表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤児のTS転生  作者: シキ
孤児のダンジョン生活
78/247

78

ヨグは勝利の咆哮を上げている中、私はというと観衆のいる方向を見ていた。

今もまだ観衆達は歓声をあげているがあれは本物なのだろうか?

見た感じは立体的だしどうにも映像には見えない。


そして何故この戦いにこんなに必死になってまで応援をしているのだろう?

何故その観衆の中には悲しんでいたり悔しそうに号泣までしている奴がいるのだろうか?

もしかしてこの戦いには賭けでもされていたのだろうか?


そんなことが頭の中をめぐるが直ぐにそれを頭を振って忘れるよう念じた。

そんなことあるわけないのだ。

だから今頭の中で思い浮かんだことを必死になって私は忘れようとした。

今はブルファーイからドロップした物を確認することが先だ。


そうして私は痛い頭を片手で押さえながらさっきまでブルファーイがいたところまで行くとそこには俗に言う宝箱というものがあった。

宝箱…確かダンジョン内ではトレジャーボックスという名で探索者に通っていたっけか。

ダンジョンにある隠し部屋や小部屋や低確率で地面に埋まっていたり階層主を倒せば確定でドロップする箱。

その中には探索者の夢、または欲望とも言える遺物、アーティファクトを手に入れられるらしい。

良くて5個悪くて1個は確定で入っているらしいんだがコレは果たして何個入っているのだろうか?

そんな感じで私がトレジャーボックスの前で待っているとヨグが興奮した感じでこちらまでやってきた。


「やったね!ボク達だけで階層主を倒せたよ!そしてコレ、トレジャーボックス…ボクが開けていいかい?」


その興奮した感じの声色に私は押し負けとりあえず頷いた。

するとヨグはいきなり慎重に手をトレジャーボックスに手を掛けこちらをチラチラと見るようになりなんとなくムカついてきたので足でトレジャーボックスにかけている手を思いっきり蹴り上げ強制的に箱を開けさせた。

ヨグは「なんてことをッ!」といって手をさすっているが面倒だから無視してトレジャーボックスの中身を確認する。


そこには3つの遺物が入っていた。

一つは猫じゃらしのような形をした妙な物。

二つ目は金色の刺繍のようなものがされた黒い角笛。

最後の三つ目は銀色の鍵穴があるだけのネックレス。

どれもめぼしいものではないがまぁ私はアーティファクトの知識なんて無いしほかの誰かから見たらきっとお宝なのだろう。

きっと、おそらく、多分そうなはずである。

ヨグはと言うと最後に見た三つ目の銀色の鍵穴がついたネックレスを掲げて「すごい」だの「コレは素晴らしい」だのと目をこれでもかと見開き輝かせながらキモいことを抜かしている。


「そろそろ帰る」


私がそう言うとヨグはすぐにこちらを向き帰りの支度を開始し始めた。

あとはこの闘技場の奥にある魔法陣に乗ってダンジョンの外に出れば今日のダンジョン探索は終了だ。

ふぅその前に一仕事してからだが。


何故かは知らないがダンジョンには太陽があるし土埃も起こる。

そのため今の私とヨグの身体はブルファーイが走ったことによる土埃塗れ、日差しによる汗まみれだ。

こんな状況では不潔としか言えないしこの状態で人前に出るなんてなんというか嫌悪感がある。

なのでもう一仕事してから帰ろうと思う。

ちなみにヨグは何故か魔法陣の方に行っているのでこの行動は独断だ。


手を上にかざして指を動かす。

属性は水と風。

シンボルは雫とつむじを描き魔法陣を頭の中で描き完成させていく。


ん?

もうMPがなくなったんじゃないのかって?

いやぁあるんだなこれが。

何故かブルファーイを倒した時にブルファーイからとてつもなく多くの魔素が溢れ出した。

まるでその巨体に囚われたかのように。

んで私はすぐさま魔素による回復を行ったあとに『収集の魔印』を空中に描いて魔素を効率よく回収してMPを回復したってわけだ。

まぁこの作業はかなり慎重に行わなきゃ予想では自分の身体が魔素に耐えられなくなって自爆というのもあり得るから戦闘では不向きなのだが。

これで私のMPはフルマックス状態というわけだ。


「というわけで…魔法陣展開!『ウォッシャー』」


そうして私は魔法陣を展開する。

すると魔法陣からは泡のような水泡がたくさん現れ私の身体を包みこんだ。

ある泡は土埃がある部分へある泡は汗があるところへと寄せられていき泡が付着し汚れを包み込み私から離れていく。


「これで良し…」


やはり身体を洗うということは大切だと実感できるな。

前は風呂なんて寝る時間を削るから面倒だと思っていたのだがこうして汚れるとやっぱり風呂に入りたいと思えてくるな。


「さてと…アイツはまだネックレスを弄っているのか…まぁそろそろ帰るとしますかねぇ」


そう言い私は虚空庫から久しぶりに『飽食の胃袋』を取り出し中からパンを取り出し口いっぱいに頬張り虚空庫にソレを戻し歩き出した。

これでようやく腹を減らすことは無くなると安堵を覚えながら。


*新しく使った魔術*


ウォッシャー:対象物の汚れと認識とした物を落とす魔術。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ