12月3日 栗梅
12月3日
栗梅
くりうめ
#852E19
R:133 G:46 B:25
12月3日 栗梅
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空模様は、今にも降りそうといった塩梅の、かなり暗い曇り空であった。
あまり荷物は増やしたくなかったのではあるが、万が一のために、折り畳み傘をカバン奥側の方に入れざるを得なかった。
どうせなら、降り始めてくれた方がよかったのに。
そうすれば、諦めて、さっさと傘を広げるだけのことなのだから。
折り畳み傘は面倒なのだ。広げても充分な大きさではなく、骨の部分も弱弱しい。結局は、持っていったところで気休めでしかない。けれど、家に置いていくという選択も取りにくい。
一番面倒なのは、思い切りがつかない自分自身なのであるけれど。
玄関を出て、広い通りまで続く住宅街の中の道を歩きはじめると、風はもう冬のそれに近い冷たさであった。着てきた栗梅色のコートは、今シーズン初めてであったが、正解だったようだ。ただし、覆われていない素手は既に冷え切っている。風が吹くたびに指先がしびれるようだ。
駅のホームで待つ間、あまり格好はよくないと知っているが、コートのポケットに手を入れておくことにした。同じ栗梅色の手袋が欲しいなと、考えながら。
写真は、列車の車体。たぶん阪急電車。
ややくすんだ赤茶色。
「栗色の梅染」が略されたものなのだとか。江戸時代から使われた色名とされています。
温かい感じのする色だと思います。
阪急電車の車体は、公式には「マルーン」となっているので、ちょっと違うのですけれど。




