5月4日　小鴨色

5月4日　小鴨色

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風が爽やかな午後。

私たちは、ようやく2人で出かけることができたのだった。

「やっぱりいいなぁ。こんな風にゆったり散歩するのは久しぶりだ。」

隣で、Tシャツにジーンズという休日ならではの服を着た彼が楽し気に呟いた。

日差しは少し強めで、日焼けがちょっぴり気になったけれど、これまでメールによるドタキャンが続いてへこんでいたことを考えたら、このお散歩デートを回避しようとは思えなかった。

公園の池には、水鳥達がいて、人が近付いてくると餌がもらえると知っているのか、あっちからもこっちからも、私たちに向かって集まってくる。

「あれってカモ？」

私は鳥のことはよく分からなかったので、知ってる名前を口にした。

「いや、カモもコガモも、もう繁殖地に帰っちゃってるよ。あれは冬に渡ってくるヤツだから。ここに今いるのはカイツブリだな。」

なぜか、彼は詳しかった。

「カモとコガモって、小さいカモがコガモなんじゃないの？」

私がそう言うと、彼は可笑しそうに笑った。

「違うよ。コガモはね、目の周りから首の後ろにかけて緑の模様が入ってるんだ。」

そう言って、スマホで画像を探してくれた。

なかなかおしゃれな配色だった。