122.2つ目の条件
『次の条件は、属性強化魔石9種類だ』
属性強化魔石!?
魔王様、ずいぶん変な条件出してきたな。
しかし、また、王様達には実現不可能な条件だな。
~~~~~~~~~~
俺達は、控室用のテントに戻ってきた。
「属性強化魔石9種類だ、
今度の条件は、大したことが無さそうだ」
「王様、それは違います」
「ライルゲバルト、どういう事だ?」
「たしか、属性強化魔石を作るためには、
その属性魔法を使える者が必要だと聞きます」
「属性魔法が使える者くらい、兵士や冒険者の中にいるだろう」
「9種類ということは、属性魔法8種類に、回復魔法を合わせて9種類ということです」
「属性魔法8種類?」
「そうです、風水土は居るでしょうが、
氷闇火光は滅多に居ません」
「確か、お前の娘が、光の魔法を使えたのではなかったか?」
「はい、リルラは光の魔法を使えますが……
今は、イケブの街におります」
「そこは、セイジの魔法で」
「光は、それでなんとかなるでしょう。
しかし、王様、お忘れですか?
属性魔法8種類と言うことは、
雷も必要ということですぞ!」
「か、雷!?
む、ムリだ……」
どうしよう、また俺が一肌脱ぐ流れなのか?
しかし、王様とライルゲバルトが話を振ってくるまで待つか。
「もうお終いだ……(チラッ)」
「こうなったら、玉砕覚悟で……(チラッ)」
王様とライルゲバルトが、チラチラと俺を見てくる。
う、うざい……
「諦めるなら、そこで俺の通訳は終了ですね。
それじゃあ、さようなら」
「ま、待て! 待ってくれ!」
「王様、まだ何か用ですか?」
「お主の不思議な魔法で、何とか出来ないのか?」
俺は、どこぞの猫型ロボットかよ!
「まあ、出来るけど」
「で、出来るのか!!?
では、さっそく……」
「で、報酬は?」
「ほ、報酬は……
さっき、ゴールドを二倍払うと言ったではないか。
あれで十分であろう」
「あれは、二百万ゴールドを立て替える事への報酬だろ!」
「で、では、属性強化魔石1つにつき、一万ゴールドくらいでいいか?」
「良いわけあるか!!
やっぱり、帰るか……」
「ま、待て、待ってくれ!
報酬は、なんでも望むものをやるから!」
「ん? 今、なんでもって言ったよな?」
「い、言ったっけ?」
うーむ、追跡用ビーコンを付けて、記録しておけばよかった。
ゴブリンキングに付けてたビーコンが余ってるから、俺自身に付けておくか。
「どうした、やってくれるのか?」
「そうだな~
まあ、属性強化魔石を用意するのに、色んな人の手助けが必要だから、その人達に、それ相応の報酬を約束してくれ」
「わ、わかった、それで手を打とう」
「よし、言質は貰った(魔法で記録した)し、早速行ってくるか」
「頼んだぞ、勇者よ!」
都合のいい時だけ勇者扱いかよ!
~~~~~~~~~~
俺は、【瞬間移動】を使って、イケブの街に来ていた。 リルラに光の属性強化魔石を作ってもらうためだ。
例のごとく、兵士の人に顔パスで入れてもらって。
リルラの部屋のドアを、ノックしようとした時。
「セ、セイジ……」
あれ? 中から俺を呼ぶ声が。
「リルラ、ノックする前に、よく俺が来たことがわかったな」
ガタッ!
あれ? なんか様子が変だな。
改めてノックしてみるか。
コンコン。
「リルラ、どうかしたのか?」
「セ、セイジなのか?」
「ああ、そうだけど、気づいてたんじゃなかったのか?
それより、入ってもいいか? 急ぎのようなんだ」
「ま、待て。ちょっと待ってくれ」
リルラの奴、どうしたんだろう?
部屋の中から、ガタゴトと何やら音が聞こえる。
しかし、やけに時間がかかるが、いったい中でなにをしてるんだ?
「いいぞ、入ってくれ」
やっとか。
俺が、部屋の中に入ると―
ドレス姿のリルラが居た。
「あれ? なんでそんな恰好なんだ?
これから出かけるところだったのか?」
「私のことはどうでもいいだろ。
それより何のようだ?」
あれ?
リルラの奴、なんか顔が赤いな、熱でもあるのか?
なんか、息が乱れてるし、部屋の中で運動でもしていたのか?
「何をジロジロ見ているのだ!」
「ああ、悪い悪い、
ちょっとリルラに頼み事があってな」
「た、頼み事?」
「この国の存亡に関わる、重大な頼み事だ」
「国の存亡!?」
「頼めるか」
「あ、ああ」
「つまり、この石に光の魔法を込めればいいのだな」
「ああ、俺が合図したら頼む」
「わかった」
「よし、それじゃあ早速行くぞ」
俺がヌルポ魔石に手を持って行き、リルラも手を伸ばしたのだが……
リルラの手が、俺の手に触れてしまい、
「あっ」
リルラは、急に手を引っ込めて、俯いてしまった。
「リルラ、何やってるんだ」
「す、すまん」
俺は、リルラの手を掴んでヌルポ魔石に触らせた。
しかし、リルラの手が何故かしっとりしている、緊張して手汗でもかいてるのかな? まあいいか。
「3、2、1で行くぞ」
「は、はい」
「いくぞ、3、2、1、はい!」
二人で、ヌルッポ魔石に魔力を込めると……
ヌルポ魔石が輝き出し。
光り輝く魔石が出来上がった。
「……!?」
リルラは、出来上がった魔石を手に取り、瞳を輝かせてうっとり見つめていた。
「こ、これは何なのだ!?」
「光の属性強化魔石だよ」
「光の属性強化魔石! う、美しい……」
「リルラ、ありがとな」
「セ、セイジ、ちょっと待ってくれ」
「なんだ?」
「その魔石は持って行ってしまうのか?」
「ああ、これで国が救われるよ」
「もう一個作って、それを私にくれないか?」
「ヌルポ魔石もまだあるし、まあいいか」
「そうか! ありがとう」
それから俺とリルラは、もう一個光の属性強化魔石を作った。
「それを売ったりするなよ」
「これを売るなんてとんでも無い!」
食べてしまうんではないかと思うほど、魔石に頬ずりをしているリルラを放っておいて、
俺は次の場所へ【瞬間移動】した。
今回は、なぜか凄く筆が進んでしまった。
ご感想お待ちしております。




