11月8日　ナスタチウムオレンジ

11月8日　ナスタチウムオレンジ

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前菜としてテーブルに置かれたのは、オレンジの鮮やかな花で彩られた一皿。

「こちらの花は、お召し上がりいただけます。」

ギャルソンの言葉に、一瞬、耳を疑った。

「花を食べるの？」

思わず漏れた疑問に、テーブルの向かいに座る友人は吹き出した。

「菜の花食べるじゃん。あと、桜の塩漬けとか。」

それもそうか、と一瞬は思ったが、しかし、それにしても鮮やか過ぎる色が気になる。

皿を目の前にして躊躇っている様子がよほど可笑しかったのか、友人の肩が揺れている。

笑い過ぎ。

「お子ちゃまには刺激が強いかもね。これ、ちょっと辛いよ。」

お子ちゃま言うな。食べてあげようじゃない！

できるだけ上品に小さく畳んで、口元に放り込む。

確かに、ピリリと辛い。ワサビみたいな感じだ。オレンジ色なら、もうちょっと甘くてもいいんじゃない？

微妙な表情になったのだろう。友人の肩はさらに揺れを増していた。