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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
エジプト編
151/438

142.忘れてた

 ピラミッドの王の間で、コウモリに追跡用ビーコンを取り付けたのだが、

 そのコウモリは、通風口に入っていってしまい、見えなくなってしまった。


 ビーコンの映像を確認してみると、通風口の中をフラフラとゆっくり進んでいっている。



「セイジ、なにぼーっとしてるの?」


 ナンシーが心配して話しかけてきた。


「あ、いや、さっきのコウモリが穴に入っていったから、大丈夫かな~って思って」

「セイジったら、せっかくのピラミッドなのにそんなことをまだ気にしていたの?」


「だって」

「そう言えば、日本には、こんな『ことわざ』があるって聞いたよ」


「ん? どんな『ことわざ』?」


「私とコウモリ、どっちが大事なの?」


 ことわざじゃないし!


 まあ、そう言われたら仕方ないな。


「ナンシーのほうが大事に決まってるじゃないか」


 俺が、ナンシーの頭をポンポンすると


「なら良し」


 ナンシーは、ニッコリ微笑んで、俺の背中を叩いてきた。


 痛いよ、ナンシー。

 まったくナンシーには、かなわないな。



 その後は、コウモリが動かないのをマップで確認しつつ、

 3人で、ピラミッド探検を楽しくたっぷり堪能した。



「ピラミッドは、ダンジョンみたいで楽しかったです」

「エレナは、ダンジョンに入ったことがあるの?」

「いえ、無いです」


 そう言えば、イケブの街に『日の出の塔』っていうダンジョンがあるんだったな、今度行ってみようかな。



 俺達は、ピラミッドを後にして、こじんまりとしたレストランで昼食をとっていた。


「いやあ、一人旅もいいけど、こうして友達と一緒に観光するのも楽しいものだね」

「ナンシーは、ずっと一人旅なんだっけ?

 凄いよな~ 俺にはとても真似できないよ」


「まあ、私も、始めの頃はかなりドキドキだったんだよ、日本でセイジにあった時は、まだ旅を始めたばかりの頃で、

 親切にしてくれるセイジが居て、本当に助かったんだよ」

「そうか、それは助けたかいがあったよ」


「そしたら、今度は、エジプトでまたセイジに助けられてしまった……

 なんというか、その…… 運命というか……」

「うんめい?」


「あ、やっぱりいいや」

「なんだよ、話を途中でやめるなよ、気になるだろ」


「あー、その……

 あ! そう言えば!

 最初に助けてもらった時、妹さんが一緒に居なかったっけ?

 あの子はどうしたの?」



 妹??


 ……


「……わ、忘れてた(激汗)」

「わ、忘れてたって!!?

 まさか、最初にあった町に置き去りなのか!!?」


「違う違う! 別行動なだけだよ」

「なんだ、びっくりしたよ」


 今、エジプトは昼の12時だから、

 日本は19時だ。


 アヤは、短大から帰ってきて。

 一人ぼっちで……


 まあ、アヤに限って、寂しくて泣いているなんてことはないだろうけど(笑)

 でも、帰ったら物凄く怒りそう‥‥


 腹に鉄板でも仕込んでおくか?



「ごめんよ、ナンシー。

 俺達は、アヤの所に行ってやらないと」

「そうか……

 寂しいけど、仕方ないよな」


「もしまた困ったことがあれば、連絡をくれ、

 すぐに飛んで行くから」

「あはは、セイジが言うと、本当に何処でも飛んできてくれそうだな」

「おうともよ」


「この旅行が終わったら、もう一度日本に行くよ、

 あ、でも、もしセイジがアメリカに来ることがあったら、その時は連絡してくれ、力いっぱい歓迎するから」

「ああ、わかった」


 俺は、握手をすべく手を差し出すと、

 ナンシーは、俺の手を取らずに……


 いきなり、ハグして来やがった。

 そして、ほっぺに、チュッと、

 柔らかいものが触れた。


 俺は、一瞬意識が飛びそうになってしまったが、

 ほっぺを膨らませたエレナが、俺の脇腹をツンツン攻撃して来たおかげで、なんとか意識を取り戻した。


 ナンシーは、俺から離れると、

 今度はエレナに襲いかかり、

 エレナにも、ハグ&ほっぺチューしやがった。


 エレナも俺と同じように固まってしまっていた。


「それじゃあね、バイバイ」


 ナンシーは、そう言うと手を振りながら、颯爽と去っていった。



 俺達は、しばらく唖然としていたが、

 気を取り直して、日本に帰還した。


~~~~~~~~~~


「ただいま~」


 玄関で靴を脱ぎながら、俺がそう叫ぶと、

 リビングからアヤが、ものすごい勢いで襲いかかってきた。


「に゛い゛ぢゃん゛~!!」


 アヤは怒りに震えた声?で、そう叫びながら。

 俺の間合いに素早く踏み込み、

 0距離から、俺の鳩尾に頭突きをかました。


「ぐほっ!!」


 やっぱり、鉄板を、仕込んで、置けば、よかった……


 肺の空気が一気に強制排出され、

 俺は意識を失った……



 気が付くと、俺はリビングのソファーに寝かされ、エレナに回復魔法を掛けてもらっていた。


「あ、セイジ様、気が付きました」


 アヤは、少し離れた場所に仁王立ちしていて、

 怒りに満ちた?真っ赤な目で、俺を睨みつけていた。


「兄ちゃんが悪いんだからね!

 連絡もなしに、ぜんぜん帰ってこないから

 しんぱ…… じゃなくて、

 私をのけ者にして、一体何してたの!」


「えーと……」


 ここは、正直に話しておかないと後が怖そうだ。


「ナンシーをカイロに送っていくことになって

 その途中でバスジャックに襲われて」

「バスジャック!?」


「俺が倒したから平気だったけど」

「まあ、兄ちゃんなら平気だろうけど」


「その後、カイロに着いて、一旦日本に戻ってきたんだけど、日本は夜の1時でアヤは寝てたから、起こさなかったんだ」

「まあ、1時じゃしかたないかな」


「そして、ナンシーに誘われて、高級ホテルでディナーを食べて」

「ディ、ディナー!?」


「高級ワインを勧められて、がぶ飲みしてたら酔っ払っちゃって、気がついたら朝になってて」

「……」


「その後、ピラミッドを見に行って」

「ピ、ピラミッド!!!?」


「それで帰ってきたんだ」

「……」


「アヤ、どうした?」

「100回タヒ(ーー)ね!!」


 どうやらアヤの怒りが有頂天に達したようで、

 俺は、アヤのいろんな攻撃を受けて―


 もう一度、気を失ってしまった。


妹怖い。


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