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SF・時代小説・ホラー・童話等 短編集

七夕と大樹

作者: なななん
掲載日:2019/07/25

悠蓉さまに捧ぐ。




その昔、私は大樹であった。


豊かな森の奥深くに根をはり、導かれた水源を吸い上げて葉を茂らす、大きな太い木であった。


私の枝には色鮮やかな鳥たちがとまり、

私の幹には甘い樹液を求めて虫たちが集い、

私のうねるように生えた根のほとりに動物たちは身体を休め、やがて朽ちていった。



時が経ち、いつしか二本足の動物が私の元へ足しげく通ってくるようになった。


ぽつり、ぽつりと来ていた者が、やがて少しずつ増え、私の足元で営むようになった。


私の胴回りには縄が緩く巻かれ、やがてその者達は周期的に集う。


星々が瞬く夜に。


ある者は祈り

ある者は唄い

ある者は舞った


やがてその者達の想いは淡い筋となって空へ上がっていく。


細く、太く、時に重なり、時に離れながら。


その輝きを私は見守った。



藍色に染まる夜は

澄んだ七星が巡る空もあれば

霞みの中でうっすらと灯る光もあった。


今夜は川のように細やかな星たちが時おり流れ星となりながら空を彩っている。


営みと共に上がる淡い筋と呼応するように瞬く煌めきを、美しいと、私が思うのは可笑しいだろうか。


ただの木である私が。

ただ、そこに在るだけの私が。



毎夜眺める中、数年に一度、

このような空に出会える事が嬉しい。


気が遠くなるような時の中で、

その数瞬と出会えたことを、

私は感謝する。


天の采配に、心から。



やがて私は老い、いずれ枯れていくだろう。

最期の時まで、何度でも眺めていたい。

そう思いながら、私はまた見上げる。


風と共に

動物たちと共に

営む者と共に


夜影に浮かび上がる

小さな灯りを。







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― 新着の感想 ―
[良い点] こ、これは悠蓉様の七夕と大樹企画……! なぜ今まで気付かなかったのかと自分を引っ叩きたくなりました。 しかも看板短編企画にも提出されていたとは……(ガバガバ読み手) 今更になってしまいま…
[良い点] 凄く良いです!大樹と星空が一つに繋がった感じがしました。 天の采配という言葉、いいですね。 世界が、自然が、一体化している感じが出ていますね! [気になる点] 無いです。 [一言] 私も…
[良い点] 看板企画よりお邪魔します♪ なんて雄大で素敵なお話……! 大樹の雄大さや星の煌めきが見えるようで、深くて包まれるみたいで、とても温かな気持ちになります。 疲れたときや優しい気持ちになりた…
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