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孤児のTS転生  作者: シキ
孤児と愚者の英雄譚
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…アルキアン side…


ライオット王の獣化した黒い体毛で覆われ2倍3倍と大きくなった腕が振るわれ周囲の一角の騎士へ襲いかかる。

だが一撃を騎士は完全に防ぎ苦悶の表情を見せた後拳を突き出してその王を押し返してまた一歩踏み出す。


一歩は皆の一歩であり集団を意識しなければ出来ない洗練された行動だ。

周囲の隙間が段々と狭まり押し返されるライオット王はその度に今の行動が自分の思い通りにならないと激昂し更に騎士へと襲いかかっていく。

だがその行動はただ押し返されるのみ…一人へとターゲットを絞って攻撃しようとも近くの騎士が傷ついた場所に薬を蒔くとその傷は簡単に治っていく。


その傷の治りの速さはどうみても最高級のポーションを使っておりこの王殺しと国家転覆に相当力を入れている事が伺える。

そうして僕と当主様はその中にある隙を背中を合わせて見ていた。


「ガァァァァッ!…クソがぁ…俺は王だぞ!?今すぐ俺の命令を聞けッ!」


「…フンッ相変わらず王族は低脳ですなぁ…『傲慢』に胡座をかき我々のような戦う者を見習わずに戦闘の基礎すら知らない」


「正にただの獣ですわね?こんなのが王なんて恥ずかしいですわ…本当に王は独りよがりで目立ちやがり屋で愚かですわね」


そんな嘲笑に更に激昂して攻撃の速度を増す。

側から見れば連撃を食らわせており有利そうに見えるがその実団長で叩きつける攻撃ばかりでガードしてさえいれば後退すらしない。


「…アルキアンよ」


僕はその小さな言葉と同時に当主様の方を一瞬見るととある部分へ視線を向けておりそこへ僕も視線を向けた。

視線はこのテラスの外へ続く街を一望できる大きな穴の方に立つ騎士の方へ向かれている。

気づかれないように自分が愚か者だと偽るように目を泳がせて先程と同じように戸惑っているという雰囲気を出しながらそこへ注視する。


そして気づく…テラス側の騎士が笑っているのだ。

あのターナ家と同じ王への嘲笑、この無様な行動に笑いが込み上げてきているのだろう…そこに僕は隙を見た。


僕はその意図を理解すると同時に当主様へ目を合わせる…二回の瞬きとその後一回手に剣の柄を握り抜剣しようとし離す。

我らが家の騎士団は時に人や知性ある魔物との戦闘もある為所謂ハンドサインは行わない。

その代わりに瞬きと視線を合わせた後何か手持ち無沙汰のように何かを握ったりする自然な行動をサインとする。


当主様からは「今から20秒後に斬り込むから準備しておけ」という言葉がこもっていた。

剣の腕では当主様にはまだ敵わない…だから僕のやる事はその斬り込み後のサポートと逃げ出す準備だ。

こんな防戦一方な状況だから恥だろうと戦術を紡ぐ為に逃げるのだ。


「行くぞ…斬り込みそして開け…速剣流『一閃』ッ!」


「憤怒の炎よ燃え上がれッ!『瞋恚武装』!」


そして時が来ると同時に当主様は近づく騎士に対して虚ろをついた初撃を入れ急な攻撃でふらついた身体に次は蹴りを入れて自慢の防御陣に穴を開ける。

蹴飛ばされた重い甲冑を着た騎士は隣の騎士へとぶち当たり悪態を吐きながら体勢を崩して倒れる。

僕は手と身体に『憤怒』の炎で出来た剣と鎧を纏い丁度弾き飛ばされてきたエリオット王の首を掴むと駆け出した。


だがその猶予を与えた失態を見逃す事無くエリオット王だけは逃すまいと騎士は防御陣を再形成してくるが剣に特大の炎を送りボールのようにすると騎士の一人に投げつけた。

手元から離れた黒い炎を操ることは出来ないが新しい炎を繋いでいたらまだ操れる。


炎を手から一瞬だけ出して細い糸のような炎がボールへ辿り着くと繋がれたボールは膨張して人一人を覆い尽くせるドームへと成長する。

そのドームを僕は走って登りテラス側へと無事についた。


「お、おい何をするのだ盟友ッ!」


「なッ…お前ら追え!」


そして手に残った細い炎の糸を消してそれと共に炎のドームが火花となって散る。

当主様は上を指差しており僕の肩に手を置いた…これは騎士団のサインでは無い、ということはただ単に上に行きたいってことかだろうか?

生憎と僕はこの国の構造はあまり把握していない…ここは当主様を信じよう。


「こことはおさらばかな…その前に焼き尽くせ『噴炎焼却』」


剣に纏った黒い炎は怪しく輝きを放ち僕は地に沿うようにただただ平行に横に薙ぐ。

それと共に黒炎は宙に残り侵食して飛び出して熱風を生み出した。

黒炎と熱風は騎士へと襲いかかり鉄を燃やして溶かす…この憤怒の炎を本能的に危険だと感じたのか多くの騎士は直ぐにターナ一族を抱えてこの部屋から飛び出していくが逃げ遅れた騎士は火だるまとなる。


そして身にくっついた炎の痛みから逃れる為走りまたある者は仲間の元へ助けを求めて駆け出す。

まぁコレで死ぬことはないだろう…運が悪ければ死ぬかもだが。


「うむ…アルキアンよ惨いな…そういう風に他者を痛めつける教育はしてないはずだが」


「悪人には容赦してはいけませんので…では行きましょう『憤怒の灯火』」


僕の肩を掴む当主様が顔を引き攣らせながらそういうが僕はそれに適当に返して悪魔の姿に転じる。

身体に纏っていた炎の鎧は溶けて鱗のような形状へと変化し背中に不気味な悪魔の羽根が生えた。


「ハァハァ…とりあえず助かったのだな?盟友よ…あのターナ家め兄弟だからと優しくしてたがもう許さんぞ!一家諸共食い殺してやるッ」


「はぁぁ…とりあえずアルキアンよこの崖の城の最上階へ行くぞ!そこならば先ほどのような遅れは取らぬからな」


僕はその言葉に頷くと羽根を広げてテラスから空へと飛び出した。

外では街に火が上がり上空からは『聖獣』が街の住民狩りを楽しむように待ち構えていた。


…アルキアン side end…

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