表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/156

18day3

 船の近くまで戻って来る。

「菜々美、ジュース取ってくるね」

「お願い」

 菜々美がジュースをとってくる間、袋を準備する。と言っても用意はできているので、袋の反対側を繋ぐところを探すだけだ。

「紗枝なにかいいところない」

 折れたりすることなく、なおかつ袋が海に入るくらいの距離にあるポールのようなものがあってほしい。

「あなたあれは」

 そう言って紗枝は街灯を指差す。それは街灯であった。

「ちょうどいいか」

 それは船がぶつかったときの衝撃のためか、海辺ギリギリに立っていた。近寄っていっても崩れる様子はなく、使えそうだ。

「よし縛るか」

 街灯にロープを回し、固定する。結び方は2回ほど縛っておき簡単にはずれないようにしておき、菜々美を待つ。久しぶりに紗枝と2人きりになった気がする。

「紗枝これでよかったのかな」

「あなたが言うなら間違いはないよ」

「そう言われるのが1番心配なんだけど」

「あなた、ううん井上が言うから私はここまでやれたんだよ。井上はちゃんとやれてる」

「それならいいんだけど」

「不安なら私が」

「パパ、ママ持ってきたよ」

 菜々美が何本かジュースを持ってくる。だからそれを受け取るのだが、紗枝は少し怒り気味だ。

「紗枝どうかした」

「ううん何でもないよあなた」

「それならいいけど」

 紗枝のことは置いとくとして、ジュースを冷やす用意をする。と言っても袋に入れ、ゆっくりと海に浸すだけであるが。

「パパこれで終わり」

「うん、あとは待つだけ。ラジオでも聞いてようか」

「わかった」

 海を眺めながら腰を下ろし、ラジオに耳を傾ける。

「さぁリスナーのみんな、リクエストは番号017513に電話してくれよ」

 そして少し寂しげな、音楽が流れる。ラジオに文句を言うつもりはないが、何となく空気に合わない。せっかくなのでリクエストしてみる。

「あの」

「はいはい情報の提供かい、それともリクエストかい」

「陽気な曲をかけてくれない」

「陽気な曲、それだけ」

「それだけ」

「わかったぜ、それでラジオネームはどうするんだ」

「そこら辺のサラリーマンで」

「わかった」

 リクエストが終わり、曲も終わる。

「さあ次はリクエスト曲だ、ラジオネームそこら辺のサラリーマンより陽気な曲をかけてほしいそうだ、じゃあ俺の好み出掛けてくぜ、まずはこの曲から」

 陽気な曲に変わる、それを聞きながらジュースが冷えるのを待つ。

「パパあげてみてもいいかな」

 5曲ほどの音楽が終わる頃菜々美はそう言い出す。

「ならあげてみようか」

 そう言って引き上げ、袋からジュースを取り出すのだが、まだ冷えきってはいない。

「1晩待った方がいいかもね」

「そうみたいだね、菜々美待つよ」

 と言うわけで1晩置いておくことにして拠点に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ