10月29日 栗色
10月29日
栗色
くりいろ
#665951
R:102 G:89 B:81
10月29日 栗色
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そこに待っていたのは、十代半ばくらいの1人の少女だった。
栗色の髪に榛色の瞳、飾り気の無いシンプルなグレーの服を着た少女は、ジェファーソン家から預かってきたという封書を携えていた。
サイラスはその封書を受け取って、その場で手でちぎって封を開けた。
少女は驚いたような表情を一瞬見せたが、すぐにそれを覆い隠した。サイラスからもたらされる返事を一言一句漏らさずに聞き取ることの方が重要だと思い返したのである。
サイラスはというと、その手紙を一瞥した後、端がぎざぎざになってしまった封筒に再度入れなおし、それを上着のポケットへと無造作に突っ込んだだけだった。
「あの、お返事は?」
少女は、サイラスの口から、まだ一言も聞けていないことに慌てて声をかけたが、サイラスは黙ったままである。そこで少女は、今一度、催促をすることに決めた。
「お返事をお聞かせ願えますか? 私、旦那様に必ずお返事を受け取ってくるようにと命じられております。」
サイラスは、目の前の少女を見返した。栗色の髪はしっかりと編み込まれていたが艶やかでよく手入れされているようにも見えた。化粧はしておらず、服装も地味ではあるが、意志の強そうな瞳が印象的で、決して美人ではなかったが、あと数年もすればそれなりに魅力的な女になりそうだと感じた。何より、その実直そうな態度が気に入った。
「ここでは話せん。返事が要るなら付いて来い。」
それだけ言うと、サイラスは歩き始めた。少女は黙ってその後に従った。
写真は、栗の実といが。
栗の実の皮のような焦茶色。
栗色と言われると、なんとなく髪の色が浮かんでくる。
逆に同じような茶系統の色を見ても、髪でなければ、栗色という言葉は使わないような気がする。




