表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤児のTS転生  作者: シキ
孤児と大罪を背負う英雄
206/248

206

…アルキアン side…


『海底教皇』様と手を組み僕達は策を練り出すこととした。

嫉妬の権能である未来を変える力…それを阻止するためには元々の原因である人々を多種族を非難しないよう正すことが重要だと考えたわけだ。

その為僕達はその最初の魚人族の王となる少女を非難した片思い中の少年という存在を正そうとした。


「失敗だな…これは」


やった結果としては…失敗だ。

少年が振る前に少女を調べて特定を行いその少年の元へ行きなんとか矯正を施そうとしたがまず会話が届かない。

何を言っても無反応…根気よく話しかけても結局は虫を見るような目で見られるぐらいの成果しか出てこなかった。


次に僕達はこの少年の父親に会い貴族である証明を行った…コレは成功だった。

自分の領地を持つ証明と貴族しか身に付けることが許されていない徽章を見せるとさっきまで無反応だったのが一変し返事や会話をするようになったのだ。

そうして僕達はその父親を説得しその日のうちに仕事を設ける君の家族の力が必要だからウチの領土に引っ越してくれ金は弾むと好条件のありもしない言葉で引っ越していった。


コレが貴族として正しい行いであったのかについてはさておき僕達は確かにキーであった重要人物の少年をこの村から追い出したのだ。

本当に…コレで良かったと思い空き家になった家で休憩をとり次の日僕達が少女のところに行くとそこには許し難い出来事が待っていた。


「きめぇ顔で近づくなッ!この獣めがッ!」


誰かもわからない少年に少女は告白し罵声を浴びされていた。

その言葉で少女は一変し本を取り出すとそれを掲げ何か一筆すると少年の目は虚になっていき取り巻きを置いて少女の元へと向かっていく。


詰まるところ物語は変えられなかったのだ。

少年が少女を非難して少女は覚醒し最初の嫉妬の大罪者となる。

そのこと自体を止められなかった。


「この物語の修正力というやつか…どうするアルキアン殿…どうすればいいか分かるか?」


その言葉に頭を捻らせる。

何をやっても修正力が働くのだったら僕達がやってる意味なんてないようなものだ。

それだったらいっその事…いやいくら権能であっても魔力というのは消費する。


「仮にそれだったら…」


そう思い僕は『海底教皇』様に自分の考えを伝えた。

大罪の権能といえど魔力は消費すると。

仮にこの物語を作る際に多くの魔力がこもっていようと自分達の邪魔によりその物語を続ける為に修正されようとするなら魔力を消費しなければならないのではないかと。


「ならばやるしかないな…一丁ひと暴れと行くとしようではないかッ!アルキアン殿…なぁに心配なさんなコレでも若い頃は海賊として名を馳せた神官であるぞ?」


一番偉いとも言える人がそんな野蛮なことやってもいいのかと思いながら僕達は行動を移すこととした。

僕はこの村で追いやっても次から次へとどこからともなく湧いて来る少女のボーイフレンドを貴族という身分を振り翳して親を説得して村から追いやる。

『海底教皇』様はその身体で少女を崇める魚人族の団体につけ入り裏で言葉が強い人物から消していく。


だがそれでも修正が入り次の日には少女に新たな記憶が継承されたボーイフレンドが生まれ魚人族の団体の中でキーとなる人物には新たな入団希望者が入り消したやつの枠にはいっていく。

イタチごっことでもいうべきだろうか…だがこうするしか進む道がない。


そうして幾ばくか日が流れこの村から去る時がやってきた。

僕達はこの日の為に船を用意した…あの少女はやはり魚人だからか泳いでシーヒルズがあるところまで行くそうだ。

『海底教皇』様もそれに倣って泳いで行こうとしたがもう歳だろうと言葉を濁しながら進言し船に乗ってもらいシーヒルズができる地へと行くこととなった。


「だからと言ってコレはないと思うのですが…」

「まぁ…似合っていると思うぞ?うん…少し腐臭がするが」


今の少女側には人族は敵であるという思想が芽生えているそうで後に人狩りの海賊文化が出来上がっているそうだから僕の存在ってのはそこに居てはいけないらしい。

だからそこら辺で取れた大きな魚の頭をくり抜き内側を焼いたりして加工して被り物にしたのだ。


だが当然外見は本当の魚にしなくてはならない為皮には手を施していない。

…出来るだけ特殊な陸にいても乾くことがなく新鮮な状態を維持できる魚だから皮は腐食が少ない。


「まぁまぁ…少し滑稽だがククッ…あぁ失礼吾としたことが…いや笑っているわけではないぞ?ただ咳がなぁクハッ」


笑ってるじゃんか…どうやら僕の身体とは合わなかったようで不恰好極まるというのが感想だ。

それに前が見づらい…もっとこういい感じの魚の頭はなかったのかと問いただしたい気持ちでいっぱいであるがコレしかないのではしょうがない。


「うん…あれだな見えてきたぞアルキアン殿ッ!アレが吾が治めることとなる原初の地シーヒルズだ」


大きな手腕で船を高速で漕ぐ『海底教皇』様はそう言うと更にスピードを上げる。

後ろには水飛沫が上がっているのが見えそちらもシーヒルズへと向かっているのが確認できる。


「おぉッ!?後ろから来ているのはもしやあの少女達か?負けてはいけぬなぁ更にスピードを上げるぞしっかり捕まっとけッ!」


多腕を駆使し『海底教皇』様は更にスピードを上げる…その一漕ぎで津波が起きるほどの大きな振りでまるで渦で揺らぐ船に乗っているかのようだ。

あぁ…『海底教皇』様の海賊の血でも疼いたのだろうか?

僕は内心もういっその事羽根でも生やしてあの地に行ってしまいたいと考えながら必死になって船へと捕まったのだった。


…アルキアン side end…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ