151.誰のもの
翌朝。
「お世話になりました」
「またおいで」
りんごの両親が迎えに来た。
しばらくホテルで過ごして、
新しいマンションを借りるんだそうだ。
「りんごちゃん、行っちゃったね」
「ああ」
「私、りんごちゃんがずっとここに住むのかと思ってた」
「どうしてそうなる!」
「だって、兄ちゃんだもん」
「なんだそれは」
アヤとの漫才は、このくらいにして……
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「エレナ、大事な話がある」
「はい、なんですか?」
「色々あって、うやむやになってたけど、
これからどうする?」
「これから、とは?」
「エレナは、俺が拐ってきたけど、
本来の目的は、
戦争で身の上が危険だから保護していた訳だ。
そして、その戦争はもう解決した……」
「あ……」
「今は、戦争の後処理なんかが行われているだろうけど、今度の週末頃には、王様も王都に帰っているだろう。
だから、その時に王様の所へ……」
「い、嫌です!
セイジ様と一緒にいたいです!」
「王様には、なんて説明するんだ?」
「そ、それは……」
「兄ちゃん! エレナちゃんを送り返す気?」
「そうは言ってないだろ、
エレナは今、家出少女的な状態なんだぞ?
ちゃんとしておかないと、ダメだろ?」
「そ、それはそうだけど……」
「セイジ様!
わ、私を、お嫁さんに、して下さい!」
「「えぇーーーー!!!」」
「セイジ様と離れたくありません。
私の身も心も、セイジ様に捧げます、
どうか一緒にいさせて下さい」
「エ、エレナ……」
「セイジ様……」
あ、ヤバイ! もう辛抱たまらん。
「ダ、ダメーーー!!」
「アヤさん!?
どうして、ダメなんですか?」
「そ、それは……
えーと、えーと……
あ、そうだ!
エレナちゃんは、私のものだから、
兄ちゃんには渡さない!!」
「「えぇーー!?」」
「アヤさん、嬉しいですけど……
女の子同士は、ちょっと……」
「大丈夫よ、愛さえあれば、性別の障害だって……」
「分かりました、それじゃあ、
セイジ様と3人なかよく……」
「兄ちゃんと、なんて……
ダ、ダメに決まってるでしょ!」
俺は、アヤの脳天にチョップをかました。
「アヤ、時に落ち着け」
「いたい……」
アヤの暴走のおかげで、俺は正気を取り戻したけど、
さっき、理性が一瞬吹っ飛んでいた……
もし、アヤがいなかったら……
ヤバイことに、なっていたかも……
まあ、それはそれで良かったのかもしれないけど。
俺は、気持ちを切り替えた。
「エレナも、気持ちは嬉しいけど、結論を急ぎすぎだ」
「で、ですが……」
「まず、エレナは今、15歳だろ?
日本では、結婚は16歳からしか出来ない」
「それじゃあ、誕生日まで待てばいいのですね」
「いや、20歳未満が結婚する場合は、親の承諾が必要なんだ」
「お父様の承諾……」
「俺も、エレナのことが大好きだ。
今後のことは、まだ時間があるから、ゆっくり考えていこう」
「はい! セイジ様」
俺と、エレナは、しばらく見つめ合っていた。
その脇でアヤは、俺のことを睨みつけていた。
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そして、時間は進み……
その週の土曜日。
俺とアヤとエレナは、
ドレアドス王に謁見していた。
「おお、エレナ、お帰り。
さあ、こちらに」
「お父様、私は……
セイジ様と一緒にいたいです」
「何を言っておる、
もう、そんな奴に守って貰う必要は無いのだ!」
「お父様、聞いて下さい。
私は、セイジ様と一緒にいて、色々なことを学びました。
それはきっと、このドレアドス王国の為にもなると思います。
どうか、今しばらく、セイジ様と行動を共にする許可を下さい、お願いします」
「ダメだ。そんな奴と一緒にいては、いつ手籠めにされるか分かったものではない。
さっさと、こっちに来るんだ!」
「お、お父様……」
なんちゅう奴だ。
仕方ない、俺が一肌脱ぐか。
「おい、王様」
「なんだ! お前にもう用はない、さっさと立ち去れ」
「そんな事より、貸した金返せよ」
「そ、そんなの知らん!」
うわ、こいつ、踏み倒す気だ!
「そうかそうか! 金を返さないんだったら……」
「返さなかったらどうだというのだ!」
「金の代わりに、エレナを貰う」
「なん、だと!!」
俺はエレナを、少し乱暴に抱き寄せた。
「きゃっ! セ、セイジ様」
エレナは、俺にされるがままだ。
「おのれ!! く、くそう!
弱みに付け込みやがって!!!」
「なあ、王様。
約束っていうものは、お互いの信頼関係によって成り立っているんだ。
信頼を裏切るようなことばかりしていると……
国が滅ぶぞ!」
「……」
黙りこむ王様を放っておいて、俺達は城を後にした。
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「セイジ様、私のために、あんなお芝居をさせてしまって、申し訳ありません」
「エレナ、『申し訳ありません』じゃなくて、そこは『ありがとう』だろ?」
「はい! ありがとうございます!」
「ねえ、兄ちゃん!
いつまで、エレナちゃんを抱いてるつもり?」
「エレナは、俺のものになったんだから、
いつまで抱いててもいいだろ?」
「ダメよ!
兄ちゃんのものは、私のものも同然なんだから、
エレナちゃんは、私のものよ!」
「おまえなあ、
じゃあ、お前のものは俺のものでもあるのか?」
「いいえ、
私のものは、私のものよ!!」
ジャイアニズムかよ!!!
やっと異世界に戻ってきました。
ご感想お待ちしております。




