117.魔王様
プリンスを倒し?
ナカ平原に戻ってくると―
人族と魔族の連合部隊が、ゴブリンジェネラルと交戦中だった。
ホブゴブリンや普通のゴブリンは、あらかた倒されていたが、ジェネラルは18匹ほど残っていた。
「アヤ、背後からジェネラルをやるぞ」
「おうよ!」
こいつ妹じゃなくて、本当は弟なのではないだろうか?
俺は、弟と…じゃなくて妹とジェネラルの背後を襲った。
アヤは、例の攻撃が気に入ったらしく、ジェネラルを背後からブスリと、【急所攻撃】をしまくり、哀れなジェネラル達が、悲鳴を上げまくっていた。
俺? 俺は、普通にジェネラルの背中を、ミスリル剣でぶった斬ったりしただけですよ。
俺とアヤに背後から攻撃されたジェネラル達は、次々に倒されていき。
最後のジェネラルが倒された時には、アヤの持つナイフが色々な汚れで、大変なことになっていた。
「セイジ! 生きていたのか!」
俺を見つけたレイチェルさんが、駆け寄って抱きついてきた。
ミーシャさん、カサンドラさん、ヒルダも駆け寄ってきて、盛大な歓迎を受けた。
「全部、配りました」
ヒルダは、空っぽになった飴の袋を俺に差し出してきた。
袋は捨てても良かったのに、大事に取っておいてくれたのか。
「ありがとう」
おれは、飴の袋を受け取って、
ヒルダの頭をナデナデしてあげた。
ヒルダはにっこり微笑むと、また他の所の手伝いに行ってしまった。
なんという働きっぷり。一人欲しいくらいだ。
「セイジ様、お怪我はありませんか?」
エレナも、駆け寄ってきた。
「ああ、大丈夫だ。
あ、そうだ、これを返しておく、ありがとうな」
借りていた魔力のロッドを、エレナに返した。
「お役に立ちましたか?」
「ああ、お陰でゴブリンが何匹も飛んでいったよ」
そんな話をしていると―
殺さずに放置して来たゴブリンプリンスの反応が、
急に消えた。
そして、ゴブリンプリンスのいた場所には、
ゴブリンキングの反応が……
キングが、プリンスを殺したのか?
キングは、どんどんこちらに近づいてきている。
その周りには、3000近い取り巻きもいる。
「レイチェルさん、まだゴブリンキングがこちらに向かって来ています。態勢を整えて下さい」
「ゴブリンキングだと!? ど、どうすればいい?」
「俺は魔族側に伝えてきますので、
レイチェルさんは、ロンドに伝えてきて下さい」
「わ、わかった」
レイチェルさんは、ロンドに伝えに走り、
俺は、魔族側のリーダーさんを探した。
『よう、セイジ、無事だったのか』
『よかった、探していたんです』
『どうした、何かあったのか?』
『ゴブリンキングが近づいてきています。
態勢を整えて下さい』
『なに! ゴブリンキングだと!?』
『はい、それに3000匹ほどのゴブリンも、引き連れています』
『わかった、魔王様に知らせに行くから、お前も一緒に来てくれ』
『え? 魔王様!? 俺もですか!?』
『ああ、早くしてくれ』
俺は、魔族のリーダーさんに連れられて、魔族軍の本陣へと走った。
『セイジ、お前は本当に人族なのか?』
リーダーさんが走りながら、話しかけてきた。
『なぜです?』
『俺は、魔族の中でかなり足が早いほうだ。
にも関わらず、人族のお前が、なぜ付いて来られる』
『まあ、俺も、人族の中ではかなり足が早い方なので』
『そ、そうか……』
しばらく走り、俺とリーダーさんは、魔族軍の本陣にやって来た。
本陣の中央に布で囲われている場所があり、
その中に入ると、一際体の大きな、偉そうな態度の魔族が座っていた。
『おい、ブンミー、その人族はなんだ?』
リーダーさんの名前は『ブンミー』と言うみたいだ。
『魔王様、この者は、私達の言葉を理解できる人族です』
この人が、魔王様か!
結構強そうだな。
おでこの角も、他の魔族よりデカくて黒光りしてるし……
『ほう、言葉を理解できるのか。
おい、人族、名を名乗れ』
えらく、高圧的だな。
まあ、魔王なんだから、これくらい当たり前か。
『魔王様、私の名前はセイジです』
『ほう、セイジというのか。
本当に言葉が分かるのだな。
それで、ブンミー。
この人族を連れてきた理由はなんだ?』
『はい、魔王様。この者の情報によると、ゴブリンキングが接近しているとのことです』
『なに! ゴブリンキングだと!?
それは本当なのか!?』
俺は、少し迷ったが。
あまり、うかうかしてもいられないので、
【追跡】魔法で、ゴブリンキングの映像を、その場に映しだした。
急に映しだされたゴブリンキングの映像に、周りの魔族たちが、どよめき始めた。
『これは!? 人族の魔法か!』
『はい、ゴブリンキングを追跡して、姿を確認できる魔法です。これで信じて頂けましたか?』
魔王は、少し考えていたが―
『わかった、俺も出陣するぞ!』
『魔王様が自ら出陣されるのですか!?』
『ブンミー、お前でゴブリンキングを倒せるのか?』
『そ、それは……』
『ならば、俺が出るしか無いだろう』
『分かりました、私もお供いたします』
『よし、者共。全軍出陣だ!!』
魔王様、けっこう男気の溢れる人みたいだな。
やっと魔王様登場です。
ご感想お待ちしております。




