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私達は階段を駆け上がり水瓶を持つ女性の像があるエリアへと出るとその光景を目にした。
そこにはいくつもの光の玉が水中に浮かんで海に溶けていき別の所でまた光の玉が生まれるといった神秘的な光景があった。
深海の神殿の外へ出ると相変わらず周りには光の玉が浮かんでおり魚人族が目を虚にしながらこちらへと向かってくる姿が見えた。
やはりここに何か惹かれる物があるのだろうか取り憑かれた様にこちらへと進んでくる。
とりあえず…私はメタモルフォーゼを解除し全て元に戻ったのを確認した後アルキアンの方へと振り向いた。
「「………」」
場の空気は最悪を極め2人とも何も言えない状況が続く。
そりゃそうだろう普通の人族だと思っていた奴がいきなり肉が裂けて異形の存在に成り代わったのだ。
そんな状況で何を言えばいいのだろう…怖がればいいのかそれとも何もみなかったと目を閉じるべきなのか。
私はただただ今のコレが怖くて身体や言葉には出さないが「震えてしまいたい」「ここにいたくない」「逃げ出したい」と思えた…。
だがここで逃げたらこの後の関係はどうなってしまう?
アルキアンが私を恐れて目の前からいなくなってしまったら私はこの世界で唯一の親友と呼べる存在を失ってしまうこととなる。
苦楽を共にし命がけの共闘すらしたコイツがいなくなるっていうのは…なんとも。
そうして空気は静寂に支配され…何分、何時間かかったのだろうか言葉によってその空気が破れる。
「レナ…君はもしかして『暴食』なのかい?」
その言葉の答え何処からきたのだろうか…私がいっぱい物を食べたからだろうか?
それとも姿を変え化け物になったから?
あのスライムのように身体をスライムのように変えたからそこからの印象でそのような確信めいた答えが口から飛び出したのだろうか?
まぁ…そんな仮定をしてても意味は無く私はただ無言で頷いた。
だからこそ私はしっかりとアルキアンの方を向き口を開く…が頭の中は真っ白で言葉は何も出てこない。
ここにきて口下手がこうも祟るとは思ってもみなかったことだ。
口を意味もなくパクパクとさせ魚人族の会話のようについ動かしてしまう。
それぐらいには言葉が出てこない…最初にかける言葉が見つからないのだ。
そんな私の様子を見てアルキアンは微笑む…そうして「わかったよ」と何か意味深な事を呟くと肩を叩き私の前へと出ていってしまった。
…アルキアンは何をわかったのか私にはわからないがまぁ…この場を切り抜けられたということには違いない。
そうして私達は目を虚にしてこちらの神殿へと足を運んでくる魚人族を縄で縛り捕まえる。
この魚人達は何かに導かれここにきて神殿であの異形で肉塊が集まったような魚になるというのがここにきてわかったことだ。
だからこそこれ以上の被害を出さない為にも止めておく…だがコレは少し調査をすれば魚人族の教皇でもわかったはずだ。
それなのに何故部外者である私達に救助を求めたのだろうか?
いやここに来て地下に行った時点であの魚に殺されて情報が届かなかったと考えるのがこの状況を理解する上で妥当と考えるべきか。
にしても…他の貴族達は何処へ行ったのだろうか?
私が地下への階段を降りる前までは空気の膜を保ちながら船でゆっくりとしていたはず…時間が経てば自ら動き出して利益のために働くと踏んでいたからここにいないってのはちょっと予想外である。
「結局ここには何が祀られていたのだろうか…彼らの言う海神様ってのもここにはいなかったわけだし」
そうアルキアンが呟いた次の瞬間「パプ~」と気が抜ける音が深海に響く。
何処かで聞いたことがあり何故この音がここで聞こえてくるのか不思議になり耳をすませていると次は地が揺れるような重低音が鳴り響く。
それと同時に縄で縛っていた魚人族は苦しそうに喘ぎそして元々正常ではなかった目は充血しだし海を赤色に汚す。
いつしか周りにあった不思議な光の玉の方から視線を感じるようになり何かがいるような気がしてそちらをバッと向くとそこには何もなくただ玉が浮いているだけで。
時間が経つと共に至る所からコチラを何かが見ていると言う感覚に陥り気が滅入る気分になってくるがそれでも周りからまだ重低音が聞こえてくるため警戒を解かずに周囲を見渡す。
縛っている魚人族の様子も更に悪くなり口から赤色の泡を出し続けている。
そうして警戒を続けているとアルキアンが私の方を向く。
「そろそろ僕達も撤退しよう!魚人達は…あの見える建物へ連れていくしかないね。急ぐよッ!」
そうアルキアンがそう言うと魚人達を数人纏めた縄を引っ張り海底街の方へと歩き出した。
それに習い私も縄を引き海底街行こうとするが身長差もあってかなかなか魚人達を引きずれず魚人族は今にも深海の神殿へ歩き出しそうだ…。
このままじゃ移動することすらできない…いや力技でメタモルフォーゼで魚人族そのものを投げ飛ばせばいいのだろうけどこんな所でメタモルフォーゼなんか使いたくない。
「しょうがない…魔法陣展開!飛翔ッ!」
私に対して魔法陣を放ち飛翔の魔術を発動すると浮かび上がる。
そのまま私は浮かんだまま魚人達を宙に吊しながら海底街を目指すこととした…まぁ結局結界をでたら飛翔の魔術の効き目も薄くなったから身体強化で無理やり引きずった形になってしまったのだが…。




