163.光る××
日の出の塔三階の、その部屋にいたのは……。
マッチョだった。
「何だ、アレは!」
謎のマッチョは、部屋に入ってきた俺たちに目もくれず、ポージングをしている。
そして、これぞというポーズがキマると―
薄っすらと肉体が『光る』のだ。
【鑑定】してみると―
┌─<ステータス>─
│職業:ボディビル・ゴブリン
│
│レベル:15
│HP:1730
│MP:297
│
│力:56 耐久:65
│技:23 魔力:30
│
│スキル
│【光の魔法】(Lv2)
│【肉体強化魔法】(Lv2)
│【体術】(Lv1)
└─────────
「ボディビル・ゴブリン??
これ、ゴブリンなのか?」
俺が、驚き戸惑っていると、
ボディビル・ゴブリンが、こっちに向かってにっこり微笑みながら、またポージングをキメて、光り輝いていた。
こいつは、いったい何がしたいんだ?
皆も唖然として、やつを見てしまっている。
次の瞬間、
【警戒】魔法が『危険』を知らせた。
「っ!?」
気が付くと、何者かが、リルラに向かって突進してきていた。
「リルラ! 横!!」
「へ!?」
リルラは、タックルを食らい、真横に吹き飛んだ。
「リルラ!」
しかし、ダメージは大したことがなかったらしく、
リルラは、すぐに立ち上がった。
「いったい何が?」
リルラにタックルをかました奴を見ると、
ホブゴブリンだった。
いつの間に、現れたんだ?
いや、違う! ボディビル・ゴブリンを見ている間に近づかれたんだ。
とっさに、戦闘態勢に入る俺たちだったが……。
そんな最中、
ボディビル・ゴブリンが、またポージングをキメて光り輝いた。
!??
「なんで、俺は、
ボディビル・ゴブリンを見ているんだ??」
おかしい、
なぜか、俺は、ボディビル・ゴブリンから目が離せないでいる。
ドン!
「うわー!」
気が付くと、今度はアヤがホブゴブリンに吹き飛ばされていた。
「ア、アヤ! 大丈夫か!?」
「う、うん、なんとか」
これは、どういうわけだ??
なぜか、ボディビル・ゴブリンから目が離せなくなってしまう。
「これはヤバイ、いったん引くぞ」
「うん」「「「はい」」」
~~~~~~~~~~
急いで部屋を出ると、
敵は、追ってはこなかった。
「何、あいつ~
分けわからないんだけど!」
「なぜか、アイツから目が離せなくなった」
アヤとリルラは、エレナに回復魔法を掛けてもらっている。
「おそらく、ボディビル・ゴブリンが、何かの魔法を使っていたんだろう」
「ボディビル・ゴブリンって、あのマッチョなやつ?」
「そうだ、
おそらく、【光の魔法】だろう」
「【光の魔法】!?」
【光の魔法】と聞いて、リルラが食いついてきた。
「リルラ、【光の魔法】で同じことが出来ないか?」
「え!? 私が!?」
「きっと出来るから、やってみてくれよ」
「……わ、分かった」
リルラは、恥ずかしそうに……。
セクシーなポーズを取った。
「あの~、リルラ、
ポーズじゃなくて、魔法……」
アヤは、リルラのポーズを見てクスクス笑っている。
リルラは恥ずかしさのあまり、しゃがみこんでしまった。
「リルラ、魔法だけでいいよ」
「最初に言って!!」
リルラは、今度は普通に構えて魔法を使い始めた。
魔法が発動し、リルラの体が光りに包まれた。
「おお、リルラ、成功だ! 目が離せなくなる!」
「ほ、本当か!?」
リルラは、嬉しそうに、何度も魔法を使い、
その度に、俺の視線がリルラに釘付けになる。
リルラのステータスを確認してみたところ、
【光の魔法】に【視線誘導】の魔法が追加されていた。
この魔法、誰の視線を釘付けにするかを、自由に選択できるらしい。
「あの、リルラさん。それは、もういいよ」
「す、すまん。つ、つい……」
どうやらリルラは、見られる喜びに目覚めてしまったらしい。
~~~~~~~~~~
作戦を立て直し、俺たちは再び部屋に突入した。
アヤとリルラは、一目散にボディビル・ゴブリンへ駆け寄り、
前後に挟み撃ちにした。
そして、後ろからアヤが、急所攻撃をかまし―
ボディビル・ゴブリンは、『アーッ!』という叫び声とともに、崩れ落ちた。
一呼吸置いて横から現れたホブゴブリンも、
エレナの魔法で凍りづけになっていた。
「最初はビビったけど、
ちゃんと作戦を立てると楽勝だね」
「アヤの言う通りだが、
逆に言えば、ちゃんと作戦を立ててなければ、
あんな弱い敵でも、俺たちの脅威になり得るということだな」
「なるほど、
つまり、作戦は大事って事だね。兄ちゃん」
「そういうこと」
ヒルダが、解体を終え、
【微光の魔石+1】と【土強化魔石+1】を持ってきてくれた。
お、今回はいいのが出たな。
~~~~~~~~~
それから俺たちは、快進撃を続けた。
各部屋にいるゴブリンたちとの戦いにおいて、
リルラが【視線誘導】で敵の注意を引きつけ、
無防備な死角から、アヤとエレナが攻撃を仕掛ける、戦術パターンを完成させたのだ。
そして、俺たちは、
とうとう……。
三階を、調べ尽くしてしまった。
あれ?
リルラが変な魔法を覚えてしまった。
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