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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
エジプト編
146/438

137.時差

「金貸して!」


 ナンシーは、抜け抜けと言いやがった。

 まあ、これくらいじゃないと、世界一周旅行なんてやってられないのかな。


「まずは、事情を聞かせてくれ」

「そうよね、分かった話すわ」


 ナンシーの話によると―

 ケチャップ強盗に上着と荷物を盗まれ、犯人を何時間も追い掛け回していたが、結局逃げられ、体力を使い果たし、脱水症状を引き起こして倒れていたと言うことらしい。


 ナンシーがケチャップ強盗にあった時、【警戒】魔法が知らせたはずなのだが、

 その時間、俺はぐっすり寝ていた時間なので、気が付かなかったみたいだ。



「事情は分かった、しかし、俺達も今は手持ちが無いんだ、直ぐにはムリだ」

「そうよね、もう21時を過ぎてるし、銀行も開いてないものね」


 21時? ああ、そうか、日本は朝だったけど、時差があるから、こっちは夜なのか。


「ナンシー、今日泊まる所はあるのか?」

「無い、今日だけ、あなたの泊まってるホテルに泊めてくれない?」


 どうしよう、ナンシーを助けるために何も準備せずに来ちゃったからな~

 現地通貨も無いし、ホテルもとって無いし……



ピコン!


 俺の頭の上に、()()が点灯した。


「実は俺達、今日はテントで寝る予定だったんだ」


 俺は、ナンシーからは見えない位置でインベントリからテントを取り出した。

 このテントは、ゴールデンウィーク中の活動に備えて買っておいたものの、結局使っていなかったやつだ。(※86話参照)

 本当は異世界で使うはずだったのに、こっちの世界で使うことになるとは……


「oh! テント! 素晴らしい!」


 驚き方が、アメリカンだな。


「ナンシー、ここら辺で、テントを張れるところはない?」

「確か、あっちに空き地があったはず」



 案内されて行ってみた空き地には―


 10人ほどの子供たちが路上生活をしていた。



「ここ? なんか子供たちがいっぱい居るけど?」

「昼間見た時は、空き地だったんだけど……」


 テントを担いだ外国人がやって来たことで、子供たちは警戒していた。


 そして、子供たちのリーダーっぽい奴が現れ、話しかけてきた。



「お前たち何しに来た?

 ここは俺達のねぐらだ、勝手に入ってくるな」


 ナンシーは言葉が分からず、肩をすくめていた。


「今日、泊まる場所が無くて困っているんだ。

 今日だけ、この場所を使わせてもらえないか?」


『oh! セイジ、アラビア語も分かるのか!?

 あなた、すごいのね』


 まあ、人族と魔族の通訳をやるくらいだしね!



 子供たちは、何やら話し合っていたが―


「使わせてやってもいいが、何か食べ物をくれ」


 と、言ってきた。



 食べ物か~

 オークの肉ならたくさんあるけど……

 あれって、豚肉に近いよね。

 エジプトってイスラム教じゃなかったっけ?

 じゃあ、オークの肉はダメか。


 お米ならあるけど、食べるかな?


「米ならあるけど、米、知ってる?」

「ああ、米な、

 米くらいなら食べたことあるぞ」


 どうやら、エジプトにも米があるらしい。



「じゃあ、俺が料理するから、それでいいか?」

「分かった、今日一日だけこの場所を使わせてやる、米は多めに頼むぞ」


 交渉が成立し、

 俺は、ご飯を炊く係、

 アヤとエレナとナンシーは、テントを張ってもらった。


 レジャーシートをひいて、その上にちゃぶ台を出し、

 五合炊きの炊飯ジャーの釜に米を入れて、

 ペットボトルの水で米を研いでいると―


 子供たちが、見学しに集まってきてしまった。


 俺が米を研いで、研ぎ汁を捨てると―


「あ!?」


 子供たちが一斉に驚く。


「どうした?」

「あんなに沢山、水を捨てるのか?」


 そうか、ココらへんは水が貴重なのか。



 しかし、ここで困ったことが発生した。


 お米に水を吸わせるために、一旦インベントリに仕舞いたいのだが、

 子供たちが、じっと見ているせいでインベントリが使えないのだ。


 しかたない、外国だし、子供たちだし、

 少しくらい見せちゃってもいいか。


「これから、手品をやってみせるから、よーく見ておけよ~」

「おじさん、手品できるの?」

「お兄さんな」


 俺は、手品っぽい手つきをして、研いだ米をインベントリにしまった。


「「おー! 消えた!!」」


パチパチパチ


 夜中に外国の子供たちから拍手を受けているこの状況、なんか変な感じ。


 俺は、インベントリ内の研いだ米を30分程時間を進めて、水を吸わせ。

 また、手品っぽい手つきで、インベントリから取り出す。


「「おー!! 出てきた!!!」」


パチパチパチパチ


 なんとかごまかせた。


 そして、前にビリビリ魔石で作った【魔石コンセント】で、炊飯ジャーのスイッチをON!


「「おー!! 電気が点いた!!!」」


パチパチパチパチ


 どうやら、これも手品だと思われたらしい。



 調子に乗った俺は、

 インベントリから紙コップを取り出して、子供たちに配り、

 【水の魔法】を使って、水芸のように水を注いであげた。


 子供たちは大喜びして騒いでいると、アヤとエレナがやって来た。


「兄ちゃん、何やってるの」

「手品」

「手品ね~」


「それより、ナンシーさんは?」

「もう寝ちゃった」


 どうやら、けっこう疲れてたみたいだ。



 しばらくしてご飯が炊きあがり、俺とエレナで手分けしておにぎりを作った。

 具はシーチキンマヨネーズだ。

 アヤは、子供たちと遊んでいた。


 おにぎりはクッキングシートに乗せて、子供たちに配った。


「なんだこれ!?」

「米なのに甘い!」

「中になにか入ってる!」


 みんな美味しそうに食べていたが、5合を10人で分けたので、茶碗一杯くらいしか無くて、もっと食べたがっていた。

 うーむ、もっと大きな炊飯ジャーがほしいな。



 おにぎりパーティーが終了し、夜も更けて、子供たちも寝てしまった。



 俺は、ナンシーが寝ているテントにバリアを張って、

 アヤとエレナを連れて、日本に帰ってきた。


「兄ちゃん、なんでナンシーさんを置いて、日本に帰ってきたの?」

「なんでって、アヤ、

 今日は平日なんだから、短大に行く日だろ」


「え!?」


 エジプト時間で夜の0時、日本時間で朝の7時だ。


「こ、これが時差ボケというものか……」


 アヤは、混乱していた。


なるべく現実に即した話にしているつもりだけど、

微妙に合ってないこととかもありそう。


ご感想お待ちしております。

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