108.恋しいアヤ
俺は、エレナやロンドと別れて、魔法使い部隊の人たちに会いに向かっていた。
案内されたテントには、4人の女性がいた。
「こちらの4人が、魔法使い部隊の方々です。
皆さん、こちらセイジ殿、この方も魔法使い部隊の所属になりました」
「セイジです、よろしくお願いします」
俺を連れてきてくれた兵士が、4人に紹介してくれたのだが―
「は? ここは女子だけの部隊じゃなかったのか?」
20歳くらいの、ぽっちゃり系の女性が、兵士さんに食って掛かっている。肉食系かな?
「セイジ殿は、魔法をお使いになるということですので、こちらの部隊に配属になります。
それでは、私はこれで」
兵士さんは逃げるように、去っていった。
なんか、変な所に配属になってしまった……
「お兄さんは、何の魔法が使えるの~?」
巨乳が喋った!
……違った、18歳くらいだろうか、巨乳の女性が話しかけてきた。
「【氷の魔法】を少々」
取り敢えず、当たり障りのないように、氷の魔法使いということにしておいた。
「氷!? 見せて見せて!」
ずっと寝ていた16歳くらいの女の子が、飛び起きて食いついてきた。
あ! よく見ると、この人、ネコミミだ!
「あ、はい」
俺は、ネコミミに目移りしながら、【氷生成】をやってみせた。
「あなたって、凄いのね~」
巨乳さんが、獲物を狙う目で、俺に迫ってきた。
「あ、ありがとうございます」
「まあ、あたし達ほどじゃないけどね」
ぽっちゃり系の人が、対抗心むき出しの顔でそう言った。
なんか、この部隊、疲れるな~
「ところで、皆さんのお名前をお聞きしてもいいですか?」
「そういえば、名乗ってなかったな。
それじゃあ、リーダーのあたしから。
あたしは、レイチェル、土の魔法使いだ」
「次は、私ね~
私は、ミーシャ、水の魔法使いよ~」
「私は、カサンドラ、風の魔法使い」
なるほど。
ぽっちゃり肉食系が、レイチェルで『土』。
巨乳さんが、ミーシャで『水』。
ネコミミが、カサンドラで『風』か。
あれ? もう一人は?
俺が、奥のほうで小さくなっている、もう一人の女の子を見ていると、リーダーのレイチェルが、その子を紹介してくれた。
「ああ、そいつか。
そいつは、あたし達の奴隷のヒルダだ。
一応、火の魔法が使えるって言うんで、みんなで金を出し合って買ったんだが。
薪に火をつけるくらいしか使えなくて、もっぱら雑用をさせてるんだ」
「ひ、ヒルダです」
ヒルダは12歳くらいで、あまり食べていないらしく、痩せていた。
なんか火の魔法使いの扱いって、こんな感じなのだろうか。
可愛そうだが、俺がとやかく言える立場には無いから、どうしょうもない。
挨拶はこれくらいにして、俺は逃げるようにロンドの所へ戻ってきた。
「セイジ、魔法使い部隊はどうだ?」
「別に、単独行動しててもいいんだよな?」
「まあ、そうなのだが……
あいつら、ニッポの街から連れてきた冒険者なのだが、扱いづらくてな。
暇な時でも、奴等の面倒を見てくれよ」
やはり、そういう魂胆か。
「善処する」
「それはそうと、今日の宿は決まっているのか?
決まっていないなら、こちらで寝床を用意したので使ってくれ」
「いや、俺は、妹を迎えに行くので、寝床は不要だ。
エレナも来るだろ?」
「はい」
今日は金曜日。
そう、アヤも明日から、ゴールデンウィークなのだ。
「そうか…… 妹というのは、あの闘技大会で優勝した、あの子か?」
「ああ、そうだ」
「あの子は、その、い、許嫁とか、居るのか?」
「は?」
何言ってるんだ? こいつ。
「ああ、そうか、
平民には、許嫁などの風習は無いのだったな。
こ、恋人とかは居るのか?」
「さあ、そんな話は聞かないが、それがどうした?」
「そうか、そういう相手はいないのか。そうかそうか」
もしかしてロンドの奴、アヤに気があるのか!?
あんなのの何処がいいんだか。
俺達は、恋心に燃えるロンドを放っておいて。
【瞬間移動】で日本へ帰還した。
~~~~~~~~~~
「あ! 兄ちゃん、エレナちゃん!!」
俺達が帰宅すると同時に、アヤが俺達にタックルを仕掛けてきた。
「ぐほ!」
このタックルの威力!
俺じゃなかったら死んでいたぞ。
「どうしたアヤ、何かいいことでもあったのかい?」
俺は、アロハシャツを着たおっさん風に、そう言った。
「一週間も一人っきりで、退屈だったのよ!」
翻訳すると……
『一週間もお兄ちゃんに会えなくて、寂しかったよ~、ふぇ~ん』
と、こうなる…… 訳ないか。
「一週間って、そんなに経ってないだろ」
「だいたい一週間でしょ!
私の体感的には、一億万年くらいだよ!」
「億万年などという単位は、存在しないぞ。
って! 顔を俺の体にスリスリするのをやめろよ」
「兄ちゃん、何だか知らない女の匂いがする」
「知らない女?
さっき、魔法使い部隊とかいう、女性4人組の部隊に挨拶しに行ったけど……
よく匂いだけで分かるな
って! いつまでスリスリしているんだ!」
「マーキングしてんの!」
まったく、なんだって言うんだ。
アヤの考えていることは、良く分からん。
エレナも笑ってるじゃないか。
この姿をロンドに見せてやりたいよ。
そしたらロンドも、きっと目が覚めるだろうに。
その後、アヤはエレナをバスルームに連れ込んで、イチャイチャしまくった挙句。
俺の作った夕食を、ハイテンションで食いまくり。
食い過ぎで動けなくなったと言って、エレナに介抱されていた。
夜は夜で、俺の部屋にエレナを連れてドカドカ入り込み。
俺のベッドを占領して、てこでも動かないので。
しかたなく、アヤとエレナは俺のベッドに寝かせて。
俺は寝袋で眠った。
俺は、もう疲れ果てて、ぐっすり眠ってしまったのだが。
何故か、エレナとアヤに『ほっぺちゅー』される変な夢を見てしまった。なぜに!?
なんか久しぶりに日本に帰ってきた気がします。
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