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20day2

 固形食料で食事を取り、中央の街に向けて歩き出す。ゾンビがいないのでのんびりとしたものだ。なので話しながら歩く。

「そう言えばあなた」

「何」

「ウィリー出来きるなんてすごいね」

「あれはたまたまだよ」

 紗枝に誉められるがあの時は必死すぎて、またやれと言われても無理と答えるしかないだろう。

「それでもすごいよ」

「うんパパはすごい」

 紗枝と菜々美に誉められ、少し照れる。

「そっか、けどみんな無事でよかった」

 あれだけの状況なら誰かが、いやみんな死んでもおかしくはなかった。だからその言葉は本心から出たものだった。

「あなた後朝の事だけど」

「朝の事」

「あなたどうして頭に」

「紗枝」

 少しきつめに名前を呼ぶ。

「えっ、ごめんなさいあなた」

「こっちこそごめん、でも」

「もうこの事は聞かないから」

「パパなんの事」

「いや菜々美関係ないから、ね」

「うん」

 夢の事は言いたくなかった、今回の事だけ話しても他の事も聞かれるに違いなく、それは嫌だった。それに、もう、誰にも。

「あなた怖い顔してるけど」

「ごめんごめん」

 気持ちを切り替える、少し引きずるかもしれないが、もう大丈夫だろう。

「よし今日はあのガソリンスタンドを目指そうか」

「ええあなた」

「うんパパ」

 荷物を背負い直し、歩く。今日の天気は曇で晴れているよりは汗ばんだりしないので歩きやすかった。スマホもラジオもなく、また車やバイクが走らない道路を歩く。とても静かだが、暇なものだった。何も変わることがなく同じ風景を見続けるのは辛かった。

「暇だ」

「あなた暇なの」

「紗枝は」

「暇なんかじゃない、あなたがいるし」

「………………そっか」

 参考にはなりそうになかった。

「菜々美もパパとママがいるから楽しいよ」

「そっか、なら僕も楽しいよ」

 そう答える。そうしてゾンビに警戒しながら3人で歩いていった。

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