145.発病
翌朝、
病気が発症していた。
「に゛い゛ぢゃん゛~
じな゛な゛い゛で~!!」
感染するといけないので、アヤは部屋に入らないように言ってあるのだが。
扉の外で、何やら叫んでいる。
「セイジ様、大丈夫ですか?」
「エレナ、いつもすまないね~
でも伝染るから、看病はもういいよ」
病気の俺を看病するために、エレナがずっとそばに居てくれていたのだ。
なんと心優しい子だ。
「セイジ様、回復魔法を覚えた者は、病気にかかりにくくなるので、大丈夫ですよ」
「そうなのか?」
「はい」
魔法を覚えることに、そんな効果があったとは。
回復魔法、早く覚えたいな。
「に゛い゛ぢゃん゛~!!」
「あー、もう! さっきからうるさいぞアヤ!
風邪引いたくらいで大げさだぞ」
「だって~!」
「エレナ、アヤに大丈夫だって言ってきてくれよ」
「はい、分かりました」
エレナが、アヤをあやしに行ってくれたおかげで、やっと静かになった。
これでやっと静かに眠れる。
風邪なんて、ぐっすり眠ればすぐ治るもんだ。
【鑑定】でも『状態異常:風邪』ってなってるし、問題ない。
俺は、自分自身に【睡眠】の魔法を掛けて眠りについた。
~~~~~~~~~~
しばらくして、
俺は、言い知れぬ嫌な予感に目が覚めてしまった。
と、ちょうどそこへ、エレナが部屋に入ってきた。
「セイジ様、起きてらしたんですか?」
「ああ」
エレナが、お盆に何かを乗せて持ってきたようだ。
しかし、お盆の上のソレは、
異様な妖気を放っていた……
「そ、それは?」
「えーとですね、アヤさんがセイジ様の為に、お料理を、ですね……」
エレナが、お盆の上のソレを見せてくれたのだが……
ソレは、物凄い色をしていて、
さらに、異臭を漂わせていた。
俺は、人生最大の危機を感じていたが、
退路はすでに閉ざされていた。
部屋のドアの隙間から、アヤがこちらの様子をうかがっているのだ。
俺は、死を覚悟しつつ、ソレを口にした。
「!!?」
俺は、そのおぞましい何かを全て胃に無理やり流し込み、
必死に逆流を食い止める努力を続けていた。
「セ、セイジ様、大丈夫ですか?」
「……食ったから寝る」
俺は、そう言い残して、
眠りについた。
~~~~~~~~~~
目が覚めると、昼過ぎだった。
ん?
リビングから何やら話し声が聞こえる。
誰か来ているのだろうか?
俺は、追跡用ビーコンの映像を見てみた。
『お兄さんが病気の時に来ちゃって、ごめんね』
お客さんは、りんごさんだった。
もしかして、ストーカーの事で相談にでも来たのかな?
『大丈夫だよ、兄ちゃんは私の作ったお粥を食べて、今はぐっすり眠ってるから』
あれは『お粥』だったのか、
俺は、てっきり……いや、なんでもない。
女子3人は楽しく会話していたが、だんだん見ていて飽きてきてしまった。
そう言えば、あのヤバそうな鼻ピアス男のストーカーはどうしているのだろう?
俺は、ストーカーに取り付けた追跡用ビーコンの映像を確認してみた。
!!?
その映像は、俺の家の前だった。
鼻ピアス男は、俺の家の扉にへばり付いて、中の様子をうかがっている。
キ、キモい! キモすぎる!!
そして、ヤバイ! ヤバ過ぎる!!
俺は、枕元においておいたスマフォでアヤに電話をかけた。
「あれ? 兄ちゃん、どうしたの?」
「いいかアヤ、よく聞け。
俺がいいと言うまで誰も家から出るな」
「え? どういうこと?
いま、りんごちゃんが遊びに来てるんだけど」
「りんごさんも、家から出すな」
「え!!? どういうことなの?」
「りんごさんに気づかれないように、気をつけてよく聞いてくれ」
「う、うん」
「例のコスプレ大会に現れたストーカーが、いま、
家の前に居るんだ」
「えぇぇーー!!!」
『アヤちゃんどうしたの?』
「ほら! りんごさんに気づかれないようにしないとダメだろ!」
「そ、そうか」
「ストーカー野郎は、しばらく動きそうにないから、りんごさんには泊まってもらえ」
「そんな事より、私が退治してこようか?」
「お前、死ぬぞ」
「どういう事?」
「お前は、あいつのヤバさを全然わかっていない。
あいつは、ヤバい薬を自分で注射しているような奴だ。
何をしでかすかわからないぞ」
「マ、マジで!?」
「分かったら、りんごさんには上手く話をしてくれ」
「う、うん」
さて、後はアヤが上手く話をしてくれるかどうかだ。
俺との電話を終えたアヤは、改めてりんごさんに話をふった。
「りんごちゃん、今日は泊まっていって」
「別にいいけど、さっきの電話はなんだったの?」
「えーとね、兄ちゃんがね、
りんごちゃんが帰っちゃったら、寂しくて死んじゃうって言うから……」
おいィー!!!
「え!? お兄さんが!?」
りんごさんも鵜呑みにしてるー!
予定と違って、主人公が病気にかかってしまいました。
病気って怖いですね。
ご感想お待ちしております。




