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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
日の出の塔攻略編
185/438

176.魔族の街のお爺さん

 俺たちは、魔族の街を探索していた。


 物珍しさに街の様子をキョロキョロ見回しているが、

 魔族の人たちも俺たちをジロジロ見ている。

 人族が珍しいのだろう。


 人々が行き交い、子どもたちが遊び、店には品物が溢れている。

 街並みや人々の見た目は禍々しいのだが、至ってマトモな街の風景だった。


 品物は、若干南国風の物が多かった。



「あれ食べてみよ~」


 アヤが指差したのは、色々な具が入った真っ赤なスープだった。

 辛そう。


「俺は、やめとくよ」


 エレナとヒルダも首を横に振っている。


「じゃあ、私だけね。兄ちゃん、買ってきて」


 いつもながら、兄使いの荒い妹だな。



 人族の国の通貨であるゴールドは、この街では使えないので、ブンミーさんに頼んで両替してもらってある。

 この国の通貨は『シルバ』というらしく、1ゴールド=10シルバで、10000シルバほど手元にある。


「すいません、一杯いくらですか?」

「12シルバだよ」


 屋台のおばさん?に12シルバ払って、かぼちゃ位の大きさの木の実の殻の器に盛られた、真っ赤なスープを受け取った。

 スープには、二本の木の棒が付いていて、おそらく箸なのだろう。


「ほら、アヤ、買ってきたぞ」

「ありがと!」


 アヤは、屋台の前で真っ赤なスープを食べ始めた。


「辛ーい!!」

「言わんこっちゃねえ」


「でも、美味しい!」

「美味しいのかよ!」



 アヤが、真っ赤なスープを食べていると―

 屋台のおばさん?が話しかけてきた。


「あんた、人族のくせに箸が使えるんだね」


「おばちゃん、人族のことを知ってるのか?」


「おばちゃんはやめてくれよ、こうみえてもまだ100歳なんだよ」

「100歳!?」


 アヤが驚いてる。

 まあ、予想はしてたけど、きっと平均寿命が違うんだろうな。



「ああ、そうか、人族は50歳くらいまでしか生きられないんだっけ。可哀想に」


 この世界の人族の寿命は50歳なのか。

 この世界には回復魔法があるけど、地球の医学ほど人の命を救えてないのかな?


「魔族は、どれくらい生きるんですか?」

「そうさね~ だいたい200歳くらいかな」


 だいたい4倍くらいか。

 というと、魔族の100歳は、人族の25歳くらいかな?


 やはり、舞衣さんが若すぎるのは、魔族の血を引いてる影響なんだろうな。


~~~~~~~~~~


 屋台のおば… お姉さんと別れて―

 俺達は、とある店にやってきていた。


「ごめんください」

「ほう、人族とは珍しい、よくこの街に入れたもんじゃ。

 そう言えば、誰かが人族の商人が来ていると言っていたな」


 その店にいたのは、ドワーフのお爺さんだった。

 ニッポの街の『ガムド』さんも髭面でお爺さんっぽかったけど―

 この人は、さらに歳を重ねてる感じだ。



「魔王様から、紹介状を貰ってきました」

「なに!? 魔王の紹介状じゃと!?」


 俺は、謁見の後でもらった紹介状を、お爺さんに渡した。



「人族に、刀を作ってやれだぁ!?」


 そう、魔王をおど…お願いして、魔王の刀を作った鍛冶屋を紹介してもらったのだ。



「紹介状もありますし、作ってくださいますよね?」

「……」


 お爺さんは、無言で店の奥へ入っていってしまった。


 かと思ったら、ひょっこり顔を出して手招きしている。


 みんなでお爺さんの後を付いて行くと―


 裏庭に出た。

 なんかデジャブーが……



「これを持ってみろ」


 お爺さんが、手に持っていた大きめの刀を、鞘から抜いて渡してきた。

 受け取ると、ズシリと重い。


「……それを持つくらいの力は、あるみたいじゃな」


 やっぱり俺を試そうというのか。

 おうおう、やってやろうじゃないか!



 今度は、巻藁(まきわら)を持ってきた。


「これをその刀で斬ってみろ。

 言っておくが、倒すんじゃなくて斬るんだからな?

 だいたい、人族の剣ときたら―

 俺から言わせてもらえば、あんなのただの尖った鉄の棒だ!」


 なんかグチグチ言ってる……

 よほど人族の剣が気に入らないと見える。


「さあ、出来るもんならやってみろ」


 OK、OK、やってやろうじゃないか。


「すいません、その鞘も貸してもらえませんか?」

「ん? 鞘? まあ良いが……」


 俺は、鞘を受け取ると、刀を鞘にしまった。


「どうするつもりだ?」



 俺は、鞘にしまった刀を左手に持ち、巻藁(まきわら)に近づいた。


 腰をかがめ、刀の柄に右手を添え―

 巻藁(まきわら)に集中する。


 肉体強化、時空魔法で自分を強化し。

 土の魔法で足を固め。

 風の魔法で風を切り裂き。


さっ!


 一瞬、俺の周りにそよ風が舞い。


 俺は、回れ右してお爺さんに近寄り、刀を返した。


「セイジ様、どうして諦めてしまうのですか?」

「ん? そういうワケじゃないんだけど」


 エレナが不思議な顔をしていると―

 アヤが、巻藁(まきわら)に近づいていって、ツンツンと突いた。

 すると、巻藁(まきわら)は斜めにズズっとズレて、コロンと上半分が転げ落ちた。


「もう斬っていたのですね!

 私には、ぜんぜん見えませんでした」


 お爺さんとヒルダは、目が点になっていた。



 しばらく目が点になっていたお爺さんだったが―


「ぐわっはははは! これは愉快!」


 急に大声で笑い始めた。


「小僧が紹介状なんてよこしやがるから、どんな奴かと思ったら。

 とんだ人族だ!」


 どうやら、俺のパフォーマンスは喜んでもらえたみたいだ。

 しかし、魔王を小僧呼ばわりするこの爺さんは、一体何者なんだろう?



「魔王と同等の刀という話じゃったが、お前さんにあんな『おもちゃの刀』じゃもったいない、

 先代魔王様に作ったのと同等の刀を作ってやるぞ」


「あの刀が『おもちゃ』なんですか?」

「魔王なんて名乗っちゃいるが、先代の魔王様に比べたらガキもいいところだ。あんな奴には『おもちゃの刀』で十分じゃ」


 どうやら、このお爺さんは、『先代の魔王』の関係者みたいだな。


魔族の街並み見てみたい。


ご感想お待ちしております。

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