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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり  作者: かつ
戦争解決編
103/438

094.くっ殺?

 『警戒』を発した追跡用ビーコンは、【小麦粉】の袋に付けた物だった。

 どうやら、物にビーコンを付けた場合、盗難などにあった時に『警戒』を発するようだ。


 俺は自分の部屋で、【小麦粉】の袋が盗まれる所を、ただ見ていることしか出来なかった。


 犯人は複数、オーク面の男達が、【小麦粉】だけではなく、他の食料も洗いざらい盗んでいる。

 犯人たちは、夜の闇に紛れて、盗んだ食料をスラム街に運び込んでいった。

 スラム街の倉庫らしき建物に食料を運び終えた犯人たちは、【人化の魔石】を置いてオークの姿に戻った。


 明日、異世界に戻ったら、取り返しに行ってやるか。


~~~~~~~~~~


 翌朝、リルラの様子を見てみると、「くっ、殺せ!」的な事態には、まだなっていなかったので。

 午前中は、小麦粉を仕入れたり、部長に精力剤を届けに行ったりして過ごしていたのだが。



 昼前になって、今度こそリルラの追跡用ビーコンが、『危険』を発した。



 俺とエレナが、急いでイケブの街に到着すると……


 イケブの街の北門の外で、激しい戦闘が繰り広げられていた。


「エレナは、怪我人の治療を頼む」

「はい」


 エレナは、戦場で怪我をしている人たちの治療を開始した。

 俺は、最前線に移動して、オークの集団に向けて、【水流カッター】を発射し、なぎ倒していった。

 なぜ、わざわざ【水流カッター】なのかというと、大勢の人が見ている前で雷を使うわけにいかない。雷の魔法以外で一番強いのが【水流カッター】という訳だ。

 雷以外の魔法も、もっと練習しとけばよかった。


 エレナは、怪我で戦線利達していた兵士の傷を治し、その兵士を戦線に復帰させることで、戦いに貢献していた。


 俺とエレナの参戦により、戦線は有利になりつつあったのだが……

 そういえば、リルラの姿が見えない。


 追跡用ビーコンの位置を調べてみると、リルラは戦闘エリアから遠ざかりつつあった。

 一体、何をしているんだ?


 リルラの現状を映像で確認してみると―


 手足をそれぞれ4匹のオーク?に抱えられ、大の字に担ぎ上げられて、連れ去られている最中だった。

 捕まっちまったのかよ!

 しかし、このオーク達、普通のオークより体が一回りほど大きい。上位種なんだろうか?


 音声を聞いてみると……


 「くっ、殺せ」などとは言っておらず。


「だずげで~!!」


 と、涙と鼻水を垂らしながら、泣き叫んでいた。


「おがざれる~!! 初めでを、オークにだなんで、いやだぁ~~!!」


 なんか、『鉄壁のリルラ』のイメージが……


「ブヒブヒ」「ぶひー」


 よく聞いてみると、オークが何か会話しているようにも聞こえる。

 試しに【言語習得】を使ってみると―


┌─<言語習得>─

│【オーク語】を習得します

│ 習得レベルを選択して下さい

│・レベル1(消費MP:50)

│  片言で話が出来る

│・レベル2(消費MP:100)

│  日常会話程度は話ができる

│・レベル3(消費MP:200)

│  スラスラと会話ができる

└─────────


 やはり、オーク達は、オーク語で話をしていたようだ。

 MPを200使って、レベル3【オーク語】を習得してみると―


『この、人間の雌、うるさい』

「まったくだ。しかも、この雌、凄く、ブサイク。ゴブリン王、怒るかも』

『鎧、高そう。怒られたら、鎧、剥がして、使う』

『それ、いい考え。鎧、剥がしたら、ブサイクな雌、捨てる』


 すごい言われようだ……

 おそらく、オークと人間では美的感覚が違うのだろう。


 流石にかわいそうなので、【瞬間移動】で、リルラを連れ去っているオーク達の前に移動した。


『ちょっと待ちな』


 オーク達は、急に現れた俺に驚き、急ブレーキを掛けて止まった。


『お前、誰だ? 人間、何故、喋れる?』

『その雌を、助けに来たんだ』

『こんな、ブサイクな雌、助けに、来たのか? お前、物好き』


 オークに笑われてしまった。くそう!

 【鑑定】してみると、『オーク』ではなく、『ハイオーク』だった。やっぱり上位種か。


『お前たちこそ、ブサイクな雌を拐ってどうするつもりだ? まさか交尾するつもりじゃないだろうな?』

『うげえ、そんな事、するか! これと、する位なら、ブタの方が、ましだ!』


 ひどい言われようだが、当然リルラは話の内容を理解することは出来ず、「犯される!」とか「殺される」とか騒いで、暴れている。俺が来ていることすら、気づいていない。


 俺が模造刀を取り出して構えると、ハイオークは二匹だけ前に出て、残った二匹がリルラを担いでいる。


 俺とハイオーク二匹は同時に駆け出したが、片方に電撃をぶつけたことで足が止まり、ハイオークの連携が崩れた。

 ハイオークが腰の剣を抜きながら横薙ぎにしてくるのを、ジャンプで躱しながら、ガラ空きになった首を、すっぱり切り落とした。


 首が無くなったハイオークの肩を踏み台にして、電撃でしびれていたハイオークに飛びかかる。

 電撃から復帰したハイオークが俺を追って顔を上げると同時に、その首もコロンと転がった。



 リルラを抱えていた二匹は、リルラを後ろに放り出して、腰の剣を抜いて構えを取った。

 リルラは、急に地面に投げ出され。


「ぎゃー! いだい! いだい!! 乱暴じないで!」


 リルラは、オーク達に乱暴されたと思ったらしく、激しく泣き叫んでいた。


「あのー、リルラさん?」

「ぎゃー、オークが喋った!!」


 もう、パニック状態で、何を言っても、ぎゃあぎゃあ騒ぐばかりだ。

 俺は、うんざりして、しばらく黙っておくことにした。

 リルラの騒ぎ声をBGMに、俺とハイオーク二匹は睨み合った。


 ハイオークは、左右から俺を挟むように、攻撃を仕掛けてきた。

 左右から同時に振り下ろされるハイオークの剣、俺は【瞬間移動】でそれを躱すと同時に、右のハイオークの後ろに移動し、その背中を袈裟懸けに斬り下ろした。


 斬られたハイオークは悲鳴を上げながら、斬られた背中に、両手を必死に回そうとしているが。次の瞬間、その両腕も俺に斬られて、地面に落ちた。

 激しく出血したハイオークは、そのまま倒れて、動かなくなった。


 最後の一匹は、【電光石火】で体を貫通してしびれさせた後、後ろから首をはねた。


 俺が、クッキングペーパーで模造刀の汚れを拭きとって鞘に納めていると―

 最後にはねたハイオークの首が、コロコロ転がって、うずくまっているリルラの頭にゴツンと当たった。


 やっと落ち着きを取り戻しつつあったリルラが、顔を上げると―


 目の前に、すごい形相のハイオークの生首が……


「ぎゃー!!!!」


 リルラは、そのまま気を失ってしまった。


 オークがトラウマにならないといいけど……

 まあ、気を失ってたほうが、運ぶのには都合がいいや。


 俺は、リルラを抱き上げて、エレナの元へ【瞬間移動】した。


あまりにも「くっころ」の要望が多かったので、ホントはもうちょっと後だったこの話を、無理やり先に持ってきました。


ご感想お待ちしております。

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