12月12日　鮭色

12月12日　鮭色

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思ったより早い時間で済んだせいで、今日はお昼ご飯がゆっくり食べられそう。

でも、時間に余裕ができたなら、昼休みにやってしまいたいこともある。

私は、少し迷ったが、会社の外のお弁当屋さんへと駆け込んだ。

「鮭弁当1つください。」

お弁当屋さんの店先にはいろいろなメニューの写真が掲げられていたが、私はいつも鮭弁当だ。

脂っこいものが苦手なのだ。

鮭のピンク色が好きだというのもある。

母はあまり彩りにこだわらない人だったから、行事の時に持たされるお弁当は茶色いことが多かった。それを、可愛らしいキャラクター弁当なんかを持ってくる子たちの中で広げるのが恥ずかしかった。

でも、ある時、蓋を開けたら、鮭の入ったお弁当だったことがあり、その時は、そのピンク色が、とても華やいで見えたのである。そして、それ以後は、お弁当の時には鮭を入れて欲しいと、お願いしたのだった。

母は、私のことを魚好きだと思っている。

しかし、正直なところ、鮭以外の魚はあまり得意ではない。きれいに食べることが難しいからだ。

鮭だけは特別なのである。