12月30日 オータムリーフ
12月30日
オータムリーフ
Autumn Leaf
#B26724
R:178 G:103 B:36
12月30日 オータムリーフ
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市民の憩いの場である緑地公園は、かなり広大な敷地面積を有していて、その全貌を知っている者は、そう多くはいない。大抵の利用者は、それぞれのお気に入りの場所が決まっていて、そこ以外の場所を散策して廻ろうという方が少数派なのだ。
山嵜帆影のお気に入りの場所は、南側の広い人工池のあるエリアだった。北側半分の大部分を占める馬事公苑には行ったことがなかったし、東側にある人気スポットの植物園や花壇は普段から人が多く、桜の時期をはじめとして花々の見頃に合わせて大勢の見物客が訪れるので、静かな時間を過ごすには適してはいなかったのである。
帆影は、南側のエリアで、あまり人が来ない池のほとりのベンチに座って、水鳥が水面に漂っている様子や、時折、餌を期待して足元の辺りまで近付いてくる様子を眺めて、時間を潰すのが好きだった。
南側のエリアを囲む歩道には、道沿いにすずかけの木が植えられていた。
迷彩柄のような模様のある樹皮に、モミジのような切れ込みのある大きな葉、丸いポンポンのような変わった実が垂れ下がっているのが特徴のすすかけの木は、派手さはないものの、面白い植物で、やっぱり、見飽きないのだった。
秋になると、葉は茶色になるが、赤や黄色の紅葉に負けないくらい綺麗な枯れ葉であると思えたし、むしろ、すずかけの木の枯れ葉は、大人っぽい感じがするのだ。
葉がすべて落ちてしまった後も枝に垂れ下がり続ける丸い実は、どこかユーモラスで、ファンタジックな感じがする。
このエリアの歩道を、例えば、桜の並木道などにせず、すずかけの木の並木道にしたのは、なぜなのか分からないけれど、決めた人はセンスがいいなあと、帆影は思っている。
写真は、モミジバスズカケノキの葉。
枯れ葉のような、ややくすんだ暗いオレンジ色。
モミジやイチョウのような鮮やかな紅葉・黄葉とは違って、茶に近い色。
大人っぽい色だと思います。




