110.巨乳さんの暴走 ❏
その日は一日掛けて、ナカ平原を進軍し、
夕方近くになってやっと、前線キャンプへと到着した。
前線キャンプに到着と同時に、俺のマップの2箇所に、反応が現れていた。
1つは、ゴブリン達。
ゴブリンキングは、北の森のなかで止まっているので、そこが奴等のキャンプ地なのだろう。
また、ゴブリンの一部が、こちらに近づいて来ているのも分かった。おそらく、こちらの様子を窺うためなのだろう。
もう1つは、『魔王軍』と思われる集団。
こちらの貴族連合軍と同じ1万ほどの軍勢が、ナカ平原の西に陣取っているのが分かった。
貴族連合軍の他の部隊は、すでに前線キャンプに到着していて、1万5千人近い兵士や冒険者達がひしめき合っていた。
そこには、商魂たくましい商人たちが商売をし、ギルドの出張所が開設され、慰安所なども作られていて、さながら1つの街のようになっていた。
俺は、魔法使い部隊の4人と共に、この部隊に充てがわれたテントにやって来た。
「ここが、あたい達のテントか。
新入り、さっさと荷物を運び入れな」
「はーい」
俺は、ヒルダと共に、運んできた荷物をテントにしまいこんだ。
「さて、俺はちょっと用事があるので、しばらく離れますね」
「ん? さっそく慰安所で女でも抱くのか?
なんなら、そこのヒルダを貸してやろうか?」
レイチェルは、ニヤニヤとした表情で、笑えない冗談を言ってくる。
「違いますよ、ちょっとロンドの所へ行ってくるだけです」
「ロンド? ロンドって、ロンド・ウォーセスター様の事かい?」
「ええ、そうです」
「ロンド様が、あたしたちみたいな冒険者に、会ってくださるわけ無いだろ」
「いや、ロンドとは知り合いなので、ちょくちょく会ってますよ」
「!? ロンド様とお知り合い!!?」
巨乳さん、もとい、ミーシャさんが食いついてきた。
「ええ、妹がロンドと一緒に行動してますし、何度も会って話したことはありますよ」
「どういう経緯で知り合いになったの!?
私も紹介して!」
「闘技大会に出場したら、ロンドも出場してたのがきっかけです」
「ん?
闘技大会でロンド様が出場したって言ったら……
新入り、お前の名前なんだっけ?」
「やだなー、レイチェルさん、忘れちゃったんですか?
俺の名前は、セイジですよ」
「セイジ!? セイジって言えば、あの化け物槍使いが大暴れした時に、その化け物を倒して優勝したっていう、黒髪の剣士の名前……
お前、本当にあの、セイジなのか!?」
なんか、変な感じで話が広がっちゃってるみたいだ……
「確かに、決勝戦で槍を使う人と戦って、優勝しましたけど……」
「マジか! お前結構すごいやつだったんだな」
「ねえ、セイジ様~」
様!?
巨乳さんが、なんか媚びてきている!
「私を~ ロンド様に~ 紹介してくれないかしら~」
「べ、別にいいですけど」
「やった~❤」
俺は巨乳さんに、腕に抱きつかれ、困惑していた。
レイチェルさんは呆れ顔。
カサンドラは、静かだと思ってたらもう寝ていた。
俺は、ミーシャさんに抱きつかれながら、ロンドの所へ向かった。
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「セイジ、魔法使い部隊の方はどうだ?
あれ? そちらの女性は、たしか……」
「ロンド様、私は~ 魔法使い部隊所属の~ ミーシャです~❤」
「ああ、たしかそんな名前だったな」
「新入りのセイジくんが~ ロンド様にお会いしたいって言うので~ 連れてきました~❤」
なんか、ミーシャさんの口調がうざく感じるのは、俺だけだろうか?
ミーシャさんはロンドのとなりにいた、アヤとエレナをキッと睨みつけると―
ロンドのとなりに近寄って、媚を売り始めた。
ロンドは助けを求めるような目で、俺を見てきたが。俺は無視してやった。
アヤとエレナは、そそくさと俺の横にやって来た。
「と、ところで、話とは、なんだ?」
ロンドは、ミーシャさんに擦り寄られながら、毅然とした態度を一生懸命に保ちつつ、話を進めた。
すごいぞロンド、素晴らしい精神力だ。
「魔族と、ゴブリンの数と位置がわかったので、報告しておこうかと思って」
「なに!?」
ロンドはミーシャさんを押しのけて、地図を取り出し、テーブルの上に広げた。
俺は、その地図で、それぞれの軍の位置関係を説明した。
我々、貴族連合軍は1万5千。
魔王軍は1万5千で、ゴブリンキングには気づいていない様子。
ゴブリンキング軍は1万で、どちらにも気づかれていないと、思っていると思われる。
ゴブリンキング軍は、位置関係から見て、漁夫の利を得ようとしているんじゃないかな?
「なるほど、この情報は役に立つ。
ライルゲバルト殿に報告しに行こう。
悪いが、俺とセイジ以外は、ここで待っていてくれ」
ロンドは、俺を連れて、逃げるように、ライルゲバルトの所へやって来た。
残ったあの3人、ちゃんと仲良く出来るだろうか?
心配だ……
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「……と言う状況です、ライルゲバルト殿」
「なるほど、ゴブリンキングが、そのような位置にいるとは……
これは、何かしら対処が必要だな」
「ライルゲバルト殿、冒険者達をそちらに向かわせてはいかがでしょう。
冒険者であれば、森の中の行動にも慣れておりますし」
「なるほど、ではそうしよう」
話し合いの結果、各部隊に分散配置されていた冒険者達を集め、ゴブリンキング軍の討伐に向かわせることになった。
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戻ってくると、アヤとミーシャさんが睨み合って、エレナが二人をなだめようと、あたふたしていた。
「アヤ、なにやってんだ!」
「兄ちゃん、この女が悪いんだよ!」
「なんですって! この泥棒猫!!」
「ふ、二人共、ケンカは良くないです。仲良くしましょう」
どうしてこうなった!
「どうせあんたも、ロンド様が目的なんでしょ!」
「あんたと一緒にしないでよ!
ロンドなんて好みじゃないし!」
「きー! ロンド様の悪口は許さないわよ!!」
俺と一緒に帰ってきたはずのロンドは、何故か何処かに消えていた。
あいつ、逃げやがった。
俺は、暴れまくるミーシャさんをなんとか宥めて、魔法使い部隊のテントに送り届けた。
もうすぐ戦争が始まるというのに、この人は何を考えているんだか……
サブタイトルが酷い!
まあいいか~
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