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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
戦争解決編
129/438

120.逆鱗

 ゴブリンキングの死亡により、

 戦いは、急に終わりを告げた。


 当初戦う予定だった敵は、すぐ隣に居て、

 いそいそと撤兵の準備をしている。


 ほとんどの兵士たちが、微妙な空気を醸し出しながら、せっせと作業に当たっていた。


~~~~~~~~~~


 俺は、魔王様の本陣にやってきていた。


 俺以外にも、ライルゲバルト、ロンド、エレナ、ブランフォード、何故かアヤもいる。



『それで、セイジよ、これは何の集団なのだ?』

『ここにおられる方々は、人族側の代表の人たちでして、魔王様と和平の会談をしたいとのことです』


 それから俺は、一人ひとりを紹介していった。


 てか、なんで俺が通訳しないといけないわけ?

 まあ、俺しか通訳できないから、仕方ないんだろうけど……



 ひと通り紹介を終えた所で、魔王様が質問してきた。


『人族の王は何処にいるのだ?』

『王様は、ここには来ていません。王都にいます』

『は? これだけの戦いに王が出てきていないのか!?』


 どうやら、魔族たちの文化では、

 『王は戦いに赴くもの』と言う認識らしい。



 その後、俺の通訳で、なんとかつつがなく会談が進められていた。


 のだが……


 それは、休憩中に起こった。



 会談が長引き、一旦休憩となった。

 魔族側がお茶を用意してくれて、

 一つの大きなテーブルを挟んで、魔族側と人族側が和気あいあいと、お茶を飲んでいた。


 お茶は、ちょっと変わった味だったが、無礼を働くようなバカな奴は、一人も居なかった。



 しかし……


 何の前触れもなく、魔王様が怒り始めたのだ。


『貴様! 俺に何の魔法を掛けた!!』


 魔王様は急に怒鳴り散らして、ブランフォードに詰め寄り、胸ぐらを掴んだ。

 ブランフォードは、急に怒りだした魔王様に対して、怯えきっている。


(忘れている人もいるかもしれないが、

 ブランフォードは、例のキツネ目の貴族で、

 俺達がゴブリンと戦っている最中に、勝手に魔王軍に向かって進軍した奴だ。)


『魔王様、急にどうしたんですか!?』

『どうしたもこうしたもない!

 こいつが、俺に対して、悪意のこもった魔法を掛けやがった』


 どうやら魔王様は、自分に掛けられた魔法を感知する能力があるらしい。



「ブランフォードさん、魔王様に対して一体何の魔法を掛けたんですか?」

「あ、あ、あのだな…… か、鑑定の、魔法をだな」


 キャンタマが縮み上がっているらしく、ブランフォードはシドロモドロになっている。


 そういえばこいつ、俺に対しても【鑑定】の魔法を掛けてきやがったな。

 俺も不用意に魔王様を【鑑定】しなくてよかった……



『魔王様、この者が掛けた魔法は、【鑑定】の魔法だそうです』

『おのれ! この俺に向かって【鑑定】だと!!』


 なんか、凄い怒ってる。どうしよう。



 魔王様は、胸ぐらをつかんでいたブランフォードを突き飛ばして―


 日本刀を、鞘から抜いた。



『この件は、我々に対する宣戦布告と見なす!

 覚悟しろ!!』


 え!? 宣戦布告!?

 魔王様のこの怒り様は異常だ。


 勝手に【鑑定】されるのは嫌なことではあるが、

 これほど激しく怒る事なのか?



 人族側の面々は、魔王様に凄まれて、誰も動けないでいた。

 ゴブリンキングの首を跳ねてしまうような相手だ。

 その人が、目の前で武器を構えて激怒している。

 こんな場面に出くわしたら、誰だって恐れおののくだろう。


「セ、セイジ。魔王様は、何と言っているんだ?」

「えーっと……

 宣戦布告と見なす、そうです……」

「な、なんだと!!?」


 そして、魔王様に突き飛ばされ、腰砕けになっているブランフォードに、全員の視線が集中する。


「わ、私は……

 情報収集の、一環として……

 こんなことに、なるとは……」


 ブランフォードは、あまりの事に顔面蒼白になり、

 そのままぶっ倒れてしまった。


~~~~~~~~~~


 会談は中止になってしまい。


 人族の貴族たちは、自分たちの陣に戻り、

 対応会議を開いていた。


「ライルゲバルト殿、どうするおつもりか」

「どうもこうも無い。

 このままでは、あのゴブリンキングを一撃のもとに葬り去るほどの魔王と……

 戦争になってしまう。

 我々では、勝つことは不可能だ。

 どんな犠牲を払っても、戦争を回避せねば……」


 この前まで魔王軍と戦う気満々だった奴がよく言うぜ。


「今後、魔王との交渉は、俺一人で行う。

 セイジは引き続き通訳を頼む」


 俺とライルゲバルトは、改めて魔王との会談に向かった。


~~~~~~~~~~


 ※このシーンは、セイジが通訳をしてます。


「先程の件は、こちらの落ち度を認め、陳謝いたします」

『謝罪などいらぬ』

「そこを何とか、ご容赦いただきたい」

『問答無用!

 そもそも、お主は、人族の王では無いではないか!

 話があるなら、お前たちの王を連れて来い』


「王は王都に居りますゆえ、ここまで来るのに半月はかかると思います。

 それまで、お待ちいただけるでしょうか?」

『待たん! 今日の日没までに王を連れてこなければ、

 魔王軍は、このまま人族の街に攻め入る。

 覚悟しておけ!』


 魔王様、完全にへそを曲げてしまっている。

 子供かよ!


~~~~~~~~~~


 俺とライルゲバルトは、控室用のテントで対応を協議していた。


「どうすればいいんだ……」

「さあ、どうだろうね」


「お、お前! お前もちゃんと考えんか!」

「なぜ俺が考えなくちゃいけないんだ、俺には関係ないだろ」

「国が滅ぶかどうかという瀬戸際なのだぞ!」

「俺の国じゃない」

「……そ、それは、そうだが……

 エレナ様、エレナ様はどうする、

 国が滅べば、エレナ様も悲しむぞ」


「エレナ一人くらいなら、俺が(かくま)って、平和に暮らして行くさ」


「リルラはどうなる!」

「リルラ? お前の娘のリルラは……

 魔王様に無理やり手篭(てご)めにされてしまうかもしれないな」


「な!? い、言わせておけば!!」


 ライルゲバルトは俺の胸ぐらを掴んできた。


「そうだ! お前は、急に消えたり現れたりする、おかしな魔法を使っていたな。

 あれで何とか王を連れてくることは出来ないのか?」

「出来るよ」


「出来る!? 出来るのか?

 ならば早く王を連れてくるのだ」


「報酬は?」

「お、おのれ…… 足元を見やがって。

 いくら欲しい!」


「10万ゴールド」

「10万ゴールドだと!?」


「払えないなら、代わりにリルラでもいいぞ」

「なんだと!!?」


「どうする、10万ゴールド払うのか?」

「わ、わかった……」


「よし、交渉成立だ。じゃあ、王様連れてくるか」


 俺は、【瞬間移動】で王のもとへ向かった。


~~~~~~~~~


「よう、王様」

「お前は、セイジ! なぜここに!」


「魔族との間で色々あってな」

「なんだと!?」


「それじゃあ、魔王様の所へ、王様1名ご案内~」

 

ちょっと黒くなってしまった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 愚王は立場上ブランフォードの首を跳ねんとな 王族に鑑定の魔法は不味いよなあ! もし娘が参戦してなければ立場は悪くなってたよ? この点この愚王は朝鮮の王と同じだよ! 日本の新しい頭領の太閤秀吉…
[気になる点] この世界のゴブリンは情報戦しかけたり、魔王とある程度戦えたりと凄いですね [一言] 真王様は優しいなぁ。ステータス見られた可能性があるなら、情報拡散を防ぐためにまず下手人は即殺、万全を…
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