128.試着会
翌朝目が覚めると、もう昼過ぎだった。
「兄ちゃん、起きてくるの遅い。
パン食べる? 私が焼くよ~」
ふぁっ!?
アヤが料理をするだと!?
「ん? 兄ちゃん、私のおでこがどうかしたの?」
「いや、熱でもあるんじゃないかと思って」
「私がパンを焼いたくらいで、それはないでしょ!
私ももう18歳なんだから、パンを焼くくらいするよ!」
「そ、そうだよな。ごめん」
「わかればよろしい」
俺は、パンをアヤに任せて、顔を洗いに洗面所へと向かったのだが……
通りかかった台所のゴミ箱に、真っ黒焦げの食パンが数枚……
食べ物を粗末にする奴は、万死に値する!
~~~~~~~~~~
エレナとアヤと3人で、ちょっと焦げた食パンを食べていると―
「兄ちゃん、今日はなにもしないの?」
「そうだな~ 明日のコスプレ大会の準備くらいかな」
「そうか、明日か! 忘れてた」
「セイジ様、準備って何をすればいいんですか?」
「俺の準備は、頼まれてた髪飾りとバトンの、ちょっとした手直しをするくらいかな。
衣装の方はどうなってるんだ?」
「ちょっと百合恵先輩に聞いてみる」
アヤが百合恵さんに、電話で確認してみると―
衣装はもう出来上がっているので、
今日、ここへ持ってきてくれて、衣装合わせをしようと言う事になった。
「それじゃあ、それまでに髪飾りとバトンの手直しをしちゃうか」
俺は、焦げたトーストを口に放り込んで、インスタントコーヒーで流し込み、
インベントリから、風水土火の髪飾りとロッドを取り出した。
風と水は+1のもあるけど、もったいないので、普通のヤツの方を使うことにした。
「兄ちゃん、これをどう手直しするの?」
「まあ、見てな」
俺は、水のロッドを手に取り、
ノートパソコンで『魔法少女・シィ』の画像を見ながら、
【金属コントロール】で、形を変形させていった。
「おお、すごい! 形が変わっていく!」
「セイジ様、すごいです! 土の魔法ですか?」
「そうだ、【金属コントロール】の魔法だよ。
さて、こんなもんかな?」
「兄ちゃん、ここの所を、もうちょっとこうできない?」
「わかった」
俺は、アヤとエレナの指導のもと、髪飾りとバトンの修正を行った。
「どうだ! これで完璧だろう!」
「うん! いいね」
「セイジ様、すごいです! シィの髪飾りとバトンにそっくりです!」
風水土火の髪飾りとバトンは、かなりの出来になった。
ふと、気になって、出来上がったばかりの髪飾りとバトンを鑑定してみると―
【シィの髪飾り+3】【シィのバトン+3】
【ランの髪飾り+3】【ランのバトン+3】
【アプレの髪飾り+3】【アプレのバトン+3】
【シジルの髪飾り+3】【シジルのバトン+3】
「ふぁっ!!?」
どうしてこうなった!?
「セイジ様、どうされました?」
「なんか、鑑定してみたら、
+3になってて、名前が変わってた」
「なにそれ!」
まあ、前より強くなってるみたいだし、まあいいか。
~~~~~~~~~~
しばらくして、百合恵さんと舞衣さんがやって来た。
「こんにちは」「じゃまする」
「「「いらっしゃい」」」
おやつのクッキーと紅茶を用意していると、
百合恵さんが、作ってきてくれた衣装を取り出して、アヤとエレナに見せていた。
「すごいです! 本物みたいです!!」
「完成度たけーなオイ」
「百合恵先輩、いつもは変態っぽいのに、こういう事だけは凄いですね!」
「変態は余計です!」
後輩から変態扱いされる、百合恵さん。
一体いつもは何をしているんだ?
「私、すぐ着てみたい!」
「私も、着てみたいです」
「という訳で、兄ちゃん! あっち行ってて」
「え!?」
「着替えるから、あっち行ってて」
俺は、アヤに蹴飛ばされつつ、自分の部屋に監禁されてしまった。
リビングの方から、キャッキャウフフと、かしましい声が聞こえてくる。
さみしい……
俺は、寂しさを紛らわせるために、自分のステータスを確認しておくことにした。
┌─<ステータス>─
│名前:丸山 誠司
│
│レベル:45
│HP:4,657
│MP:8,710
│
│力:311 耐久:321
│技:571 魔力:871
│
│スキル
│ 情報5、時空5
│ 風5、水4、土4
│ 雷6、氷4、闇3
│ 肉体強化4
│
│ 体術3、棒術4
│ 剣術5、刀術5
│ 短剣術4
│
│ 薬品製作4
└─────────
レベルが45まで上がってる!
まあ、色んな敵と戦ったし、これくらい上がるか。
MPがすごい量になってるな、
これだけあれば追跡用ビーコンも8個使えるだろう。
まあ、戦争も終わったし、8個も使うことはもう無いだろうけど。
【土の魔法】レベル4で【金属コントロール】を覚えたのは確認していたけど、他はまだ見てなかったな。
【風の魔法】レベル5で【風精霊召喚】
【肉体強化魔法】レベル4で【力強化】と【魔力回復速度強化】の魔法をそれぞれ覚えていた。
【風精霊召喚】は【雷精霊召喚】の風版だろう。
今度、時間があるときに召喚しよう。
【力強化】は、ステータスの『力』を強化する魔法なので、分かりやすい。
しかし、【魔力回復速度強化】は、MPを使ってMPを回復する魔法みたいなんだけど……
これって、矛盾していないか?
詳しく見てみると、魔法に込めたMPが、10分掛けて2倍になって返ってくる魔法らしい。
つまり、この魔法に6000のMPを込めると、1秒につき20ずつ、1分で1200、10分で合計12000のMPが、徐々に返ってくるということらしい。
10分でMPを倍に出来るので、それなりに使えそうだ。
そんなことを考えていると―
「兄ちゃん、もうこっち来てもいいよ~」
アヤの呼ぶ声が聴こえる。
いそいそと、リビングに顔を出すと―
『魔法少女・シィ』のメインメンバー4人が、そこに居た。
「どう? 凄いでしょ?」
「ああ、凄い。本物かと思ったよ」
アヤは、ドヤ顔をして、
エレナは、少しテレていて、
舞衣さんは、この衣装を着た状態での体の動かし具合を確認していて、
百合恵さんは、そんな3人を興奮した目で見ながら、ハアハアしていた。
どんな集団だよ!
「あ、そうだ、アクセサリを用意したんだった。
いま持ってくるね」
俺は用意しておいた、髪飾りとバトンを持ってきた。
「す、凄い! 本物みたいですね!!」
百合恵さんは、だいぶ喜んでくれてるみたいだ。
「なんかこれ、変な力を感じる……」
舞衣さんは、何かの力を感じているのか?
この人は一体何者なんだろう?
髪飾りとバトンを装備した4人は、まさに完璧だった。
百合恵さんは、エレナにあんなポーズや、こんなポーズをさせて写真を撮りまくり。
アヤと舞衣さんは、アニメの中の戦闘シーンを再現しようと暴れまわっていた。
部屋を壊さないで下さい……
俺用の衣装も着てみたが、
エレナ以外は、あまり関心を示してくれなかった。
いいんだ、俺にはエレナさえ居れば……
最後に4人の集合写真を撮って、試着会は終わった。
折角なので、
舞衣さんと百合恵さんには泊まってもらって、
明日は、みんな揃ってコスプレ大会に行こうと言う話になった。
やっとコスプレ大会の話が始まりました。
あと、ステータスを少し改良してみました。
ご感想お待ちしております。




