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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
戦争解決編
111/438

102.新しい武器

 エレナのもとへ戻ると、エレナは冒険者たちと勝利を称え合っていた。


「エレナ、こっちは片付いたみたいだな」

「セイジ様、ご無事で何よりです」


 エレナは、俺を見つけると、飛びかかる勢いで抱きついてきた。


 しかし、エレナのその行動が、とんでも無い状況を作り出していることに、エレナ自身は気がついていなかった。


 周りの冒険者達が、一斉に俺を睨みつけたのだ。


(こいつ誰だ?)

(戦いが終わった後から、ノコノコとやって来て何様だ?)

(我らがアイドル、エレナちゃんに抱きつかれるとは。万死に値する)


 そんな心の声のこもった、凄まじい視線が、俺を貫いた。


「エレナさんや。ここは皆さんに任せて、俺達は次の場所へ行かないと」

「そうですね、分かりました!」


 エレナは、冒険者さん達に挨拶をした後、俺と共に街の裏道へと消えていった。


『あいつは誰だ!』

『俺のエレナさんとイチャイチャしやがって!』

『誰がお前のだ! エレナさんは俺のものだ!』


 後ろのほうから、言い争いをする声が聞こえた気がしたが。聞かなかったことにして、俺達は逃げるように、イケブの街へ移動した。


~~~~~~~~~~


 イケブの街に到着すると、兵士たちがピリピリしていた。

 確かにゴブリンの集団が街に近づいて来ているのだが、今日はまだ大丈夫そうだ。

 こんなにピリピリしていたら、身がもたない。


 リルラの居る宿屋に行ってみると、入り口の兵士に顔パスで入れてもらえた。

 逆に、待ってましたと言わんばかりの態度だ。


 リルラの部屋に入ると―


 俺は、リルラに抱きつかれてしまった。

 どうしてこうなった?


「リルラ、どうしたんだ?」

「すぐ駆けつけると言ったのに、何故すぐに来なかったのだ! その隙に私が襲われたらどうするつもりだ!」


「どうするも何も、まだ魔物は襲ってきていないだろ!」

「そ、そんなの、分からんではないか! 見つかっていないだけで、近くで隠れているのかもしれないではないか!」

「大丈夫だよ、近くには居ないよ」

「ほ、本当なのだな!?」

「ああ」


 この前は、英雄になると意気込んでいたが。

 ハイオークに連れ去られた事を思い出してしまったのか、また震えてしまっている。


「お前なあ、英雄になるんじゃなかったのか?」

「そ、それはそうだが……」


「お前は、この街の防衛を任された部隊の、隊長なのだぞ! お前がそんなんでは、兵士までピリピリしてしまう。ゴブリン達が襲ってくるのは明日以降だから、兵士をちゃんと休ませろ。あれじゃあ明日まで持たないぞ」


「それは本当なのか!?」

「ああ、俺には、ゴブリン達が今どの位置にいるか、きちんと把握できている。だからお前も休め」

「ああ、分かった」


 リルラは、部屋の外に居た兵士に、休みを取るように命令を伝えていた。


「それじゃあ、俺はちょっと出かけてくるから、お前はちゃんと休んでおけよ」

「ど、ど、何処に行くのだ!」

「武器の調達だよ、今の武器では、少し心もとないからな」

「どうせ、この街の武器屋には、もう武器は置いていない、全て町の防衛のために徴収してしまったからな」


「大丈夫だ、他の街に行って買ってくるから」

「他の街だと!?」

「昨日見せただろ? 瞬間移動の魔法があるから、直ぐに行ってこれる」


「そ、それじゃあ、私も一緒に付いていく」

「お前は隊長だろ。隊長が部隊を離れてどうするんだ」

「だ、だが……」


 まさか、こんなに怯えているとは……

 兵士たちがピリピリするわけだ。


「エレナ、すまないが、しばらくここで待っていてくれ」

「はい、分かりました」


 エレナはリルラを座らせて、お茶を入れてやっている。

 姫にお茶を入れさせるとか、お前何様だよ。



 リルラのことはエレナに任せて、俺は【瞬間移動】でニッポの街に飛んだ。


~~~~~~~~~~


 ガムドさんの店にやって来た。


「こんにちはー」

「ようセイジ、今日は一人か、珍しいな。属性強化の装備は手に入れたのか?」


「ええ、ひと通り揃いましたよ」


「おう、そうか、それじゃあ今日は何のようだ?」

「今日は俺用の武器を買おうかと思って」


「ん? 前に買っていった摸造刀はどうした?」

「摸造刀で歯がたたない奴がいて、もっといいのが欲しいんですよ」

「なんだと!? お前さん、何と戦ってるんだ?」


 ガムドさんには、本当のことを言っておいたほうがいいよな。


「ゴブリンプリンス」

「プリンス!!? マジか!」

「マジです」


「分かった、ちょっと待っとけ」


 ガムドさんは、店の奥から一本の剣を持ってきた。


「これが、家で扱ってるやつで一番いい武器だ」


 ガムドさんが、剣を鞘から抜くと―

 銀色に輝く剣が姿を表した。


 なんか凄そう。

 【鑑定】してみると―


┌─<鑑定>────

│【ミスリルソード】

│ミスリル銀で作られた剣

│魔力を通すと切れ味が増す

│レア度:★★★★

└─────────


「ミ、ミスリルですか」

「ああ、よくわかったな」


 ガムドさんから、ミスリルソードを受け取ってみたが。

 重さと言い、長さと言い、俺の手に丁度いい感じだ。


「お前さんは、刀が好きだったが。あの摸造刀よりいい刀となると。ドワーフの国まで行かないと手に入らないだろう。それまでは、このミスリルソードを使っとけ」


「ありがとうございます。いくらですか?」

「くれてやると言いたいところだが、さすがにそうは行かん。50000ゴールドだ」

「分かりました」


 俺が、100ゴールド金貨を500枚だして、テーブルの上に置くと―


「ちょっ、おま!」


 テーブルが、壊れそうになるほどに、軋んでいた。


「即金かよ!」

「不味かったですか?」


「少しずつ払わせて、その間の利子として、毎回酒を要求しようと思ってたのに。俺の計画が台無しだよ」

「それは、すいません。そんなに心配しなくても、ちょくちょく顔を出しますよ」

「そうか、それならいいんだ」


 俺とガムドさんは、馬鹿笑いをしながら握手を交わした。


~~~~~~~~~~


 リルラの所へ戻ってくると―

 エレナとリルラが、優雅にお茶をしていた。


「帰ったぞ」

「「お帰りなさい」」


 エレナならいいが、リルラに出迎えられるのは、ちょっと変な感じだ。


「それで、どのような武器を買ってきたのだ?」


 エレナが相手をしててくれたおかげで、すっかり落ち着きを取り戻している様だ。


「これだ」


 俺が剣を鞘から抜いて見せると、二人は目を輝かせていた。

 特にリルラの目の輝きは、恋する乙女のような目だ。


「それは、ミスリルではないか!」

「ああ、そうだよ」

「私の細剣もミスリルなのだ!」


 リルラはそう言って、自分の細剣を取り出し、俺の剣に重ねてくる。


「おう、リルラもミスリルなのか」

「う、うん。お、おそろいだな」


 リルラはそう言って、俺ににっこり微笑みかけてくる。

 リルラはそんなにミスリルが好きなのか。

 もしかして、ミスリルフェチとかそういうのなんだろうか?



「さて、そろそろ時間も遅いし、俺達は宿屋を探すか」


 俺が、剣をしまって、お(いとま)しようとすると―


「ま、まて。ここに泊まっていけばいいではないか」

「ここ? ここは貸し切りじゃないのか?」


「部屋ならあるし。もしあれなら、こ、こ、この部屋に泊まっていってもいいのだぞ!」

「この部屋って、ベッドは1つしか無いじゃないか」

「そ、そうだな……」


 結局、俺とエレナは、リルラの両隣の部屋を空けてもらって、そこに泊まることになった。


リルラが、なんか変になって来てしまった。


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