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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
戦争解決編
109/438

100.スガ防衛戦

 翌朝、目が覚めると、となりでエレナが、すやすやと気持ちよさそうに眠っていた。


 昨日は、魔道具を使ってエレナの全身を(ほぐ)してあげていたら、あまりの気持ちよさからか、途中で寝てしまったのだ。

 秋葉で、あれと同じものを購入して。これから毎日、エレナのあんなところやこんな所を、解しまくってあげよう。そうしよう。



 そういえば、俺はスガの街の防衛に来ているんだった。

 エレナの寝顔を見ていたら、危うく忘れるところだった。


 マップを確認してみると、ゴブリン、ホブゴブリン、オーク、ハイオークが大量に集まってきていて。

 さらに、ゴブリンプリンスも1匹確認できた。

 とうとう、襲撃が始まるのだろう。



 やっとエレナが起きてきた。


「エレナ、朝にもう一度バスルームを使うかい?」

「え、遠慮しておきます」


 エレナは少し顔を赤らめて、()ねてしまった。

 拗ねてるエレナも可愛いな……


 エレナの機嫌を、なんとか直し。

 リルラに連絡を入れた所、イケブの街周辺では、まだ敵を見つけられていないとの事。どうやら、こっちに専念する事が出来そうだ。


 俺達は、ルームサービスで朝食をゆっくり取り。

 俺は【雷のネックレス+4】と、模造刀。

 エレナは【氷の髪飾り+1】、【回復のネックレス+3】、右手に【魔力のロッド】、左手に【氷のロッド+1】を装備し。

 満を持して、スガの街周辺に集まる魔物たちの、討伐を開始した。


~~~~~~~~~~


 敵は、森の中の、かなり広い範囲に分散配置されているので、街に近付いているものから順に倒していく。

 長期戦に備えて、MPはなるべく温存し。

 物理攻撃で各個撃破していった。


 俺が、模造刀で敵を斬り、エレナが殴り飛ばす。


 回りこまれないように、左右に移動しながら、最前線の敵を削り続けていたのだが。

 徐々に押されて、街に近づけてしまう結果になっていた。


 とうとう、敵が森を抜け、森と街の間に広がる草原地帯へと、戦場が移動してしまった。

 森から次々に出てくる魔物たち。


 俺達の戦いの音を聞いた街の住人たちも、魔物の襲来に気づき、街の門を閉めて。

 治安維持の為に少しだけ残っていた兵士や冒険者たちが、街の防衛のために集結しつつあった。


「このままじゃ、魔物が街まで到達してしまう。作戦を変えよう」

「はい。どうするんですか?」


「俺がゴブリンプリンスを倒しに突っ込むから、エレナは街の方へ下がりつつ、魔法で魔物の数を減らしていってくれ」

「わ、分かりました。セイジ様、お気をつけて」

「おう!」


 俺は、小物を無視しつつ、ホブゴブリン、ハイオークを優先して倒しながら、ゴブリンプリンスの方へ、突撃を開始した。


 エレナは、近づく敵を殴り飛ばしながら、密集した敵に向かって【(ひょう)】を発動させ、魔物の進行を何とか食い止めていた。

 しかし、その代償に、エレナのMPは減る一方だった。



 俺が、敵集団のど真ん中にたどり着くと、そこにゴブリンプリンスが待ち構えていた。

 鑑定をしてみると―


┌─<ステータス>─

│名前:インバインニクス

│職業:ゴブリンプリンス

│レベル:40

│HP:13105

│MP:1681

│力:305 耐久:305

│技:170 魔力:168

│スキル

│【情報魔法】(Lv2)

│【肉体強化魔法】(Lv3)

│【体術】(Lv3)

│【剣術】(Lv3)

│【棒術】(Lv4)

└─────────


 名前があるのか。

 なにげに【情報魔法】を持ってるとか、凄いな。



『お前、人間のくせに強いな』


 プリンスは、流暢なゴブリン語で話しかけてきた。

 ゴブリンやオークは、全員片言なんじゃなかったのか?

 やはり【情報魔法】を持ってるだけあって、頭がいいのかな?


『ずいぶん、おしゃべりなゴブリンだな』

『ほう! 人間のくせに喋れるのか! 面白い奴だな、お前』


『悪いが、お前たちにこれ以上、進ませるわけにはいかないぞ』

『人間風情が、偉そうに。もしかして、弟を倒したのはお前か?』

『ああ、そうだ』


 本当はエレナだけど。


『あいつは、我らプリンスの中で最弱。あいつに勝ったくらいで自惚れるようでは、高が知れるというものだ』


 確かに前回のプリンスとは、大きさも、ステータス的にも、全然比べ物にならない。

 しかし、ゴブリンプリンスは全部で何匹いるんだろう? 四天王とか、三人衆とか言ってくれれば分かるんだけど。


『まあ、こんな敵の只中に、たった一人で突撃してくるようなバカは、直ぐにあの世行きだがな』


 プリンスが、すっと手を上げると―

 周りを守るホブゴブリンとハイオークが、俺の周りを取り囲んだ。


『お前ごとき、俺が戦うまでもない。お前たち、殺ってしまえ!』

「「グオー!」」


 ホブゴブリンとハイオーク達は、一斉に雄叫びを上げたが、俺の周りをぐるぐる回るだけで、一向に攻撃してこない。

 怖がっているのか?


 面倒くさくなった俺は―


「【雷精霊召喚】! 【バリア】×5」


 前後左右と上を、雷と音を遮るバリアで囲むと同時に―

 雷精霊の広範囲落雷が炸裂し。

 視界が真っ白になると同時に、地面から物凄い地響きが伝わってきた。


 視界が元に戻ると、ホブゴブリンとハイオークは、黒焦げになって地面に転がっており。

 ゴブリンプリンスは、体を丸くしていた。

 雷精霊は、場の空気を読んだのか、さっさと俺の体の中に帰っていった。


 マップで確認してみると、魔物の集団の中心部分がぽっかりと穴が空いて、ドーナツ状になっていた。

 そして、そのドーナツの中心に、1つの点が……



『痛てー! 人間、何をしやがった。うわ、部下たちが!?』


 ゴブリンプリンスは健在だった。

 さすがプリンス、アレを耐えるとは……


 【鑑定】してみると、HPは3分の1しか減ってなかった。


『まさか、こんな隠し球を持っていたとはな。仕方ない、こっちも隠し球を出すか』


 プリンスはそういって、何やら魔石のようなものを取り出した。


(いで)よ! ペット達!』


 プリンスが、アイテムを投げると―

 魔石のようなものから、3匹の『虎』が出現した。


 【魔物玉】か!


 虎は、色が白黒で、大きさもデカくて、ゴミ清掃車くらいある。


 3匹の虎は「ガオン」と低い声で鳴いて、プリンスの周りに集まった。


『どうだ、可愛いだろ。俺のペットたち』


 3匹の虎は、プリンスにスリスリしている。

 プリンスも虎もサイズがデカいため、ちょうど縮尺があって、普通な感じに見えてしまう。


 【鑑定】してみると―


┌─<ステータス>─

│種族:大虎猫

│レベル:35

│HP:3054

│力:153 耐久:153

│技:153 魔力:102

└─────────


 『大虎猫』という種族らしい。

 こいつらも、なにげに強いな。


『お前たち、行け!』


 プリンスが合図すると、大虎猫達は一斉に飛びかかってきた。

 それをジャンプで躱すと―

 3匹の中で一番小さな奴が、一番大きな奴の背中を踏み台にしてジャンプし、俺に追い付いてくる。


 やばい!


 とっさに【バリア】を張ったが、小さい大虎猫の攻撃がバリアを破壊し、ヤツの爪が俺の体を捕らえ、攻撃を食らって吹き飛ばされてしまった。

 バリアが緩衝材になったために、ダメージはそれほどではなかったが。吹き飛ばされて自由が効かない。

 飛ばされた先の着地地点を見てみると、中くらいの大虎猫が先回りして、待ち構えている。


「【電撃】!」


 待ち構えている大虎猫に向かって、電撃を放つと。

 そいつの動きがしびれて止まったので、顔を踏み台にして、着地した。


 後ろからの『危険』を察知して振り返ると、小さいやつが後ろから追撃して来ている。

 しかし、俺が着地したことに驚いて、攻撃のテンポが遅れている。

 俺は、向かってくる小さいやつに向かってジャンプし、逆に模造刀で攻撃してやった。


 小さい奴は爪で模造刀を受け止めたが、俺の攻撃の勢いを殺すことが出来ず。後ろに吹き飛んだ。

 地面に激突するかと思われたが、ぎりぎりの所で、大きい奴が受け止め、崩れるかと思った体勢を立てなおしてしまった。


 なんという連携攻撃。

 結構、手強いな。


とうとう100話目です。


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