3月24日 マロー
3月24日
マロー
Marrow
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R:147 G:68 B:145
3月24日 マロー
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目の前に置かれた透明なガラス製のティーセットには、初めて目にする色の液体が入っていた。
うわっ、これ、大丈夫なんだろか? 毒ってことはないよな?
にしても、飲みもんとは思えない色だな。
俺の目は完全に泳いでいた。
「これは特別にお取り寄せしましたのよ。ふふふ。美しいでしょう? これこそ私に相応しいお茶ですわ。」
令嬢は、俺の当惑になどまったく気付きもせず、自慢を始めた。
「た、高価そうですね。」
俺は、他に言いようがなかったため、そう返した。
「無論ですわ。もっとも私くらいになれば、最高級のものを揃え、使うのは、ごく当たり前のことですの。最高級を把握しておくことは、立場上、必要不可欠なことですもの。ほほほ。」
極めて自己肯定力の高い令嬢である。
「さぁ、冷めてしまわないうちにお召し上がりなさいな。もう二度と口にすることができないかもしれなくってよ。よく味わってください。」
令嬢は、自信満々といった様子で勧めてきた。
いや、俺は、できれば、普通の安物の茶でいいんだけどな。そっちの方が安心して飲めそうな気がする。
しかし、目の前の令嬢は、俺が拒否するなどという事態を微塵にも想定してはいないようだった。
その目は、「早く飲んで、さらなる賞賛の言葉を口にせよ!」と言っていた。
俺は、諦めて、その不思議な色の茶を無理やり口に流し込んだのだった。
写真は、マローブルーティ。
ウスベニアオイの花の赤紫色。
ウスベニアオイは、こぼれた種子で育つほど丈夫なハーブらしい。
そして、乾燥した花を水出しすると鮮やかな青色の液体となるとか。ハーブティとしても有名らしく、レモン汁などの酸性のものを加えるとピンク色に変化するので、色の変化の見立てで「夜明けのハーブティ」と呼ばれたりもします。モナコのグレース王妃が好んだという逸話も。
マロー自体は、古くから薬草として扱われ、気管支炎や感冒の治療に使われた記録が残っています。
マシュマロの「マロ」はこのマローのことで、かつては、マローの根をすり潰したものを原料にしていたという。今は、使ってないけどね。
しかし、この色でお茶と言われても……。
味は、さほどびっくりするような主張のあるものではない、とされてます。
(すみません。猫は、実際に飲んだことがないのです……。これと、バタフライピーは、ちょっと食指が伸びない……。)




