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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
戦争解決編
112/438

103.鉄壁のリルラ

 リルラに用意してもらった寝室で、寝ようとしていた。

 ところが、部屋の外で物音が聞こえる。

 一体なんだろう?


「エ、エレナ様」

「リルラさん、どうしたのですか?」


 どうやらエレナとリルラみたいだ。こんな時間に二人共なにしてるんだろう?


トントン


「はい、どうぞ」

「お邪魔します」「邪魔するぞ」


 二人共、俺に用事があったのか。


「二人揃ってどうしたんだ?」

「ここしばらく、一人で寝ることがなかったので、寝付けなくって」


 エレナは俺に拐われて以降、ずっとそうだったかも。


「で、リルラは?」

「あ、あの…… ゴ、ゴブリンが、急に攻めてきたりしたら…… あぶ、危ないから、まとまっていた方が、いいかと…… おもって……」


 リルラはデレてるというより、怯えているという感じだな。まあ仕方ないか。


「別にいけど、ベッドはどうするんだ?」

「私はセイジ様と一緒でもいいですよ」

「え!? じゃ、じゃあ私も……」


 なんだかな~


 エレナが慕ってくれるのは嬉しいけど。

 リルラは多分、吊り橋効果とかそんな感じなんだろう。


 そんなこんなで俺は、金髪美女サンドイッチの具にされていた。

 リルラは、やっと安心できたのか、すぐに眠ってしまった。

 エレナも、いつも通り寝付きが良かった。


 しかし、この状況をアヤが見たら、何を言われるか。

 きっと、フライングボディプレスをしてくるに違いない。


 俺もそろそろ寝るか。そう思った矢先―

 左手にリルラが抱きついてきやがった。


 怖い夢を見ているらしく、顔を強張らせて、小刻みに震えている。


 右手でリルラの頭を撫でてやると、やっと落ち着いたのか、幸せそうな顔をして大人しくなった。


 やっと眠れる。そう思って右手を戻すと―

 こんどはエレナが右手に抱きついてきた。

 また、身動きが取れなくなってしまった。

 まあ、エレナだから許すけど。


 身動きは取れないけど、今度こそ、もう寝るぞ。


 こんどはリルラがまた、ブルブルっと震えた。

 もう、いい加減にしてくれよ。


 リルラの方を見ると―

 リルラと目があった。


「どうした、寝てたんじゃなかったのか?」

「あの‥‥ あのだな。」

「なんだ?」

「お手洗いに、行きたくてだな……」

「ん? 俺に断る必要は無いだろ?」


「あの、あの…… もし、お前もお手洗いに行きたいのなら、一緒に、付き合って、やっても、いいのだぞ」

「俺は別に大丈夫だ」


「いや、だからな、ゴブリンはトイレの穴から襲ってくるという話があってだな……」

「近くにゴブリンは居ないから、大丈夫だ」

「もしかして、万が一、ということも、あるかもしれんではないか」


「勘弁してくれよ、俺はもう眠いんだ」

「お、お願いだ。な、何でも、言うことを聞くから…… も、漏れてしまう……」


 しかたないな~

 俺はエレナの抱きついている右手を、何とか外して。寝ているエレナの頭をナデナデしてから、リルラと共にベッドから這い出た。



「光よ!」


 リルラは【光の魔法】を使って、真っ暗な廊下を明るくした。

 そういえば、リルラは【光の魔法】を使えるんだったな。


 リルラは、もじもじしながら廊下を進む。トイレは遠いのかな?

 リルラの【光の魔法】は、集中力が足りないらしく、ゆらゆらと揺れてしまって、映しだされた廊下を変な雰囲気にしてしまっている。

 リルラの足取りは更に、もじもじとするようになり、集中力を維持できなくなったらしく、ついに【光の魔法】が消えてしまった。


「きゃぁ!」


 自分の【光の魔法】が消えてしまったことに驚き、リルラは、俺の腕を力いっぱい掴みながら、その場に座り込んでしまった。痛い痛い!

 しかたがないので、俺が【白熱電球】魔法で、廊下を照らしだした。


「す、すまない……」


 リルラの【光の魔法】と違って、昼間のように明るくなった事で、リルラも冷静さを取り戻し。

 もじもじした足取りで、やっとトイレの前にまでたどり着いた。


 しかし、リルラは、俺を女子トイレの中に引きずりこもうとする。


「ちょ、待て、俺はここで待ってるから」

「こ、個室の、ドアの前。ドアの前でいいから、そこで待っててくれ。お願いだ」


 お前は『妖怪・女子トイレ引きずり込み女』かよ! そんな妖怪居ないけど!


「お願いだ、もう、も、漏れてしまう……」


 リルラは涙目になりながら、俺を引きずり込もうとしてくる。

 そんな所を、誰かに見られたらどうするんだ。


 しかし、俺は妖怪に引きずり込まれてしまった。


「そこに居てくれ、おねがいだ」


 仕方がなく、俺がそこで立っていると。

 中から音が聞こえてきた。


「き、聞くな! 耳を塞いでくれ!」


 おれは無視して、呆れ顔で待つことにした。



「セ、セイジ様! こんな所で、何をなさっているんですか!?」


 あちゃー、エレナに見つかってしまった。ど、どうしよう。


「あー、あれだ、リルラが、トイレからゴブリンが、襲ってくるかもしれないっていうから、見張っているんだ」

「エレナ様、申し訳ありません。私がお願いして……」


 リルラ、ナイスフォロー。


「そ、そうですか、私はてっきり……」


 『てっきり』なんだよ!


「セイジ様、私も使いたいのですが、よろしいですか?」

「じゃあ、俺は外に出てるよ」


 俺は、女子トイレの前で、二人の用が済むのを待つ羽目になった。


~~~~~~~~~~


 翌朝、リルラの部屋で朝食を食べていると―

 兵士が一人、慌てた様子で入ってきた。


「報告いたします、偵察部隊が、ゴブリンの集団を発見しました! 現在の進行速度から推測しますと、昼ごろには、この街に到達する見込みです」

「わ、分かった。兵士と冒険者達に状況を知らせて、防衛の準備を始めなさい」

「はい、了解しました」


 兵士が慌ただしく出ていき、リルラは、途中だった朝食を食べようとしたのだが。手が震えて、ナイフを落としてしまった。

 リルラは落としたナイフを拾おうとして、また落としてしまっている。

 そんなに怖いのか。


 そんな様子を見かねたエレナが、リルラに近づき、怯えるリルラの顔を、自分の胸のあたりでぎゅっと抱きしめて。


「大丈夫ですよ、私とセイジ様がついてますから」


 そういって、リルラを抱きしめながら、頭をナデナデしてあげている。

 ずるいぞリルラ、許すまじ!



 やっと落ち着きを取り戻したリルラと共に、戦いの準備を終えて、宿屋を後にした。


 宿屋から出ると、そこには、街の人々が心配そうに宿屋を取り囲んでいた。


「ほら、リルラ、街の人を安心させるために、何か一言、言ってやれ」


 俺が、小声で耳打ちすると。

 リルラは覚悟を決めて、みんなの前に立って、高らかに宣言した。


「私の名前は『鉄壁のリルラ』、ライルゲバルト貴族連合騎士団長の娘だ! この街は、私の『鉄壁』の名に掛けて守ってみせる! 街の者達は、安心して避難所で待っておれ!!」


「「おー!!」」

「鉄壁のリルラ様が、俺達の街を守ってくださるぞ!」

「オークも全滅させたリルラ様なら、ゴブリンごとき楽勝だ!」


 町の人々は、口々にリルラを褒め称え、声援を送っていた。


 きょとんとするリルラと共に、俺達は、声援の中を堂々と進んでいった。


なんかリルラが変な方向に……


ご感想お待ちしております。

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