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13day6

「くそったれ、お前らも人を殺せる側の人間か」

 敵の方からそんな声がする、たぶんさっきの奇襲は人は人を殺せないと言う心理を突こうとしたものだろう。だが紗枝はともかく僕だって人は殺せる、形はどうあれもう殺してしまったのだ、それも自分自身が生き残ろうとするために、だからもう躊躇うことは止めていた。

「あなた、大丈夫」

「大丈夫」

 そうは返すが人を殺したことの気持ち悪さはなくなることはない。だがこの気持ち悪さはなくなってはいけないものだろう。だから耐えるしかない。

「ははっ、ならしょうもない手は必要ないな」

 敵の方が慌ただしくなる。こちらが予想とは違っていたのだろう。

「けどなぁ数の差は変えられないんだよ」

 そう言うと物陰から銃をだし、撃ってくる。それも連射だ。なので撃ち返す余裕もない。

「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ、手も足もでないだろう」

 銃声と笑い声が響く、黙らせたいが僕からでは狙えないので、紗枝の方を向く。紗枝は力なく首を横に振る。

「パパ逃げようよ、今なら逃げられるんじゃない」

「逃げられるとは思うけど、追ってこないか」

 そうは言い返すが、菜々美が言うことがもっともだ、敵の弾切れが何時になるかわからないし、この銃声でゾンビが集まってきたら逃げられないだろう。

「けど逃げようか」

「うん」

 そう言うと匍匐で、自販機の影からでないように、後退する。ばれないように静かに下がる。敵は銃を撃つのに夢中になってるので気づかれにくいとは思うのだが、念には念をを入れて静かに慎重に下がる。下がると柱があったので転がりその柱の影に隠れる。

「はぁ」

 柱は高く、立ち上がれる余裕があるので立ち上がる。銃を構え直す。紗枝が後退するだけの時間を稼がなくてはならない、紗枝の方を向くと、頷く。なので指で数を数えていく。まずは指を5本。

「パパなにするの」

 4本。

「時間を稼ぐ」

 3本。

「菜々美は何をすればいい」

 2本。

「ここからでて隠れる」

 1本。

「パパもちゃんと出てきてね」

 手をグーにすると同時に銃だけを柱の影からだし、狙いを定めずに撃つ。狙ってる余裕はない。紗枝もちゃんと理解してくれたのか、出口の方に少しずつ下がる。柱は2本分弾は持つはずだ。

「あなた」

 紗枝が柱に隠れると銃を撃ち始め、それを合図に後ろにさがる。そしてすぐに柱に隠れる。これを繰り返していけばすぐに逃げられるだろう。

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