5月5日 水色
5月5日
水色
みずいろ
#BCE2E8
R:188 G:226 B:232
5月5日 水色
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明日はピアノの発表会です。
凛ちゃんは、この日のためにママが買ってくれた水色のワンピースを、ようやく着ることができるので、楽しみでなりません。リボンも付いていて、とてもかわいいのです。
もちろん、ピアノの練習だって、ちゃんとがんばりました。
ピアノの先生は、いつも、凛ちゃんの演奏をほめてくれ、楽譜の番号のところに、グルグルはなまるを付けてくれるのです。
発表会で弾く曲は、ちょっとだけむずかしい曲でした。
さいしょの頃は、右手と左手がうまく合わずにバラバラになってしまい、凛ちゃんも、あきらめそうになりました。
そして、ママに、この曲は好きじゃないと言ってしまいました。
ママは、困った顔をして言いました。
「凛ちゃんが嫌ってしまったら、この曲も、残念がると思うな。」
「曲が残念がる?」
凛ちゃんは、よく分かりませんでした。
「凛ちゃんが好きになった曲は、グルグルはなまるがもらえるでしょ。凛ちゃんに嫌われちゃったら、この曲だけグルグルはなまるがもらえないかもしれないよ。」
それはかわいそうだと思いました。
凛ちゃんは、グルグルはなまるがもらえるように、がんばることにしたのです。
発表会の当日、凛ちゃんは、水色のワンピースを着て、黒のお出かけ用のピカピカの靴を履きました。髪の毛もママが編み込みにしてくれて、ワンピースとおそろいの水色のリボンで結んでくれたので、凛ちゃんは大得意です。
そして、凛ちゃんは舞台の袖へ入ると、先生が声をかけてくれました。
「今日は素敵なワンピースね。がんばってね。」
凛ちゃんは嬉しくなって言いました。
「先生、じょうずに弾けたら、この曲には水色のグルグルはなまるを付けて!」
先生は、ちょっとびっくりしたようですが、
「水色のグルグルはなまるね。分かったわ。」
と言ってくれました。
凛ちゃんの順番になり、ゆっくりと舞台の真ん中のグランドピアノのところへと向かいました。
ふと会場の方が目に入りました。
人がいっぱいで、凛ちゃんはドキドキしてきました。
ママが手を振っているのも見えました。
凛ちゃんは、会場の方に向かって頭を下げ、それからピアノの椅子に腰かけます。
大きく深呼吸をしてから、両手を揃えて、鍵盤の上に置きました。
がんばって練習した、左手の部分も今日はスラスラ弾けています。
右手もちゃんとスムーズにメロディーを奏でています。
右手と左手はバラバラにはならず、スタッカートの部分は元気よく引けました。
凛ちゃんは、曲を弾き終わると椅子から飛び降り、ちょこんと会場に向かって頭を下げました。
すると、会場からは、拍手が聞こえてきました。
成功です。
次のピアノの日、先生は約束通り、いつもよりグルグルが多い、水色のグルグルはなまるを付けてくれました。
写真は水色のチュール地の布。
水色の洋服は、少し特別感があるのです。
ふんわりしていて優しい色。
そして、「水色」が付く曲は素敵な曲が多い気がします。




