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13day3

 喫茶店で体を休め、体力をある程度回復させたところで食料を探すために出発した。

「たっべもの、たっべもの、どっこにある」

 菜々美は歌いならが歩いている、小声であるので注意はしない。

「食べ物どこにあるかわかんないね、あなた」

「ああ」

「それに誰もいないし」

 紗枝がそういったように、生存者はもちろんのことゾンビも見かけない。少し警戒しながら裏道を進んでいくのだがビル通りからかなり離れるところに来てもなにも見つけられなかった。

「戻ろうか」

「そうねあなた」

「うん」

 これ以上離れると、戻るときが大変でありそうだったので引き返す。だができる限り多くの場所を探したいので別の道を通る。と言っても道ひとつずれただけであるが。

「こっちにもなにもないね、あなた」

「そうだね」

 こちらものどかな雰囲気であるが、同じように何もなかった。

「けど菜々美はパパとママと一緒にお散歩できて楽しいよ」

「それならよかった」

 そんな話をしながら元いたビル通りにあと1歩といった所で壁にかかれた文字を発見した。

「パパ食べ物ありますだって」

 菜々美がそう言った様に文字と矢印が赤いスプレーのようなもので書かれていた。

「あなた、いくの」

「まあ行ってみようか」

 矢印にしたがってビル通りを進んでいく。と言っても喫茶店のあった裏道の反対側に進んでいくだけであったが。反対側の裏道はこちらもまたビルが建ち並び、道路には捨てられた車が多くあった。

「パパ菜々美怖いよ」

「けど矢印はこっちに続いているし」

 矢印は奥へ奥へと続いていた。何となくであったが銃を抜く。

「あなた、どうかしたの」

「いや何かに見られている気がして」

 嫌な視線を感じているのだが、気にしすぎと割りきる。けど銃は抜いたままにしておく。

「パパ怖い顔してるよ」

「あっごめん」

 気持ちを落ち着ける。

「矢印はこっちか」

 矢印にしたがって進む。すると一軒の大きなビルにたどり着く。高層ビルなのだろう。

「大きいねパパ」

「あなた大きいよ」

 石井達がいたホテルより大きい。何人この中にいるのだろうか。

「中に入ってみようか」

 そう言って、開きっぱなし自動ドアから入って。

「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 いきなり襲い掛かってくる。右足を後ろに下げ、体を傾け、襲いかかってきた男が降り下ろした何かを避ける。男が体勢を崩したので、その首元に向かって。

「いや、あんたは」

 その男の首元に銃口を向けようとしたのだがやめる、そして男をよく見ると、男が持っていたのはバールであった。

「しねやぁぁぁ」

 男はこちらに殴りかかる。

「いや僕はまだ」

 噛まれていない。そう言おうとしたのだが、男は殴るのをやめずに、狂ったように叫ぶ。

「しねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 バァン。

「井上になんてこと言ってるの」

 男が崩れ落ちる、頭を撃ち抜かれたから当たり前だ。

「紗枝」

「ごめんなさい」

 撃ったのは紗枝だ。

「あなたに死んでほしくなかったから」

「いや助かった」

 相手は狂っていたのかわからないが、殺されかけたのだ感謝するのは当たり前だ。

「パパ大丈夫なの」

「ああ怪我はないよ」

 紗枝が男が持っていたバールを拾う。

「あなた中にはいるの」

「…………ああ、入ろう」

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