148.vsストーカー男
風邪が完治し、エレナを寝かせた後、
ストーカー男の様子を見てみると、りんごさんの家に到着していた。
りんごさんの家はマンションの5階なのだが、
男は、またキモい動きで、中を覗こうとしている。
しかも、飽きもせずに何時間もウロウロし続けている。
ストーカーの精神は、常人には理解できないな。
アヤとりんごさんは、買い物を終えて、
喫茶店で巨大パフェを食べていた。
女の子の胃袋は、男には理解できないな。
俺がストーカー男から目を離していたのは、たった3分ほどだった。
しかし、俺が3分後にストーカー男を見た時、
そいつは―
りんごさんの部屋の中にいた。
!!?
いつの間に忍び込んだんだ!?
くそう!
りんごさんの部屋の中は、ストーカー男に蹂躙されてしまっている。
俺は、今すぐ突撃したい気持ちをぐっとこらえて、アヤに電話をかけた。
「兄ちゃん、どうしたの?」
「よく聞いてくれ、
ストーカー男が、りんごさんの部屋に侵入してしまった」
「なんですって!」
『アヤちゃん、どうしたの?』
電話の向こうで、りんごさんが心配そうにしている。
『ううん、りんごちゃんは気にしなくて平気』
「それで、兄ちゃんどうするの?」
「りんごさんから、鍵を借りて、お前一人でこっちに来てくれ」
「なんでそんな面倒くさいことするの?
兄ちゃんなら、アレで、入れるでしょ?」
「今回は、警察に説明する必要があるから、なるべく魔法は使わないようにしたいんだ」
「そう、分かった。りんごちゃんに聞いてみる」
『ねえ、りんごちゃん』
『あやちゃん、どうしたの、怖い顔をして』
『りんごちゃんの部屋の鍵を貸して』
『どういう事?』
バカアヤ、直球すぎるだろ。
『もしかして、私の部屋にストーカーが居るの!?』
アヤは、しばらく迷っていたが、
静かにうなずいた。
なんで話しちゃうんだよ。
『私と兄ちゃんで何とかするから、りんごちゃんはここに居て』
『イヤよ!』
『どうして!?』
『私も行く!』
アヤとりんごさんは、しばらく睨み合っていたのだが。
『分かった、一緒に行こう』
『うん』
アホアヤ! なんで連れてくるんだよ!!
「おい、アヤ、どういうつもりだ」
「二人で、交番に行って、おまわりさんを連れて来る。
それならいいでしょ?」
「分かった、俺は、部屋の前で監視してるから、急いでくれよ」
「うん」
俺は【瞬間移動】で、りんごさんの家の前に移動し、二人を待った。
しばらくして、アヤとりんごさんが警察官を連れてやって来た。
「この部屋です」
「鍵をお借ります」
警察官が、りんごさんから鍵を借りて扉を開け、慎重に中に入る。
なんと、男はりんごさんの部屋の中で、薬を注射している最中だった。
「君! こんな所で何をしているんだ!」
警察官が、話しかけると、
男は、焦点の合っていない目で、ニヤリと笑うと―
行き成り警察官に襲いかかった。
流石警察官、
男は、左手を背中に絞り上げられていた。
やったか?
男は、左手を絞り上げられているにもかかわらず、
無理やり立ち上がろうとする。
「こら、おとなしくしろ!」
男の左手は、ボキボキと嫌な音を立てている。
男は、とうとう左手を犠牲にして立ち上がり、
警察官をはねのけた。
警察官は、男が自分の左手を犠牲にしてまで反撃してくるとは思っていなかったようで、
壁にぶち当たり、目を回している。
男は、りんごさんがいるのに気が付き、奇声をあげる。
りんごさんは、あまりの恐怖に尻もちをついてしまた。
男は、奇声を上げつつ、
隠し持っていた小型のナイフを取り出して、逆手に持ち。
尻もちを付いているりんごさん目掛けて―
ナイフを振り下ろした。
ブスリ。
人間の肉体にナイフが刺さる嫌な音がして、
辺りに血が飛び散る。
男は、
人を刺した感触に、喜びの雄叫びをあげる。
「アヤ! 早く、りんごさんを安全な場所へ!!」
「だ、だって…… に、兄ちゃん……
手が!」
「いいから! 早く!」
痛え!!!
日本だから魔法を使わないようにしようと思ってたら、思わずナイフを手で受け止めてしまった。
男のナイフは、俺の左の手のひらに、刺さったままだった。
あんまり、グリグリするんじゃねえよ! 痛いだろ!!
俺と男がもみ合っていると、
やっと警察官が気がついた。
「き、君、大丈夫か!?」
「あんまり、大丈夫じゃないです!」
警察官は、拳銃を取り出し、
「武器を捨てなさい、おとなしくしないと、撃つぞ!」
しかし、男は、まるで聞こえていない。
パン!
警察官は、壁に向かって一発、威嚇射撃をした。
男は、それでも、まったく動じない。
ってか、興奮しすぎて周りの音が聞こえてないんじゃないか?
まったく、手がつけられない状態だ。
俺も、さっきから、男に対して【睡眠】の魔法をかけているのだが、ぜんぜん効かない。
アドレナリンの異常分泌が原因で魔法が効かないのか? もしかしたら、薬のせいかもしれない。
威嚇射撃も、度重なる警告も無視して、俺の左手にぶっ刺さったナイフをグリグリしている男に対し、
警察官は、ついに―
男を拳銃で撃った。
警官の撃った弾は、男の太ももに命中した。
どうやら、当たりどころが悪かったらしく、
男の太ももからドクドクと血が流れ出ている。
これ、マズイんじゃないか?
男は、『クケケケ』とおぞましい笑い声を残して、ゆっくりと動かなくなった。
ストーカー男、キモすぎ。
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