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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
日の出の塔攻略編
186/438

177.試練

 『先代の魔王』の関係者らしきお爺さんに、刀を作ってもらうことになった。

 しかし―


「いい刀とは、そう簡単に作れるものではない」

「はあ」



 お爺さんは大きな刀を持ってきた。


「そこでじゃ。先ずは、この刀を使ってみろ。

 ほれ」


 お爺さんが手渡してくれた刀を受け取ると―


 おれは、両手にかかる急激な重さに耐えかねて、危うく刀を落としてしまいそうになった。


「重!!」



 その無骨な刀、見た目以上に重かった。


「その刀で、魔物を100匹ほど倒して来い」


「この刀で!?

 この刀は一体なんなんですか?」


「その刀は【試練の刀】といって、使用者の癖を記録する刀じゃ」

「癖を記録する?」


「そうじゃ。

 その記録したお前さんの癖を元に、ワシがその刀を鍛え直す。

 そして、それを繰り返すことによって、『究極の刀』へと、一歩ずつ近づいていくのじゃ」


「なんだか凄そうですね」

「おうとも」


 日の出の塔の攻略のついでに使ってみるか。



 とりあえず【鑑定】してみると―


┌─<鑑定>────

│【試練の刀】

│試練を課すための刀

│使用者の癖を吸収し、強くなる

│レア度:★★★★

│試練:魔物討伐 0/100

└─────────


 『試練』という項目が記載されてる!

 これを達成する事で強化が可能になるのか、面白そう。


 俺は、お爺さんと握手を交わして、武器屋を後にした。


 お代?

 お代は、鍛え直す時でいいそうだ。


 さて、この刀で早く、試し斬りをしたい!


~~~~~~~~~~


 俺たちは、リルラを迎えにシンジュの街に戻ってきた。


「リルラただいま」

「おかえり、セイジ」


「親子水入らずでゆっくり出来たか?」

「ゆっくりも何も、今後のことなどを話し合っただけだ」


 真面目だな。

 貴族としての責任感という感じかな?

 たまに責任感が暴走するけどね。



「それじゃ、イケブの街に帰るか」

「はい」


~~~~~~~~~~


 俺たちは、イケブの街に帰ってきた。

 外は、すっかり夕日に赤く染められていた。



「帰ってきてそうそうだけど。

 俺は、ちょっと日の出の塔を攻略してくるから、

 みんなは夕食を済ませて先に寝てくれ」


「え?

 兄ちゃん一人で!?」

「セイジ様、私も連れて行って下さい」

「わ、私も、付いて行っても良いのだぞ?」


 3人は、連れて行って欲しいみたいだ。

 ヒルダは、何も言わなかったが、寂しそうな瞳で俺を見つめている。



「地下は、臭い水が溜まってるけど、行きたいのか?」

「あ、そうか…… やっぱいいや」

「だ、大丈夫、です」

「……」


 みんな行きたく無さそうだ。

 まあ、当然だよね。



「それじゃあ、行ってくる」


 俺は、エレナの制止を振りきって【瞬間移動】で日の出の塔の入り口へ飛んだ。


~~~~~~~~~~


 塔の入り口を守っている兵士に、もらったままになってる【立ち入り許可証】を見せて、一人、塔に潜入した。


 俺は【試練の刀】を左手に持ち、

 ウキウキ気分でダンジョンをスキップで進んでいった。


 なにせ、新しい刀だ。

 使ってみたくて、ウズウズしてたんだよね~



 落とし穴と呼ばれていた、地下への階段があった部屋にやって来た。


 俺は、インベントリから【胴長】を取り出し、ズボンの上から装着した。


「よし!」


 気合を入れ、穴の底にめがけて【瞬間移動】で移動する。



「うをっと!」


 足元が不安定だったために、ちょっと転びそうになったが、なんとか臭い水に頭から突っ込んでしまう事態は避けられた。



「先ずは、マップを確認」


 地下の地図は、まだこの部屋しか埋まっていない。

 赤い点が幾つか見えるが、敵の正体はまだわかっていない。


 しかし、今回は刀を使ってみるのが一番の目的なので、一番近い赤い点を目指して、臭い水の中を膝くらいまで浸かりながら進んでいった。



「敵がいるのは、この扉の向こうか」


 目の前には、部屋に続くと思われる頑丈そうな扉があった。

 一番近い赤い点は、この扉の向こうにいる。



 俺は、重い扉に付いているハンドルを回してから、ゆっくりと扉を開いた。


 臭い水は、通路と同じ高さで部屋の中にも満たされていた。

 まあ、水の高さが違ってたら、水圧で扉が開かなかっただろうけど。



 部屋の中を覗いてみると―


 中には、何もいなかった。


「あれ?

 おかしいな、赤い点が表示されているのに……」


 慎重に部屋の中に入ってみるが、魔物の姿は見つからない。

 【水の魔法】+【情報魔法】で、水の中の敵も分かるはずなのだが……



 キョロキョロ探しまわっていると―


 上から【危険】を感じて、思いっきり横へ飛んだ。



 上から降ってきたものは―

 スライムだった。


「びっくりした!」



 スライムは、赤い色をしていて、直径1㍍の球をちょっと潰した感じだ。

 外で見たスライムよりデカいし、色も違う。


 そいつは、臭い水に半分浸かりながら、俺に向かって進んで来た。


バシャッ!


 少し手前で水から飛び出して、ジャンプ攻撃してきた。


 俺は、ここぞとばかりに試練の刀を抜き、スライムに一撃‥‥


 しようとしたのだが、おもすぎて上手く攻撃できない。


「くそう、重すぎだ……」


 スライムの攻撃は、なんとか避けたものの、攻撃が出来ないんじゃ意味が無い。



 スライムは、もう一度同じ攻撃を仕掛けてきた。

 こんどは、試練の刀の重さを計算に入れ、少し早めに攻撃モーションを開始し、上手くスライムに攻撃をヒットさせることが出来た。


 しかし、攻撃は当たったものの、斬る事はできず、スライムを弾き飛ばすだけになってしまった。


「試練の刀、けっこう難しいな」



 俺に吹き飛ばされたスライムは、部屋の壁にぶつかって―


 『ガリッ』という音を立てた。


「??

 スライムなのに、なんであんな音が出るんだ?」



 次の瞬間!

 スライムはバチバチっという音ともに、マッチに火がつくように燃え上がった。


「ふぁ!?」


 燃えながら、臭い水の中を俺に向かって進んでくるスライム。

 そして、なんだかスライムが大きくなっているような~



 !?

 違った!

 スライムの火が、臭い水に燃え移っている!?


「ヤバイ!!」


 俺は、とっさに部屋の外へ飛び出し、

 部屋の重い扉を思いっきり閉めた。


「あ、危なかった」


 閉めた扉の向こうから、バチバチと燃える音が聞こえていた。



 俺がさっきからずっと膝まで浸かっている、この【臭い水】……


 鑑定してみると―


 【油】だった……



 最初に松明を落とした時は、よく燃え移らなかったな……

やっと塔に戻ってきました。


ご感想お待ちしております。

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