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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
戦争解決編
123/438

114.行ったり来たり

 右翼を冒険者軍団、左翼を魔族がそれぞれ努め。

 魔法使い部隊の4人、俺、アヤと、魔族側のリーダーが、中央で指揮をとっていた。


 ヒルダは、冒険者軍団だけでなく、魔族側にまで飴を配りに走り回っていた。


 当初、魔族の人たちは、飴をもらって戸惑っていたが、

 リーダーが最初に飴を食べてみせると、徐々にみんなも喜んで食べるようになった。

 飴を配っているヒルダは、魔族の皆さんに大いに可愛がられていた。



 魔族冒険者混合部隊は、破竹の勢いでゴブリンを蹴散らし、進軍していった。



「まさか、魔族と一緒に戦うことになるとは……」

『まさか、人族と一緒に戦うことになるとは……』


 レイチェルさんと魔族のリーダーさんが、ドレアドス共通語と魔族語で、同じことを言ってやがる。



 魔族の人たちは、身体能力も魔力も高いのだが、

 人族とは魔法の使い方が違くて、肉体強化魔法を中心として、格闘による攻撃の合間に、接近して魔法をぶつける感じの戦いをしていた。


 俺が、魔族の人たちを観察していると―

 逆に、魔族のリーダーさんが、俺に質問してきた。


『人族は、魔法を使う者と使わない者がいるのか?』

『はいそうです、魔族の方々は違うのですか?』

『魔法の使えない魔族は、戦闘に参加しない』

『なるほど』


 魔族では、魔法の使える人だけが兵士になるのか。


 魔族の人たちは、全員同じ戦闘スタイルで戦ってる。

 接近戦、魔法、自分で回復魔法、一人で、全てこなすスタイルだ。


 人族側は、偵察部隊、防御主体の壁役、前衛攻撃役、弓兵、魔法攻撃役、回復魔法師、ヒルダの様な非戦闘の補助役。それぞれの役割が、完全に専門職になっている。


 魔族のリーダーさんは、人族の役割分担について、えらく興味があるみたいだった。



 そんなこんなで、進軍していると―

 マップ上に、良からぬ動きが発生した。


 良からぬ動きと言っても、前方ではない、後方だ。


 貴族連合軍の一部が、魔族軍の本陣に向かって進軍を開始したのだ。


 何やってんだ、あいつら!


 どうやら、【土の魔法】を習得して、足音で位置を判断できるようになってからは、味方の人の位置も、きっちり把握できるようになったみたいだ。


「レイチェルさん、俺はちょっとロンドに状況を知らせに行って来ます」

「そうか、そうした方がいいか。分かった行って来てくれ」

「了解です」


 通訳が一時的に居なくなってしまうが、魔族軍も冒険者達も、お互い戦いに身を置く者同士、ジェスチャーなどである程度の意思疎通ができているので、少しくらいなら大丈夫だろう。


 俺は急いで『ナカ平原』に戻った。


~~~~~~~~~~


「ロンド、どうなってる!」

「おう、セイジ、すまん。止めたのだが、ブランフォード殿が出撃してしまった」


 ブランフォードって、あの【鑑定】の魔法が使える、キツネ目の貴族か。


「ちょっとエレナを借ります。

 エレナ手伝ってくれ、あいつらを止める」

「はい、セイジ様」

「ちょっ! まっ」


 俺は、ロンドの静止を無視して―

 エレナを連れて、飛び出した。



「セイジ様、どうやって止めるんですか?」

「エレナ、雨を降らせてくれ。

 出来れば自然に降ってきた感じで」

「はい、分かりました」


 エレナに水属性強化の装備をさせ、雨を降らせてもらった。



 出撃したブランフォード軍の前方に暗雲が立ち込め、ポツポツと雨が降り始めた。

 しかし、ブランフォード軍は進軍を止めない。


「よし、徐々に雨脚を強くしてくれ」

「はい」


 雨は段々と強くなっていき、ついには土砂降りになった。

 しかし、それでも進軍を止めない。

 仕方ない、ここは最終手段だ。


 俺は、雨雲から雷を落とした。

 もちろん、なるべく人に当たらないようにした。


 ブランフォード軍は、落雷に驚き、進軍を止めて撤退してくれた。


「エレナ、すまないが、しばらく雨を降らせ続けていてくれ」

「はい、わかりました」



 俺はエレナに雨を降らせてもらっている間に、ロンドを無理やり連れて、ライルゲバルトの所に押しかけた。


「ライルゲバルト! ブランフォード軍を止めろ!」

「なんだ行き成り!」

「冒険者達は、魔族軍と共闘してゴブリンを退治している」

「なんだと! 魔族軍と共闘だと!」


「ああ。

 今、こっちで魔族軍と戦いが始まれば、魔族軍と共闘している冒険者達に、影響が出てしまう。

 せめて、冒険者が戻るまでは待ってくれ」

「わかった、ブランフォードを呼び戻せ」


 俺は、後をライルゲバルトにまかせて、エレナの所に戻った。


「エレナ、ありがとう。もう大丈夫だ」

「はい」


 エレナは、かなり頑張って雨を降らせてくれてたらしく、息を乱していた。

 エレナに和菓子を食べさせて居ると―



 今度は、魔族冒険者混合部隊の方に、動きがあった。

 なんと、撤退してきているのだ。何かあったのか!?


「悪い、エレナ、冒険者達の方でも何かあったみたいだ。ちょっと行ってくる」

「セイジ様、お気をつけて」


~~~~~~~~~~


 逃走する魔族冒険者混合部隊の所へ来てみると―

 50匹のゴブリンジェネラルと、ゴブリンプリンスに追いかけられていた。


 逃げる混合部隊の中にレイチェルさんを見つけて、走りながら話しかけた。


「レイチェルさん、これはどういう事ですか!?」

「セイジ、戻ったのか。すまない、急にあいつらが襲ってきて。この戦力じゃムリだ」

「いえ、ただしい判断だと思います」


「しかし、このまま平原に戻ったら、貴族たちになんと言われるか……」

「じゃあ、俺があいつらの足止めをします。

 その隙に本陣に戻って、迎撃体制を整えて下さい」


「お、お前、死ぬつもりか!?」

「死にはしませんよ。まあ、任せて下さい」

「わ、わかった。絶対に死ぬんじゃないぞ」

「はい」


 俺が、立ち止まり、迎撃体制をとった所で―


「兄ちゃん、私も」

「アヤ、行けるか?」

「もちろん!」



 俺とアヤは、迫り来るゴブリン軍団を―

 二人っきりで、迎え撃とうとしていた。


感想で頂いた話を入れてみました。


ご感想お待ちしております。

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