】
│魔物の革で作られた首輪
│レア度:★
└─────────
呪いが解けて、【革の首輪】になっている!
そして、今度はヒルダを【鑑定】してみる。
┌─<ステータス>─
│名前:ヒルダ
│職業:魔法使い
│状態:正常
│
│レベル:3
│HP:158
│MP:239
│
│力:10 耐久:9
│技:15 魔力:19
│
│スキル
│ 火2 短剣術1
│ 解体3
└─────────
「やった、奴隷が解除された!」
「「えっ!!?」」
アヤとエレナは驚き、ヒルダは唖然としている。
状態が『正常』になっていて、職業が『奴隷』から『魔法使い』に変化している。
なにげに、前見た時よりステータスが上昇している。
職業が変わったせいかな?
「兄ちゃん、どういうことだか説明してよ」
「そうです、奴隷を解放なんて聞いたことがありません」
「説明しよう!
前にヒルダを【鑑定】した時、『状態:呪い(奴隷)』ってなってたんだ。
つまり~ 奴隷とは、呪いの一種だってことだ。
呪いなら【呪い治癒薬】で治せるはずだろ?」
「なるほど~」
そんな話をしていると―
ヒルダが、瞳に大粒の涙をためて、えぐえぐと泣き出してしまった。
「ヒルダ、どうしたんだ?」
「セ、セイジ様……
私を捨てないで!」
ヒルダは、わんわん泣き出してしまった。
「ヒルダを捨てるわけ無いだろ」
俺は、ヒルダを抱き寄せ、頭を撫で続けた。
「だって、奴隷契約は私とセイジ様の『絆』だったのに……
また一人ぼっちになっちゃう」
そうか…… ヒルダは、俺との奴隷契約を、そんな風に思ってくれていたのか……
「ごめんなヒルダ、相談もなしに勝手に奴隷契約を解除してしまって」
「セイジ様が、私のことを思ってやってくださったことはわかってるんです。
で、でも…‥」
「よし分かった!
じゃあ今日からヒルダは、俺の妹だ!」
「い、妹?」
「ああ、そうとも!
兄妹なら、奴隷より絆はずっと強いぞ?
それならいいだろ?」
「あの、あの…… それじゃあ……
『お兄ちゃん』って、呼んでも、いいですか?」
「もちろん、いいとも!」
「お、お兄ちゃん……」
「なんだい? 妹よ」
ヒルダは、また泣き出して、俺の胸に飛び込んできた。
俺は、ヒルダが気が済むまで頭をなでなでし続けた。
「ヒルダちゃんが、兄ちゃんの妹になったってことは~
私にとっても妹になるってことだよね?」
ヒルダがやっと落ちついてきた時、アヤがヒルダの頭を撫でながらそう言った。
「アヤ様が、お姉ちゃん?」
「ヒルダちゃん、私の妹になってくれる?」
「はい! アヤ様」
「アヤ様じゃないでしょ?」
「ア、アヤお姉ちゃん……」
アヤとヒルダは、にっこり見つめ合っている。
「私も! ヒルダのお姉ちゃんやります!」
エレナも、ヒルダをなでなでしてあげている。
「エレナ様まで!?」
「エレナ様じゃなくて、お姉ちゃんです!」
「は、はい! エ、エレナお姉ちゃん!」
そして、アヤとエレナとヒルダは―
いつまでも、いつまでも―
3人で抱き合っていた。
次から新章がスタートかも?
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