12月28日 ジョーンミエル
12月28日
ジョーンミエル
Joan Miel
#CB981B
R:203 G:152 B:27
12月28日 ジョーンミエル
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
あるところに、それほど小さくもなく、それほど大きすぎるわけでもない森がありました。
そして森のおくの方に、大きな洞ができた1本の古くて大きな木がありました。
その洞には、くまのおやこが住んでいました。
くまのおかあさんと、2匹のこぐまです。
くまは、はちみつが好き。
このことは、とってもよくしられているので、いまさら、おはなしするひつようもないかもしれません。
森のおくの方の大きな木の大きな洞に住むくまのおやこも、やっぱり、はちみつが好きなのでした。
くまのおかあさんは、2匹のこぐまに、おいしいはちみつがたっぷりとかかったパンケーキを食べさせたいと思いました。もちろん、くまのおかあさんも、おいしいはちみつがたっぷりとかかったパンケーキが大好きです。おいしいはちみつがたっぷりとかかったパンケーキのことを考えただけで、口から、よだれが、たっぷりたっぷり出てしまいそうになってしまうくらい、大好きなのでした。
そこで、くまのおかあさんは、はちみつをさがしに出かけました。
じつは、まえまえから、ちょうどよさそうな大きなハチのすがあるばしょに、めじるしをつけてあったのです。
それは、お星さまのしるしでした。
ちょっといいな、というハチのすには、お星さまひとつ。
かなりいいな、というハチのすには、お星さまふたつ。
ものすごくいいな、というハチのすには、お星さまみっつ。
そんなわけで、くまのおかあさんは、お星さまみっつのしるしのハチのすのあるばしょへ、むかいました。
しかし、ハチのすのあるばしょについたとき、くまのおかあさんはびっくりしました。
そこにあったはずの大きなハチのすがなくなっていたからです。
「せっかく見つけたハチのすだったのに。だれかに、さきに取られちゃったんだ。ああ、もったいない。」
くまのおかあさんはがっかりです。うらめしそうに、ハチのすがあったばしょをながめていると、ふくろうのおじいさんがこえをかけてきました。
「おや、ひとあしおそかったようだね。そこにあったハチのすなら、さっき、2匹のこぐまがもっていったよ。」
くまのおかあさんは、それをきいて、さらに、びっくりしました。
「2匹のこぐまですって?」
くまのおかあさんは、いそいで、大きな洞のある大きな木のところに、もどることにしました。
くまのおかあさんは、もどるとちゅうのみちに、あまいあまいにおいのするはちみつが、すこしずつ、こぼれていることにきがつきました。
「まあ、こんなにこぼしてしまって。ああ、もったいない。」
ところが、よく見ると、そのこぼれたはちみつは、大きな洞のある大きな木とはべつのほうこうへとつづいています。
「どういうことなのかしら?」
くまのおかあさんは、こぼれたはちみつのあとをたどっていくことにしました。
くまのおかあさんは、こぼれたはちみつがもったいなくて、ぺろりとなめ、そして、つぎにこぼれたはちみつもぺろりとなめ、そのつぎにこぼれたはちみつもぺろりとなめました。そうやって、ちょっとずつ、はちみつをなめながら、くまのおかあさんは、はちみつのあとをたどります。
くまのおかあさんは、1本の木のまえまでやってきたのです。
そこは、りすのおやこのうちがある木でした。
「あら、くまのおかあさん。こぐまたちなら、もうここにはいないよ。」
りすのおかあさんが、くまのおかあさんにきがついて言いました。
「はちみつのおすそわけ、ありがとうね。こぐまたちは、のうさぎさんのおうちにむかったとおもうわ。」
くまのおかあさんは、そのことばにびっくりしましたが、りすのおかあさんにおれいを言って、のうさぎのうちへと、むかいました。
のうさぎのうちは、土にほられた穴の中にありました。
そこまでいくとちゅうでも、やっぱり、くまのおかあさんは、こぼれたはちみつをぺろりとなめ、つぎにこぼれたはちみつもぺろりとなめ、そのつぎにこぼれたはちみつもぺろりとなめました。
のうさぎのうちについたくまのおかあさんは、とびらをちょんちょんと、かるくたたきました。
「まあ、くまのおかあさん。こぐまたちなら、さっきまでいたのだけど。」
そとに出てきたのうさぎのおとうさんが、くまのおかあさんを見上げて言いました。
「はちみつのおすそわけ、ありがとうね。こぐまたちは、きつねさんのおうちにむかったとおもうよ。」
くまのおかあさんは、のうさぎのおとうさんにおれいを言って、こんどは、きつねのうちへと、むかいました。
きつねのうちも、土にほられた穴の中にありましたが、のうさぎのうちよりも、きつねのうちの方が大きな穴なのでした。
のうさぎのうちからきつねのうちまでは、それほど、はなれていなかったのですが、とちゅうで、くまのおかあさんは、こぼれたはちみつを見つけ、やっぱり、ぺろりとなめました。
きつねのうちについたくまのおかあさんは、とびらをこんこんと、さっきよりつよめにたたきました。
「わあ、くまのおかあさん。こぐまたちなら、たったいま、おうちの方へかえっていったばかりだよ。」
とびらをあけたきつねのふうふが、くまのおかあさんにむかって言いました。
「はちみつのおすそわけ、ありがとうね。これ、よかったら持っていってよ。」
くまのおかあさんは、きつねのふうふから、おいしそうなイチゴが入ったかごをうけとりました。
くまのおかあさんは、きつねのふうふにおれいを言って、ようやく、大きな洞のある大きな木のところへと、むかいました。
さて、くまのおかあさんが、大きな洞のある大きな木にもどってくると、あまいあまいはちみつのいいにおいといっしょに、すこしこうばしいパンケーキのにおいと、とけたバターのにおいがしてきました。
くまのおかあさんが、大きな洞のとびらをあけると、2匹のこぐまがそろって出むかえました。
「「おかえりなさい、おかあさん。」」
くまのおかあさんは、2匹のこぐまにむかって言いました。
「ただいま。ところで、とってもいいにおいがするのだけれど、どうしたの?」
2匹のこぐまはくちぐちに言いました。
「パンケーキが食べたくなったんだ。」
「おいしいはちみつがたっぷりとかかったパンケーキだよ。」
「森に大きなハチのすがあるって、ふくろうのおじいさんがおしえてくれたの。」
「おとうさんが大きなハチのすを取ってくれたんだよ。」
「おとうさんはいそがしいから、おいしいはちみつがついたすを、そのままかじって、いっちゃった。」
「りすさんのおうちにいって、おいしいはちみつのおすそわけをしたら、あたらしいたまごを分けてくれたんだ。」
「のうさぎさんのおうちにいって、おいしいはちみつのおすそわけをしたら、まっしろなこむぎこを分けてくれたんだ。」
「きつねさんのおうちにもいったんだよ。おいしいはちみつをおすそわけしたら、きつねいろのパンケーキをやくことができるバターをくれたんだ。」
2匹のこぐまとくまのおかあさんは、おいしいはちみつがたっぷりとかかったパンケーキを、いっしょに食べました。
でも、くまのおかあさんは、とちゅうで、こぼれたおいしいはちみつをいっぱいなめてしまったので、すぐにおなかがいっぱいになってしまいました。
くまのおかあさんは、きつねのふうふがくれたイチゴをすこしだけかじりました。
2匹のこぐまは、イチゴもおいしそうに食べました。
のこったイチゴは、おとうさんの分です。
くまのおとうさんは、ながれ星をかんそくするおしごとをしています。だから、こんやも、いそがしいのです。
ながれ星がいっぱいふってくるよるは、ひとばんじゅうおきていなければなりません。
2匹のこぐまは、まだ、ながれ星を見たことがありません。
よるはねむくなってしまうから、2匹のこぐまは、ながれ星のふってくるじかんには、おふとんのなか。
ぐっすりぐっすり、いつか見る、ながれ星のゆめを見ながらねむるのです。
よるがあけ、あさになってから、うちにかえってきたくまのおとうさんは、イチゴにおいしいはちみつをたっぷりたっぷりつけて食べました。
写真は、瓶に入ったハチミツ。
ハチミツの色のような黄色。フランス語の色名です。
今もあるのか分かりませんが、昔、ハチミツ入りのシャンプーというのがあって、使ったあと、ハチに追いかけられたことがあります(怖)。
たまたまなのか、何か理由があるのか、いまだに分からないのですが、甘い匂いにハチが誘われることは確かなようです。
柔軟剤の甘い匂いに惹かれて、洗濯ものにハチが入り込んじゃうことがあるらしい。
そして、クマさんがハチの巣を食べるのは、実は、ハチの子が目当てらしい。
だから、ミツバチの巣だけでなくスズメバチの巣も食べちゃうとか……。
クマさん、すごい。




