112.ゴブリンvs冒険者
斥候部隊が連れて来た数十匹のゴブリンは―
レイチェルさんが土の魔法で、でかい落とし穴を作り、
カサンドラさんは、迂回してきた敵を、突風で吹き飛ばして、落とし穴に叩き込み、
ミーシャさんが、落ちたゴブリンを水攻めにしていた。
だが、そうは言っても、戦っているのは普通のゴブリンばかりで、攻撃過剰もはなはだしい。
「いやー、魔力の残りを気にせず、おもいっきり魔法を使えるって、気分がイイな」
「レイチェル~、敵が弱くて物足りないよ~
せっかく魔法、使い放題なのに~」
「そうだなミーシャ。
おーい、斥候部隊の人たち!
今度は、もっと多めにゴブリンを連れてきてくれ」
「了解しました!」
冒険者達は、レイチェル達の魔法をみて、尊敬の念を抱いてたらしく、
斥候部隊の人たちは、レイチェルの指示を素直に従っていた。
レイチェル達が、飴で魔力を回復させ終わった頃。
斥候部隊が、100匹ほどのゴブリンを連れて戻ってきた。
今度は、ゴブリンだけではなく、ホブゴブリンも3匹ほど混じっている。
「お、上位種が居るぞ!
ミーシャ、カサンドラ、例の攻撃行くぞ!」
「は~い」「わかった」
ミーシャさんが、大量の水を作り出し。
カサンドラさんが、竜巻でゴブリンたちを水ごと巻き上げ。
最後にレイチェルさんが、巻き上げられ、もがき苦しむゴブリン達に、大量の石つぶてを叩き込んでいった。
3人の連携攻撃で、8割ほどの敵をやっつけたのだが、3人とも魔力が切れてしまい、
倒しきれなかったホブゴブリンと、残りのゴブリンは、他の冒険者達に任せることにした。
「ヒルダ、飴くれ」
「はい!」
「ヒルダ、こっちも~」「私も」
「はい!!」
ヒルダは、元気よくみんなに飴を配っていた。
「兄ちゃん、私達は手伝わないの?」
「手伝ってもいいけど、目立たないように、ひとつの属性だけしか使っちゃダメだぞ」
「えー、めんどくさい」
「仕方ないだろ」
「分かったよ~」
俺とアヤは、二人共【氷の魔法】でチマチマと冒険者の加勢をした。
ホブゴブリンは、1匹ずつ分断して複数人で取り囲み、他の魔法使い達が魔法で攻撃し、なんとか倒すことが出来た。
怪我人が少し出てしまったが、回復魔法師も居るので、飴を舐めつつ治療をしてもらっていた。
戦闘が終わり、魔力が切れる者も何人か出ていて、
ヒルダは、飴を片手に、戦場を駆けまわっていた。
しばらくして、斥候部隊が、
今度は200匹のゴブリンを連れて帰ってきた。
「すいません! ちょっと多めです!!」
レイチェルさん達が、さっきの連続攻撃を加えたが、
その攻撃を避けてくる敵が何匹か居たため、
俺とアヤも、氷魔法の範囲攻撃をぶち込んで、数を減らしていった。
普通のゴブリンは、それでほとんど壊滅したのだが―
ホブゴブリンが、10匹程生き残ってしまった。
「俺も加勢に行く」
「兄ちゃん、私も行く」
俺は魔力のロッド、アヤは日本製ナイフを持って、ホブゴブリンに突撃した。
アヤは、冒険者たちの隙間を縫って一番右のホブゴブリンから近づき、次々に首をはねていった。
俺は、アヤとは逆の、一番左のホブゴブリンから近づき、魔力のロッドを握りしめ、
南南西の方角、仰角45度の角度で、殴り飛ばしていった。
俺が殴り飛ばしたホブゴブリンは、勢い良く飛んでいき、はるか遠くに消えていった。
200匹の敵を全滅させた所で、一旦休憩することになった。
ヒルダは、休憩中だというのに、
俺のところに、わざわざやって来て、飴を手渡してくれた。
「ありがとう」
俺が、飴を持って来てくれたヒルダの頭を、なでなでしていると。
ヒルダは、にっこり微笑んでくれた。
「兄ちゃん、鼻の下伸びてる」
「伸びてないやい!」
そんな他愛もない話をしていると―
マップ上で、こちらに近づいてくる集団を感知した。
「来たか!」
「兄ちゃん、何が来たの?」
「魔王軍の一部が、こっちに近づいてきている」
「え!? それって、ヤバイんじゃないの?」
「レイチェルさん!
魔王軍がこっちに近づいてきています!」
「なんだって!!」
「近づいてくる魔王軍は約3000。
南南西の方角から、近づいてきています。
このままだと挟み撃ちになってしまうので、
東の方向に離れた方が、いいと思います」
「よし分かった!
みんな、聞いてくれ!
魔王軍が、こっちに近づいてきている!
東の方向に、一旦離れるよ!!」
「「おう!」」
レイチェルさんの号令で冒険者たちは、東へ移動を開始した。
「兄ちゃん、南南西の方角って……
さっき兄ちゃんが、ホブゴブリンを殴り飛ばしてた方角だよね?」
「ああ、あれは、魔王軍に対する釣り餌だよ」
「釣り餌?」
「森の中で、魔法による派手な戦闘が行われていて、そっちからホブゴブリンが殴り飛ばされてきたら、誰だって気になるだろ?」
「それじゃあ、魔王軍とゴブリンを戦わせて、私達は高みの見物するの?」
「いや、魔王軍と一緒にゴブリンキングを倒す」
飴無双再び。
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