079. 第二部これまで〈52~78話〉のまとめ
こんにちは。お久しぶりです。作者の幽八花あかね(ゆうやけあかね)です。
たいへん長らくお待たせいたしました。『聖女殺しの恋』二部一章の前半は冬に連載、後半は夏に連載ということになりました。夏に連載再開です。
今話は、第二部のこれまでの展開(第52話~第78話)を振り返る復習回です。物語の続きは、次話からとなります。
第一部(第01話〜第50話)の内容・登場人物や世界観の設定については、「051. 【登場人物と世界観まとめ】」にてまとめております。必要でしたらご覧ください。
第51話のまとめ回でも書いた通り、第二部は、第43話「聖女は愛で目を覚ます」と第44話「エピローグ――ふたりの聖女は愛を誓う」の間にあった出来事を中心に描くものとなります。
ここから先は、第78話までのネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
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第二部は、婚約者編です。
現在連載中なのは、第一章【ベガリュタルの王太子と古魔法迷宮】というエピソードです。
二部一章――プロローグ
一・兄弟王子と出遭う放課後
二・聖女姉妹のキスは薬学室で
三・ゲームの前奏に鳴る心臓
四・ふたりの王子と婚約指輪
五・花と指輪と浴室の聖女
ここまでが前半になります。
第二部【第一章】ベガリュタルの王太子と古魔法迷宮
イラリアが無事に目覚めた春から、夏にかけて。オフィーリアが大学院の一年生として、イラリアが学院の三年生として復学した年のこと。次の王太子が決まるまでのお話――……
***
〈ここまでのあらすじ〉
卒業パーティーの日――バルトロメオがクーデターを起こした時から、一年。
オフィーリアは聖女の力も駆使しながら研究に励み、心臓の止まっていたイラリアをついに目覚めさせた。
一年ぶりの再会から、数日後。三月のこと。
王城に赴いたオフィーリアとイラリアは、国王と三人でお茶をする。国王はイラリアの無事な姿にしみじみするとともに、オフィーリアへ向けて「リアーナに似てきた」と言って笑った。
王は、末の異母妹であったリアーナ――オフィーリアの母親を溺愛しており、彼女の面影をもつオフィーリアのこともよく可愛がっていた。
オフィーリアの頼みから、彼女とイラリアは、国王夫妻の前で婚約式をあげることになる。オフィーリアは、王妃と一緒に、密かに式の準備を進めていた。
式の時にイラリアが着たのは、かつて王妃が婚約式で着た衣装。オフィーリアが着たのは、生母リアーナが婚約式で着た衣装。
王妃の腹の底が見えない様子に、オフィーリアは嫌な感覚を抱くが……。
オフィーリアとイラリアは、その日の会話のなかで、数十年前の争いのことを話す。
現国王は、王位につく前は、第三王子であった。オフィーリアの父、かつてのハイエレクタム公爵だった男は、公爵家の三男であった。
きょうだいを殺して王位や爵位の継承を確実にしようとしていたそれぞれの長兄を、ふたりが裁いて正義の勝利をおさめた――とされる、きょうだい争い。
そこでは、数名の貴公子とその婚約者の血が流れたという歴史があった。
国王やオフィーリアはその再来を恐れるが、しかし今のベガリュタル国に王太子はいない。
バルトロメオが廃太子とされて離島にいる今、国は、新たな王太子を決めるべき時にあった。
大きな事件は起きていなくとも、不安定な時期であった。
不安感や、相手を試して知りたい気持ち。微妙な空気。神殿には認められない、ふたりの仲。
複雑な事情と想いを抱えながらも、オフィーリアとイラリアは婚約式を終え、リアーナの墓前でも報告の挨拶をし、仲直りをしてから帰路につく。
なんとかなるとオフィーリアは前向きに頑張ろうとし、イラリアが生きている今を愛おしく思う。
そして始まる、再びの学校生活。四月のこと。
大学院の一年生になったオフィーリアは、ジェームズ先生の仕事が増えていることに疑念を抱くとともに、彼のことが心配になる。
イラリアを目覚めさせる研究を支えてくれた彼とオフィーリアは、学院卒業時より深い絆で結ばれ、今では互いをよく信頼していた。
その日の講義を終えた後、オフィーリアが出会ったのは――ふたりの王子。
ひとりは、バルトロメオにそっくりの男――かつてのきょうだい争いの最中に生まれ、今までは存在を隠されてきた王子。バルトロメオの異母兄。アルティエロ。
彼の姿からオフィーリアはバルトロメオのことを思い出し、心を乱される。
そして、もうひとりは、黒髪の第二王子――セルジオ。イラリアと同い年の男で、バルトロメオの異母弟。
彼はイラリアの所属する薬学研究部に中途入部するも、ふたりの相性は良くない様子であった。
オトメゲームの記憶に、複数の人生の記憶。価値観の違い。誤解。軽微なズレが大きな歪みを生み、すれ違うオフィーリアとイラリア。
妙に歯車が合わないふたりは、再会してから、想い合っているはずなのにギスギスすることがままあった。
そしてオフィーリアには、イラリアに隠していることがあった。
イラリアの復活を目指して研究に明け暮れていた間に、聖女の力の酷使により、自身の心臓を壊してしまったということ。
このままでは、あと十年で死んでしまうかもしれないこと。
侯爵として。研究者として。学生として。ドラコの母として。イラリアの恋人、婚約者として。
そして――第一姫の身分を、王女の身分を与えられる者として。
やるべきことや問題が山積みのなか、オフィーリアは、イラリアやジェームズ先生と一緒に春を乗り越えていく。
警戒すべきは、オフィーリアにやたらと執着する、ふたりの王子のこと。
彼らやイラリアから伝えられる、オフィーリアの知らない〝バルトロメオ〟――彼のことにも向き合わなければと彼女は思う。
イラリア曰く、今の状況は、オトメゲームの〝アル〟ルートをオフィーリアが進むかのよう――
すなわち、バルトロメオと瓜二つのアルティエロ第三王子が、オフィーリアと恋に落ちるかのように感じられるらしい。
また、ジェームズ先生も、オトメゲームにおける重要人物だったとのこと。
一方、オフィーリアは、オトメゲームや転生のことはすべて神々の筋書きで、自分たちは今も女神さまの手に弄ばれているかもしれないと考える。
あっという間に、春は終わって――……
***
その後、初夏のオフィーリアたちのこと――六・風薫る頃の聖女たち
第三王子アルティエロと、第一王女オフィーリアのお披露目パーティー。バルトロメオのことを知るため王城を探るオフィーリア――七・姫たる夏と大三角
……と物語は続いていきます。
後ほど気づいたことがあれば、加筆・修正いたします。
では、次話から、二部一章の続き。
【ベガリュタルの王太子と古魔法迷宮】後半戦です。
よろしくお願いいたします……!




