4月8日 薄緑色
4月8日
薄緑色
うすみどりいろ
#69B076
R:105 G:176 B:118
4月8日 薄緑色
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これは。
私は、その古い型の冷蔵庫の前で立ち止まった。
確か、これと同じ冷蔵庫を昔、実家で使っていたはずだ。
それまで使っていた冷蔵庫ではあまり冷えなくなってきていたことと、ドアの部分がうまく閉まらなくなってきていたこと、母が冷凍庫の部分が大きいタイプのものを欲しがったことで、新しく購入したものだった。
汚れが目立ちにくいということで、白ではなく薄緑色を選んだのも母だった。
休日を潰す目的で、特に何の期待もせずに来た家電博物館ではあったが、意外な再会が待っていたわけだ。
私と同じように、昔、実際に自宅に同じものがあったり、祖父母の家で見かけたり、という人は少なくないようで、あちこちから、囁く声が聞こえてきた。
「これ、懐かしい。」
「確か、これ、就職祝いで買ってもらったやつだ。」
「色違いがうちにあったなぁ。」
薄緑色の冷蔵庫は、長いこと実家で頑張って、食べ物や飲み物を冷やしてくれていた。
突然真夜中に、モーターの音が大きくなったりするものだから、トイレに起きた妹がびっくりして泣き出したこともあった。
学校から帰って、手を洗うと、真っ先に冷蔵庫に入った麦茶を飲むのが、夏の習慣だった。
そして、母の作ったプリンや頂き物の果物が入っていたりすると、もう、たまらなく嬉しかったものだ。
冷凍庫の方にはアイスクリーム。製氷皿と氷入れ、そして、熱が出た時に使う氷枕がいつもセットされていた。
しかし、その薄緑色の冷蔵庫も寿命がきた。
私たち子供が実家を出て、人数も減ったこともあり、あまり大きな冷凍庫は要らなくなった母が次に選んだのは、野菜室が大きな冷蔵庫だった。色はネイビーブルーで、妙に存在感があったのだった。
写真は、集積回路。基板の色が薄緑色。
薄緑は若緑よりさらに薄い緑色。
その昔、白物家電と呼ばれ、筐体の色が白いものが多かった生活家電。
いつ頃からか、パステルカラーのものも増えて、薄緑色の冷蔵庫も割と見かけたように思います。




