130.コスプレ大会
翌朝、早くに起きて、しっかりと朝食を食べ、
衣装、アクセサリ、カツラなどを用意して、
5人一緒に、お台場に向かった。
「セイジ様、この電車は、前に乗ったのと違う感じですね」
「これはモノレールって言う乗り物だよ」
「ものれーる? 電車とは違うのですか?」
「あまり変わらないけど、このモノレールには運転手が居ないんだ」
「そういえば、御者が居ません。
これはゴーレムなのですか?」
「御者? ゴーレム?
エレナくんの言葉は、少し変な時があるね」
また、舞衣さんが鋭いツッコミを……
「日本と外国じゃ、もとの言葉が違うからね~
若干変なところがあるくらいは、しょうが無いさ」
「まあ、そうなんだけど……
エレナくんの場合は、言葉というより、
なんかこう……」
なんとか誤魔化さないと……
「あ! 見えてきたぞ!!」
「あ、何ですかあの建物は!!
あれは魔法で浮いてるんですか?」
なんとか、ごまかせたかな?
しかし、あの建物を初めて見る人は、必ず驚くよな。
デカい『のこぎり』も、刺さってるし。
モノレールを降り、会場に向かうと―
一般入場の人たちは、物凄い列を作っていた。
「ひ、人が、す、すごく沢山います!」
「エレナちゃん、迷子にならないように、手をつなごう」
「は、はい」
エレナは、怯えてしまっている。
夏冬の薄い本のお祭りに比べたら、こんなの全然だぞ。
「コスプレイヤーの方は、こちらにお並び下さい」
係員の指示にしたがって列に並んだ俺達だったが、
列に並ぶやいなや、アヤ達は『魔法少女・シィ』の話を大声で話している。
直ぐ前に並んでいる分厚いメガネの女子も、チラチラこっちを見ている。
おそらく、うるさくて注意しようとしているに違いない。
「アヤ、周りの人達に迷惑だろ。
もうちょっと静かにしてろよ」
「だって、周りがうるさくて、大声じゃないと声が聴こえないんだもん!」
分厚いメガネの子も、こっちを更にジロジロ見ている。
一応、謝っておくか。
「うるさくて、すいません」
「い、いえ……」
あれ?
この分厚いメガネの子、一人で来ているのかな?
一人でこんな大会に参加するとか、凄い行動力だな。
そんなこんなで、並ぶこと数十分。
俺達は、やっと会場内に入ることが出来た。
しかし、そこには悲しい別れが待っていた。
「セ、セイジ様とお別れなんですか!?」
「エ、エレナ……」
「エレナちゃん、更衣室は、男女別々なんだから、当たり前でしょ!」
俺は、アヤに連れて行かれるエレナをいつまでも見送っていた。
バカなことをしてないで、さっさと俺も着替えないと。
男子更衣室で一人寂しく着替えを済ませ、
さっそく会場に行ってみたのだが……
まだ、アヤ達は来ていなかった。
まあ、俺のコスプレは、単なるゲーセンの店員さんの格好だから、着替えるのに、ほとんど時間がかからなかったんだよね。
暇なので、他の人達のコスプレを、見て回ってみることにした。
なんというか、露出の多い服?を着ている人も結構いるな。
俺は若干前かがみになりながら、ひと通り見て回った。
あらかた見終わった所で、何やら人だかりが出来ているのを発見した。一体なんだろう?
『なんだこれは、完成度高すぎ!』
『あの子は、6話のロリっ子ランちゃんではないか!
イエス、ロリっ子、ノータッチ!!』
『ア、アプレちゃん、萌え~!!
アニメより可愛い!!!』
『シジルちゃんも完成度高いけど……
クールビューティのはずのシジルちゃんが、
周りの女の子を見ながらハアハアしているぞ。
【バグ怪人】に洗脳でもされているのか?』
『シィちゃんも可愛いけど……
なんかアニメより若干性格悪そう』
性格が悪そうな『魔法少女・シィ』といえば……
どうやら、アヤ達みたいだ。
「すいません。ちょっと通して下さい」
なんとか人をかき分け、アヤ達に合流しようとしているのだが、人の数が多すぎてなかなか近づけない。
それでも、なんとか人をかき分け進んでいく。
うわ、誰だ、俺のケツを触ったのは!
色々トラブルを乗り越えつつ、やっとアヤ達のもとへ辿り着いた。
「あ、セイジ様」
「あ、兄ちゃん、やっと来た。遅いよ」
「俺は先に来て、色々と見て回っていたんだ」
「そうだったんですか、心配しました」
そう言うと、
エレナは、俺に抱きついてこようとした。
「エレナ、ちょっと待った」
「セイジ様、どうしたんですか?」
大勢人が見てる前で、これはマズイ!
『なんだ、あの男は?』
『あー、あれだよ、ゲーセンの店員の……
名前はなんだっけ?』
『なんか地味な奴だな。ちょっとオッサンだし』
なんか周りの人達が色々言ってやがる。
ってか、全部聞こえているぞ!
「今の俺達は、『魔法少女・シィ』の登場人物なんだから、それに成り切らないと」
「そうですね、わかりました」
なんとかエレナを説得し、最悪の事態は回避できたみたいだ。
その後は、4人が色々なポーズを撮って、周りの人達が次々と写真を撮っていった。
俺はというと、マネージャーさんのように、あれこれ雑用をこなすばっかりだ。
しばらくして、周りの人達も落ち着いてきたのだが。
そいつは、いきなり現れた!
「見つけましたわ、魔法少女シィ!
ここ出会ったが百年目! 覚悟なさい!!」
そこに現れたのは!?
しらない女性だった。
「だれ?」
「セイジ様、あれは『魔法少女・シィ』のライバルキャラ、『リンゴちゃん』です」
そんなキャラも居たのか。
「いきなりすいません」
あ、素に戻った。
「同じ作品でキャラも被って居ませんし、ご一緒してもいいですか?」
「いいよいいよ!
私、丸山アヤ。よろしくね」
「私は、佐藤りんごって言います。
本名も『りんご』なんです。よろしくお願いします」
こうして、ライバルの『リンゴちゃん』を加えて、
仲良くコスプレ大会は続いた。
しかし、このりんごちゃん、どこかで見たことがあるような気がする……
どこで見たんだっけ??
コスプレ大会がとうとう始まりました。
ご感想お待ちしております。




