093.新装備+
2015/08/02 14:56 「おもぬろに」→「おもむろに」、「居世界」→「異世界」、「イケブの街の魔石に」→「イケブの街の魔石店に」修正
イケブの街の防衛は、『鉄壁のリルラ』に任せて。
俺達は、昨日作った属性強化魔石を持って、イケブの街の魔石店に来ていた。
「こんにちは」
「セイジさん、いらっしゃい」
「さっそく属性強化魔石を作ったので、見てもらえませんか?」
「さすがセイジさん、もう作れるようになったのですか」
昨日作った魔石を、テーブルの上に並べた。
「こんなに作ったのですか? あれ? 様々な色が…… 鑑定してみてもいいですか?」
「いいですけど…… あれ? キセリさん【鑑定】が出来るんですか?」
「いえ、【鑑定の魔石】という物がありまして、それを使います」
「そんなのが、あるんですね」
「それじゃあ、失礼して」
キセリさんが、鑑定を始めたのだが―
「ふぁ!? 何ですかこの魔石は!!?」
キセリさんは、エレナのピンク色の魔石を、ジロジロと鑑定している。
エレナは何故か恥ずかしそうに、モジモジしている。
「そんなにジロジロ見なくても、いいんじゃありませんか?」
「あ、すいません。つい」
キセリさんは、急に真面目な顔をして―
「ほとんどが『+1』の品質で、ハッキリ言って脱帽です。しかし、この2つに関しては、【鑑定】出来ませんでした」
キセリさんは、ピンク色と紫色の魔石を指さす。
しまった! 雷強化魔石も出してしまっていた!
「【鑑定の魔石】は『+1』までしか鑑定出来ませんので、少なくとも『+2』以上なのでしょう。ピンク色の魔石はおそらく【回復強化魔石】。しかし、紫色は…… 分かりませんでした。これは何なのですか?」
どうしよう、こんなにまじめに質問されて、嘘を付くのは気が引けてしまう。
しかたない……
「これのことは、絶対に他言無用でお願いしたいのですが。いいですか?」
「はい、心得ています」
「これは…… 【雷強化魔石】です」
「!!!? いや! だって! そんな……」
キセリさんは、動かなくなってしまった。
「おーい、キセリさん。大丈夫ですか?」
「ふぁ!? すいません。って! 雷ってどういう事ですか? 雷魔法を習得できた人は、今までに一人だけ! セイジさんがその一人だって言うんですか!?」
「いいえ、多分二人目です」
「そ、そんな…… いや、そんな話、聞いたことがありませんよ!」
「ええ、誰にも言ってませんから」
雷魔法が使えることを話すと、こんなリアクションになってしまうのか。今後は気をつけよう。
「とにかく、他言無用ですからね」
「は、はい」
「それで、この魔石をスガの街の武器屋で、装備に付けてもらおうと思うのですが、かまいませんか?」
「はい、ですが…… もし魔石が余りましたら、是非、私に買い取らせて下さい」
「はい、分かりました」
俺達は店を出て、スガの街の武器屋へ向かった。
「こんにちは」
「いらっしゃい、って、また君たちか」
「『また』は無いでしょ、【属性強化魔石】を持ってきたので、装備作って下さい」
「え? もう持ってきたのかい? まあ、見せてみな」
「見せますけど、驚かないで下さいね」
「ずいぶん自信があるみたいだな」
まずは『+1』の魔石をテーブルに並べた。
「ほうほう、自慢するだけあるな、全部『+1』じゃないか」
「分かるんですか?」
「まあね」
そして、おもむろに、【回復強化魔石+3】2つと【雷強化魔石+4】を取り出した。
「ま、まさか! 『+3』と『+4』だと!」
「驚きましたか?」
「ああ、驚いたよ、掛け値なしに。しかも雷とは……」
「これで装備を作って下さい」
「えーと、『+1』は普通の装備でいけるが、『+3』と『+4』は、最上級の土台を用意する必要があるけど、いいかい?」
「どんな物になるんですか?」
「そうだな、千年桜で作った『杖』が1本あるから、それに【回復強化魔石+3】を取り付けて。あとはミスリル製の『ネックレス』が2つあるから、【回復強化魔石+3】と【雷強化魔石+4】を一つずつがいいかな」
「わかりました、それでお願いします。料金と時間はどれ位ですか?」
「久々に腕がなるね~ 物に魔石をつけるだけだから、明日には出来上がるよ。料金は計算するから、ちょっと待ちな」
料金は、取付料込で以下のとおりだった。
千年桜の杖:10200G
ミスリルネックレス:5200G×2
髪飾り(黄銅):1200G×3(風水氷の+1)
ロッド(黄銅):1200G×4(風水氷闇の+1)
合計29000Gとなった。
「それでは、明日取りに来ますので、よろしくお願いします」
「任せときな」
俺達は武器屋を後にした。
「兄ちゃん、これで準備完了?」
「そうだな~ 少し時間も余ったし、イケブの街周辺のオークを狩りに行くか」
「「はい」」
その日は、日が暮れるまでオークを狩り続けた。オークは分散していたため、結局狩れたのは50匹ほどで、森にはまだ200匹ちかいオークが、徘徊していた。
リルラは大丈夫だろうか?
夕飯は日本に帰って食べる予定だったのだが、オークが気になるので、イケブの街で夕食を食べ、しばらくオークの様子をうかかっていたのだが。
まだ動く気配が無いので、俺達が居ない間に、オークが攻めてきたりしないことを祈りつつ、日本に帰還した。
しかし。
日本に帰還してしばらくして。
日付が変わるまで、異世界に戻ることが出来ないと言う時に限って―
追跡用ビーコンが、『警戒』を発した。
俺は、その様子を、ただ見ていることしか出来なかった……
準備ばっかりになってしまった。
ご感想お待ちしております。




