149.病院
「きみ、大丈夫か!?」
「おかげで助かりました」
「いかん、すぐに救急車を呼ばなければ!」
警察官さんも、ストーカーの対応だと思ったら、いきなりこんなことになってしまって、かなりテンパっている様子だ。
周りの状況を確認すると、
アヤは、俺の手の怪我に動揺し、どうしていいのかわからないといった様子だ。
りんごさんは、腰を抜かして、座り込み……
……これ以上は、彼女のプライバシーに関わるので、どういう状況になっているかは言えない。
犯人は……
出血は物凄いが……
まだ、死んではいないみたいだ。
仕方ない、止血でもしてやるか。
適当に傷口を押さえて、水の魔法で血が流れ出ないようにしてやった。
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しばらくすると、救急車と警察の増援が到着した。
とりあえず、犯人の命は、つなぎ留めておいたので、
後は、救急隊員さん達にお任せします。
俺は、救急車に乗り病院に搬送された。
アヤとりんごさんも一緒だ。
「に、兄ちゃん、だ、大丈夫なの?」
「すげー痛いけど、死にはしないよ」
「ご、ごめんなさい、私のせいで」
「りんごさんは責任を感じすぎだ。
可愛い女の子をかばって負傷なんて、
男にとっては勲章なんだぜ?」
ちなみに、りんごさんは、ちゃんと着替えたので大丈夫だ。
「でも、兄ちゃん、
なんで、あんなやつを助けたの?」
「アヤ、随分物騒な考え方だな」
「だって、兄ちゃんを殺そうとしたんだよ?」
「だからって見殺しには出来ないよ」
「兄ちゃんは甘すぎだよ!」
俺は、アヤにくどくど説教をされながら
救急車に揺られて病院へと連れて行かれた。
~~~~~~~~~~
しばらくして、病院に到着した。
「な、なんだこれは!?」
俺を治療しようとしていたお医者さんが驚いている。
「これだけの怪我で、何故こんなに出血が少ないんだ!?」
流石に、自分の血がどんどん流れてしまうのが嫌だったので、
ちょっとだけ、魔法で出血を抑えるつもりだったのだが……
少々やり過ぎちゃったかな?
その後、レントゲンを取ってもらったのだが、
ナイフは隙間に刺さったらしく、
骨にはあまり影響がないとの事だった。
よかった、これなら、
少し早めに傷が治ってしまっても、大丈夫そうだ。
流石に痛いし……
片手だと色々不便だし……
しかし、今日は一日だけ入院することになった。
「に、兄ちゃん、入院するの?」
「今日くらいは入院しろって、警察の人が」
「やっぱり傷が致命傷だったの?」
「アヤ、致命傷ってどういう意味だか知ってるのか?」
「えーと、なんだっけ?」
「おまえなー」
「あの、お兄さん、なんというか、その……」
「りんごさんは、どこも怪我してなかった?」
「はい、おかげさまで」
「それは良かった」
「あの、一つお願いがあるんですけど」
「ん? なんだい?」
「その、『りんごさん』というのを止めてもらえませんか?」
「あ、そうか、ごめん、俺みたいなオッサンに、
下の名前で呼ばれるなんて、不愉快だよな」
「ち、違います! そうじゃなくて、
『さん』付じゃなくて、呼び捨てで呼んで欲しいかな~って…… ダメですか?」
ここで何故か、アヤが、俺を睨みつけている。
俺は、ちゃんと分かっているぞ、
『空気を読め』といいたいのだろう?
俺はDTだが、乙女心の読めるDTなのだよ!
「わかったよ、りんご……
なんか照れるなぁ。
これでいいかい?
「はい!」
どうだ、妹よ、ちゃんと空気を読んだぞ!
って、あれぇ?
なんでさっきより、睨んでるの?
どうやら俺は、乙女心は読めても、妹心は読めないDTだったみたいだ……
「兄ちゃん」
「何でございますか? アヤさん?」
「別に怒ってるわけじゃないから、変なしゃべり方は止めてよ」
あれ? 怒ってない? ますます意味が分からん。
「それで、この部屋って、看病する人が泊まったりしても平気かな?」
「さあ、よく知らないけど、
お前、ここに泊まるつもりか?」
「そのつもりだけど?」
「看病なんて要らないから、家に帰れよ」
「なんでよ! 私じゃ嫌なの?」
「違うよ、家でエレナが待ってるし、
りんごは、どうするつもりだ?
一人で帰らせるつもりか?」
「わ、私は大丈夫ですよ」
「駄目だ! あんな事があった後なんだから、
一人っきりになるのは良くない。
それに、あの部屋に一人で戻るつもりなのか?」
「そ、それは…… 嫌です」
「じゃあ、りんごちゃんはしばらく、私達の家に泊まりに来ればいいよ」
「いいの?」
「いいに決まってるじゃん」
「ああ、幾らでも使ってくれ。
エレナも喜ぶし」
「うん、ありがとう!」
そんなこんなで、アヤとりんごは家に帰り。
俺は……
とびきり可愛い看護婦さんに、
色々、あれこれ、あんなことや、こんなことまで―
介護してもらった。
りんごちゃんがどんな状況だったかは、深く考えてはいけません。
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