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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
時空魔法と情報魔法編
13/438

010.泥棒追跡

 【警戒】魔法に反応した黄色い点は、『危険』ではなく『注意』を示すものらしい。

 取り敢えず、ちょっとした準備をして、様子を見ておくことにした。


 黄色い点は、俺の背後から近づいてきてー


「ごめんよ!」


 何かがぶつかった軽い衝撃とともに、そんな声が聞こえた。


「あっ!セイジ様、お金の袋が!」


 エレナは、思わずさっきぶつかった人物を追いかけようと、駆け出したのだが…… 勢い余ってコケてしまった。


 俺はとっさに、【クイック】の魔法を自分に掛けて、エレナが地面に激突する寸前で受け止めることに成功した。


「あ、セイジ様、ありがとうございます」


 抱きつくような格好になってしまって、エレナは顔を真っ赤にしている。か、かわええ~


「ごめんなさい、私のせいで犯人を見失っちゃいました」

「大丈夫、金貨と銀貨はインベントリに移してあるから、あの袋には10ゴールドしか入れてなかったしね」

「そうだったんですか、いつの間に」

「うん、流石に99枚の金貨が重くって。それに、あの袋に魔法を掛けておいたから【追跡】も出来るよ」

「さすがです、セイジ様」


 俺達は、犯人の追跡を開始した。


 【追跡】の機能を使って、犯人の様子を見てみると…… 裏路地に隠れて、袋の中身を確認していた。

 袋の中に10ゴールドが入っているのを見つけた犯人は、しっぽを振って喜んでいた。


「こっちみたいだ」

「はい」


 エレナは何が楽しのか、ニコニコ顔で付いてくる。

 更に犯人の行動を監視していると…… パン屋でパンを購入していた。


「どうやら犯人は、パンを5個買ったみたいだ」

「パンを5個も、よっぽどお腹が空いていたのでしょうか?」

「うーむ、パンは食べずに、何処かに運ぶみたいだ」

「なぞがなぞを呼びますね」


 俺達は、さらに犯人の後を追った。


「ここが犯人のアジトですか?」

「ああ、ここに入っていった」

「でも、ここって、教会ですよ?」

「そうみたいだな。入ってみようか」

「はい」


 俺達は、犯人が入っていった教会に足を踏み入れた。


 教会の中は、ガランとしていて誰もいなかった。


「あっちの方で人の声が聞こえます」


 俺達は、エレナの指差す奥の部屋へと進んだ。


 奥の部屋に踏み入ると、犯人と出くわしてしまった。


「お前は、さっきの!」


 犯人は、俺に襲いかかってきた。


 俺が犯人の両手を捕まえると、犯人は足がつかなくなり、身動きが取れなくなってしまった。


「はなせ!」


 俺に捕まり、すっかり借りてきたネコのようになってしまった犯人……

 まあ、猫なんだけどね。


 犯人は猫ミミ、猫しっぽの10歳くらいの女の子だった。


「セイジ様、こちらに来て下さい」


 エレナが、更に奥の部屋から呼んでいる。


「そっちに行くな!」


 犯人の女の子の必死の訴えを無視して奥の部屋に入ると……


 シスターの格好をした24、5歳くらいの女の人が、粗末なベッドで苦しそうに寝ていた。病気で寝込んでいるのだろう。犯人の女の子は、この病気のシスターにパンを食べさせたかったらしい。


「その人の病気、重そうなのか?」

「だいぶ苦しそうです、私が魔法で治してみます」


 エレナはシスターの額に手を載せて、魔法を唱え始めた。


「ま、魔法!」


 犯人の女の子は俺に両手を掴まれ、ぶら下がったままエレナの魔法に驚いていた。


 エレナの魔法が発動し、シスターの体が光に包まれると、シスターはだいぶ苦しさが減ったようで、静かに眠っていた。


「な、治ったの?」

「時間を置いて、後何回か魔法をかけたら、良くなるはずです」

「あ、ありがとう」


 犯人の女の子は、エレナにお礼を言った。


 すると、3人の子どもたちがどこからか出てきた。おそらく、何処かに隠れていたのだろう。

 3人は5~8歳くらいで、みんな少し痩せていた。


「シスター、しなない?」

「大丈夫よ、魔法で病気を軽くしたから」

「おねえちゃん、ありがとう」


 子どもたちは、口々にお礼を言った。


今後は投稿ミスをしないよう気をつけるようにします


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