179.日の出の塔地下2階
結局、例の隠し部屋の下の位置には入れず、地下二階を探索することにした。
いったい、地下何階まで行けばいいのだろう?
地下二階に着くと、急に空気が乾燥した。
壁も土ではなく、砂岩っぽいものになり、
砂塵が舞って、床にも砂が堆積していた。
敵を示す赤い点は散らばっているが、何の敵か分からないので、まだ会ったことがない敵なのだろう。
しかし、足元が砂だと歩きづらいな。
しばらく進むと、部屋に通じる崩れかけの木の扉があった。
扉を開けて中に入ると―
巨大な真っ黒いサソリが居て、俺が砂を踏む音に反応して襲って来た。
足はピッケルのように尖っていて、砂に突き刺しながら進んで来る。
そして、右のハサミを振り下ろしてきた。
バックステップで避けようとしたのだが、足元が砂で上手く避けることが出来なかったので、試練の刀で受け流して、なんとか事なきを得た。
しかし、それを狙いすましたかのように、今度は左のハサミが俺を襲う。
右のハサミと同じように、バックステップと受け流しでやり過ごす。
すると、上から激しい【危険】を感じた。
「ヤバイ!」
とっさに、土の魔法で砂地を強く蹴り、風の魔法で自分の体を吸引して、全力でバックステップをすると―
上から尻尾の先の針が、ものすごい勢いで俺のいた場所に突き刺さった。
「危なかった……」
あの攻撃、絶対に毒とかあるよな。
毒治癒薬とか、持ってくればよかった。
あれを食らったら、毒の前に致命傷になる可能性もあるな。
俺は、気を引き締め直してサソリめがけて駆け出した。
砂をキチンと捉えるようにつま先で蹴るのを意識して、サソリのハサミ攻撃を最小限の横移動で躱し、尻尾の針攻撃が来る前にサソリに肉薄し、試練の刀で頭を真っ二つにした。
ズドーン!
サソリが音を立てて崩れ落ちた。
俺には解体は出来ないので、サソリの死体は、そのままインベントリに格納した。
『レベルが46に上がりました』
お、久しぶりにレベルが上った!
自分よりレベルの低い敵ばっかりで、経験値貰えてないのかと思ってたら、そうでもなかったみたいだな。
まあ、ぶっちゃけレベルが上ってもそれほど恩恵は無いんだよね~
確認してみたところ、各ステータスが1%程度上昇していた。
次の部屋に入ってみると、さっきより小さなサソリが居た。
そして、最初の部屋のサソリより弱く、すんなり倒してしまった。
どうやら、最初の部屋のサソリは、中ボス的な奴だったらしい。
しばらく探索を進め、サソリを30匹ほど倒していた。
最初のサソリと同じような大きさの敵は5匹ほど、
それ以外に、火を吐く奴と、泥水を吐く奴が1匹ずつ居た。
多分、そいつらを解体すれば魔石が取れるのだろう。
刀の試練は、『63/100匹』になっている。
ここで俺は、重大なことに気がついた。
マップ上に表示されている赤い点、
一度会ったことのある敵は、その敵が何の敵なのかが分かるのだが……
この地下二階で、正体がわかっていない敵は、残り1匹なのだ。
つまり、この未確定な1匹がボスなんじゃないか?
今まで、なんで気が付かなかったんだろうorz
他の敵を避けつつ、俺はそいつの場所に急いだ。
やっぱりボスでした。
早くに気がついていれば、もっと楽できたのに……
部屋の中に居たのは、緑色のサソリ?
尻尾の針はあるのだが、両手がハサミではなく、鎌になっている。
鑑定してみると『カマサソリ』という敵らしい。
風の魔法も使ってくるみたいなので、注意しておこう。
距離を取り、敵の出方をうかがっていると―
カマサソリは、カマを振り下ろした。
ヤバイ!
【危険】を感じた俺は、横っ飛びした。
すると、俺の居た位置の後ろの壁が、縦一文字にスパっと切れた。
おそらく、『かまいたち』的な【風の魔法】なのだろう。
「いいな、あの魔法」
前に、似たような攻撃が出来ないか、色々試した時は出来なかったんだよね。
あの技、盗ませてもらおう。
とは言っても、敵の技を盗むスキルがあるわけではないので、見て覚えるしかない。
距離をとってあの技を何度も使ってもらい、観察を続けた。
なんとか、軌道が見えてきて、避けれるようになったのだが、いまいち正体がつかめない。
思い切って、試練の刀で受け止めてみると、ズシリと重みを感じて、技が弾けるように拡散した。
「どうやら、空気の塊っぽいな」
真空などではなく、空気の塊。
つまり突風のようなものを、刃の様に鋭い形にしているのだろう。
「よし、やってみるか!」
俺は、敵からの攻撃をよけつつ、【風の魔法】で刀から刃の形の空気の塊を作って飛ばしてみた。
空気の塊は、飛び出したものの、遅いし、3㍍程で形が崩れて拡散してしまった。
「なにくそ」
なんどか、練習を重ね、やっとそれなりの速度で、それなりの距離まで届くようになった。
「やったぜ!」
自分のステータスを確認してみたところ、【刀術】に【刃風】という技が追加されていた。
「行くぞ、俺の【刃風】を受けてみろ!」
敵の攻撃をよけつつ、覚えたての【刃風】を発動させる。
【刃風】は敵に向かって飛んでいき―
スパッ!
『カマサソリ』の頭が、スパっと切れて、コロンと落ちた。
「あっ!」
『カマサソリ』は、ズシンと倒れて、動かなくなってしまった。
一撃で倒しちゃった……
まあいいか。
なんか、一人で戦うのも新鮮ですね。
ご感想お待ちしております。




