172.舞衣さんの秘密
「兄ちゃんお帰り……
って! 舞衣さんどうしたの!!?」
「エレナ、治療を頼む」
「は、はい!」
エレナの回復魔法によって、舞衣さんの手足の腫れは、見る見るうちに治っていった。
「凄いなこれ。これはどういう事なんだい?」
「えっと、エレナは『おまじない』が得意なんだ」
「『おまじない』ね、
まあ、ボクは負けたんだから、それ以上は聞かないことにするよ」
「舞衣さんが負けたぁ!?
兄ちゃん! どういうこと?」
「えーと……
そう言えば、ヒルダはどうしたのかな?」
「誤魔化そうとしないで!
ヒルダちゃんは眠いからって、もう寝かせたの!」
「アヤくん、違うんだ。
ボクの方から無理やりお兄さんに戦いを挑んで、
そして、ボクが勝手に自爆しただけだ」
「なんで兄ちゃんと戦いたかったの?」
「まあ、お兄さんが強いことは前から気がついていたんだ。
流石にあれほどとは思ってなかったけどね」
そんなことを言いつつ、舞衣さんは何故か嬉しそうだ。
「おっと、ボクが負けたら何でも言うことを聞く約束だったね。
なんでも言ってくれ」
「に・い・ちゃ・ん!!」
「俺が言い出したんじゃないぞ!」
「そう、ボクのケジメなんだ。
無抵抗な相手に襲いかかって、何もなしに許されたんじゃ、ボクの面目が立たないからね」
「うん、分かった。でも兄ちゃん、エッチな命令なんてしたらダメだからね!!」
「するか!」
「ボ、ボクの体は、成長が遅いから。
あまり面白くないとおもうぞ?」
何故舞衣さんは頬を赤らめてるんだ!?
そんなことしないし!!
「さあ、お兄さん、遠慮無くなんでも言ってくれ。
か、覚悟は出来てる……」
「分かったよ、じゃあ、そのままじっとしててくれ。
覗かせてもらうから」
「兄ちゃん!」
「の、覗く!?」
「えーっと、勘違いしないでくれよ?
【鑑定】させてもらうだけだ」
「【鑑定】?」
「あー、なんというか、『占い』みたいなものだ。
舞衣さんがどんな人なのかを見させてもらう」
「そ、そうか。分かった、やってくれ」
舞衣さんは、まな板の鯉のように、絨毯の上に大の字に寝転がった。
そこまでしなくていいのに……
「じゃあ行くぞ」
「お、おう!」
「【鑑定】!」
「ぐぬぬ! な、なんか覗かれている!
こ、これは、恥ずかしい……」
分かるのか!?
~~~~~~~~~~
とんでもないものを見てしまった。
どうしよう。
┌─<ステータス>─
│名前:河合 舞衣
│種族:魔族クォーター
│職業:空手家
│
│レベル:11
│HP:2,800
│MP:1,550
│
│力:245 耐久:240
│技:183 魔力:155
│
│スキル
│ 火3、肉体強化3
│ 魔力感知3
│
│ 体術5、棒術5
│ 刀術3、短剣術4
└─────────
まず注目すべきは、習得している魔法だ。
【火の魔法】と、【肉体強化魔法】は予想していたが、【魔力感知】ってなんだよ!
武器スキルも、けっこう色んなのが使えるみたいだ。
そして、一番の問題点は―
『種族:魔族クォーター』ってなんだーーー!!!
魔族の血が1/4流れているって事か?
「舞衣さん、一つ聞いてもいいかな?」
「何だ?」
「舞衣さんのお爺さんかお婆さんに、変わった人が居ないかな?」
「ん? お爺さんかお婆さん?
そう言えば、母方のお爺さんは鬼のような人だったと聞いてるな」
その人が魔族だったのか?
でも何故、日本に魔族が?
「そのお爺さんには、会ったことは無いんですか?」
「会ったことはない。
もしかしてボクの変な力は、お爺さんの?」
「多分ね」
「なるほど、お母さんとボクがこんななのは、お爺さんのせいか」
「舞衣さんのお母さんって、どんな人なの?」
「ボクと同じように成長が遅くて、二人で居ると、よく姉妹に間違われるんだ」
母と娘が姉妹に間違われる……
よく聞く話では有るのだが、
舞衣さんの場合は、事情がまったく違ってくる。
舞衣さんと姉妹に間違われるお母さんって、いったいどんな人なんだろう?
是非お目にかかってみたい。
そして、そんなお母さんと結婚したお父さんは、アウトなのでは?
「所で、その鬼のようなお爺さんは、今はどうしてるんです?」
「わからない。
お爺さんに会ったことがあるのは、お婆さんだけで、
お婆さんも、その人と一緒に居たのは、たった一晩だけらしい。
そして、その時にお母さんを身ごもり、
未婚のまま、お母さんを育てたんだ」
なんか、すごい話だな。
一晩だけで、その後は誰も見ていない……
他の世界から日本にやって来て、すぐに元の世界に帰ったのかな?
だとして、その魔族はエレナの世界の魔族なんだろうか?
もしそうなら、魔族の街に行けば、何か情報があるかもしれないな。
ダメ元で探ってみるか。
その日、舞衣さんは、お泊りしていった。
舞衣さんのお母さん、どんな人なんだろう?
ご感想お待ちしております。




