10月31日 ライラック
10月31日
ライラック
Lilac
#D1BADA
R:209 G:186 B:218
10月31日 ライラック
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坂の上にある昔からの大きな家のご当主が亡くなられ、相続の関係とかで、家が取り壊されることになったらしい。
ここら辺では有名なお宅らしく、タクシーなどでも、その苗字を伝えると、それだけで通じるとか。
坂の下の賃貸マンション住みの我々転勤族にとっては無縁とも思えるような話ではあるが、昼間も家に居る妻にとっては、密かに「ライラックの花の家」というあだ名を付けて呼んでいた建物らしく、残念がっていた。
「お散歩コースなのよ。引っ越ししてきてすぐに気付いたわ。すごい大きなお屋敷があるから、何だろうって思って。ここらでは有名な地主さんみたい。5月頃、辺りがいい香りに包まれて、周辺を囲む薄紫色も素敵なの。あんなお家に住んでみたいなあっていう憧れを体現したような建物でね。」
妻がまだ幼い子供を連れて、坂の上の方まで散歩に行っていたことは知らなかった。妻に言わせると、昼間に運動させておかないと夜寝てくれないから、それなりに歩くコースでないと駄目だったらしい。
「でも、ライラックって、イギリスの人はあまり好きじゃないみたいね。縁起が悪いのですって。」
妻が仲良くなった同じ賃貸住まいの住人の1人は、イギリス帰りなのだ。
「イギリス人も縁起を担ぐのか?」
縁起担ぎなんて、日本人の間だけの話かと思っていた。
「なんでも、貴族と婚約していた町娘が、婚約破棄の印として紫のライラックの花を送られて、絶望のあまり自殺したっていう話があるんですって。だから、家の中にライラックの花を持ち込むのは駄目らしいわ。」
ライラックの花が婚約破棄の印っていうのがよく分からないが、ライラックで囲まれていた裕福な家も、時代の流れで取り壊されてしまうのだとしたら、やっぱりライラックは、あまり幸運な花ではないのかもしれないなと、あながち迷信と片付けられないような気がしたのだった。
写真は、ライラックの花。
ライラックの花の色の明るい紫色。
ライラック、イギリスでは結婚とは相性の悪いお花と見なされているようです。
知らないで、結婚絡みの掌編書いちゃったよ。
でも、ラッキーライラックって、いうのもあるし……。
今回選んだ写真、5弁の花が写ってるように見える!
これ、ラッキーライラックだよね♪




