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20day3

「はぁ…………疲れた」

「パパもう菜々美動けないよ」

「あなた大丈夫」

「いやもう無理かも」

 日が傾きかけた頃になってもまだ目的地にはたどり着けそうにない。と言うか半分くらいしか進めていないだろう。もしスマホがあれば、残りどれくらいなのかが分かっただろうが、持っていない今となってはどうしようもなかった。

「もう今日はここらで休もう」

 幸いなことにゾンビに追われてると言うことはなく、時間だけはありそうだった。

「うんあなたが言うなら」

「うん菜々美も疲れたから休みたいよ」

 そう言うわけで休めそうな所、と言っても棄てられている車を探す。この辺りには車は止まっていなかった。だが少し先には車が見えている。

「あそこまでガンバろう」

 そう励まし、新たに決めた目的地の車を目指し歩く。歩き疲れ、足は棒になってしまっているかのようだったが、目的地が見えていると言うだけで、頑張れる気がしていた。

「はぁはぁはぁ」

 菜々美が辛そうだが、おぶったりする体力はなく頑張ってもらうしかない。

「紗枝は辛くないの」

 そんな中紗枝は、全く辛くなさそうに歩く。かなり余裕そうだ。

「ん、辛くないよ」

「どうして」

 何か秘訣があるのかもしれないと思い尋ねる。

「あなたと一緒だから」

 参考になりそうになかった、だからと言って歩くことを止めるわけにもいかないので、必死に歩く。だんだんと車が大きく見えるようになり、詳細がわかるようになる。どこも壊れていないワゴン車だった。

「後少し」

「はぁはぁうんはぁはぁはぁ」

 最後の力を振り絞るように歩く、止まったりしたらたぶん今日はもう歩けなくなってしまうだろう。そんなことを思いながら歩くとやっとたどり着いた。

「着いた」

 そうは言ってもまだ仕事はある、ドアをこじ開ける必要があったが疲れていてやりたくはなかった。だからコインと袋を取りだし、簡易ハンマーを作る。と言っても袋にコインを入れるだけだ。それを持ち、ボンネットに上がり、フロントガラスを叩き割る。1発では割れず何度か繰り返し割る。そして割ったフロントガラスがあったところから車の中に入り、中からドアを開ける。これでやっと休める。

「パパもう寝よ」

 菜々美がそういうので、後部座席のリクライニングを倒し、そこに3人で横になり、シュラフを開き、布団のようにして眠りに着いた。

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