101.スガ防衛戦2
俺と、大中小3匹の大虎猫は睨み合い。
プリンスは、それを横から鑑賞していた。
その余裕ぶっこいた態度が、気に入らなかった。
まあ、雷の魔法を連発すれば余裕なのだが、あまりプリンスの前で連発するのも問題だ。
何故かと言うと、さっきから何処からか、プリンス以外の『視線』を感じるのだ。
マップ上で確認できないので、見られているとすれば、近くから見ているわけでは無さそうだ。
【情報魔法】レベル4の【追跡】か、もしくは俺の知らない魔法の可能性もある。
なので、俺は【水の魔法】を使うことにした。
俺はインベントリから、瓶を3つ取り出し、蓋を開けた。
中身の液体を【水の魔法】で操り、球を作る。
大虎猫(小)と(中)が左右に回りこみ。
大虎猫(大)が、どしどしと真っ直ぐ突進してきた。
俺は作り出した『球』と一緒に(大)の方に走り、「ガオン」と大口を開けた所に『球』を放り込んだ。
驚き戸惑っている大虎猫(大)の頭を、馬跳びで飛び越えると同時に、開いた大口を無理やり閉じさした。
大虎猫(大)は、口の中に液体を流し込まれ、「ガホン、ガホン」っと変な声で咳き込んでいたが。急にフラフラと体が揺れ始めたかと思うと、横倒しにぶっ倒れてしまった。
心配そうに駆け寄る(小)と(中)、プリンスも驚いた表情をしている。
大虎猫(大)は、(小)と(中)に見守られながら、ゆっくりと立ち上がった。しかし、フラフラと足元がおぼつかない。
そう、俺が大虎猫(大)の口の中に放り込んだのは、酒だ。しかも度数96、世界最高度数の例の酒。
いつかエリクサーを作るときのために買っておいたのだが、直ぐに必要になるわけでもないし、後でまた買えばいいし。
大虎猫(大)は、フラフラして(小)や(中)にぶつかり、そのたびに支えてもらっている。完全に千鳥足だ。
様子を見ていると、こんどは(小)や(中)に絡み始めた。
(小)や(中)が一所懸命にあやそうとしていたのだが。
大虎猫(大)が、大虎猫(中)のしっぽを踏みつけてしまい。とうとう喧嘩が始まってしまった。
(小)は喧嘩する二匹の周りをウロウロするばかり。
『頼みの綱のペットたちは、このとおりだぞ。どうする?』
『役に立たんペットたちだ』
プリンスはそう言うと、大虎猫にノシノシ近づいていき、お腰につけた巨大な棍棒を一振り。
喧嘩していた大虎猫(大)と大虎猫(中)は、プリンスの一撃で、潰れてしまった。
大虎猫(小)は、突然のことにビビって、森のなかに逃げていってしまった。
なんて事をしやがる! ペット虐待は重罪だぞ!
『余興はここまでだ。お前も直ぐにペチャンコにしてやる』
『出来るもんなら、やってみやがれ!』
周囲で木々が燃える森の中に、俺とプリンスだけとなり。とうとう一騎打ちが始まった。
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プリンスとの睨み合いが続く中。
俺はエレナの様子を確認してみた。
エレナは、街の冒険者達が守る、街の入口付近まで下がり、彼らと共に戦っている様子が映っている。
MPが残り少ないらしく、魔法を使わずに、【魔力のロッド】で敵を殴り飛ばしていた。
しかし、マップで確認してみた所、雑魚はそろそろ壊滅できそうな位に減ってきている。
安心して、プリンスとの一騎打ちに、臨めるというものだ。
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業を煮やしたプリンスは、巨大な棍棒を構えて、襲いかかってきた。
しかし、巨大な武器なだけあって、スピードは遅い。
さっと、横に移動して避けると。巨大棍棒が地面に直撃して、地面が揺れた。
おっと。
地面の揺れで足を取られた俺は―
次の瞬間、真横に吹き飛ばされた!
直前でバリアを張って威力を殺し、摸造刀でガードしていたので、ダメージ的にはそれほどでもない。
しかし、あの、地面を揺らす攻撃は厄介だ。
あれに、足を取られると、タイミングが遅れてしまう。
『どうした、手も足も出ないか?』
奴は、また同じ攻撃を仕掛けてきた。
俺は同じように横によけて、地面が揺れる瞬間に、ジャンプをした。
『バカめ!』
奴は1撃目を途中で止めて、レの字の様な軌道で、空中にいる俺に向かって、2撃目を繰り出してくる。
【瞬間移動】でよければ早いのだが、あえて【風の魔法】の突風を使って、攻撃を上に避け。そのまま、無防備な頭に向かって摸造刀を振り下ろした。
ガンッ!
乾いた音がして、プリンスの頭にかぶっていた兜が、真っ二つに割れた。
『なに!?』
俺は、その勢いに乗って、プリンスの鎧も同じように破壊していった。
『おのれ! 変な動きをしやがって!』
そして、顕になったプリンスの体目掛けて、摸造刀を斬りつけた。
……のだが。
摸造刀は、プリンスの肉体を1cm程傷つけた状態で、止まってしまった。
『何だその攻撃は、そんな攻撃では、俺様の肉体は傷つかんぞ!』
プリンスは勝ち誇ったように、高笑いをしている。
参ったな、攻撃が通らないのでは、魔法で攻撃するしか無い。魔法はあまり見せたくないんだよな。
俺は、摸造刀をしまって、代わりに日本製の【ナイフ】を取り出した。
『何だその小さな武器は』
プリンスの失笑は、直ぐに消えてなくなった。
刺さる刺さる。
俺は、プリンスの棍棒をかいくぐりながら接近し、プリンスの体をブスブスと刺しまくった。
『痛え! 何故そんな武器で俺の体を刺せる!!』
このまま、ブスブス刺していけば倒せる。
そう思った矢先―
プリンスは、ナイフが刺さった瞬間、その場所の筋肉に力を入れ、ナイフが抜けないようにした。
俺が、ナイフを抜くのに一瞬戸惑った。そこを狙いすましてプリンスの棍棒が、振り下ろされた。
とっさに、【雷撃拳】を叩き込み。プリンスをしびれさせて攻撃を止め、急いでナイフを抜いた。
危なかった。
それからは、一方的な展開になった。
プリンスは、出血と痛みで、攻撃の切れが徐々に無くなり。簡単に懐に入り込むことが出来るようになり。
刺した直後を狙った攻撃も、【雷撃拳】でしびれさせ。
【ナイフ】を抜くときも、そのまま抜くのではなく、グリグリ回転させ、傷口を広げてから抜いた。
だいぶ【ナイフ】の扱いにも慣れて来て。刺すだけではなく、斬りつける事もできるようになっていった。
しばらくそんなことを続けていると―
プリンスは全身血だらけになって、とうとう膝をついた。
『おのれ、おのれ……』
そう言い残すと、そのままプリンスは、うつ伏せに倒れて動かなくなった。
俺は、とどめにプリンスの首を落とし。インベントリにしまった所で―
ずっと感じていた『視線』が、やっと消えた。
『レベルが35に上がりました。
【短剣術】を取得しました。
【短剣術】がレベル4になりました』
レベル差があっただけあって、一気に上がったな。
しかし、得意な魔法を隠しながらの戦闘が、ここまで疲れるものだったとは……
マップを確認すると、エレナ達の活躍により、魔物はほぼ倒され尽くしていた。
俺は、やっと一息ついて。
エレナのもとへ戻った。
感想で頂いていた幾つかの案を混ぜ込んでみました。
ご感想お待ちしております。




